2012年2月13日月曜日

三菱レイヨンが5大陸へ拡販

MSN/産経ニュース

同社のクリンスイ販売地域は、これまで日本・中国等のアジア圏15カ国に限られていたが、今後アフリカを含む5大陸すべてにわたる50カ国にまで本格的に拡大するという。もちろん、例えばアフリカでの展開がBOP2.0のように、バリューチェーン全域で現地コミュニティを包括するかどうかはビジネスモデル次第である。またそもそも包括的市場での販売を意図しているかどうかも詳細は不明だ。だが少なくとも、記事の文面からは、同社が地球人口70億人市場を想起した上で戦略構築しようとしていることが感じ取られ、その意味で重要な事例の一つと思われる。

クリンスイ(↓)



2012年1月5日木曜日

G20 Challenge on Inclusive Business Innovation (G20包括的ビジネスイノベーションコンテスト)

Mr3tiago氏のブログから知る。 このG20包括的ビジネスコンテストのウェブサイトを見ると、内容は以下のようなもの。

このコンテストの意義(私見)新興国・途上国の事業者を、G20という大規模な多国間関係の公式組織の名の下に、「包括的ビジネス」という呼称で顕彰することにより、「包括的ビジネス」という概念の認知がさらに高まるとともに、民間の自助努力による貧困問題の解消と経済発展が促進されることであろう。特に、これまでは先進国の多国籍企業やベンチャー企業に注目が集まる傾向が強い中で、新興国・途上国の事業者にフォーカスしている点が意義深いと思われる。

G20は先進8ケ国+EUに新興経済国11カ国がメンバーとなり、金融と世界経済に関する会合を定期的に持っている。先進国と新興国が協力して広域の持続的経済発展を促進することが目的のグループである。

後援組織:このG20包括的ビジネスコンテストは、IFC(国際金融公社)が仕掛け人のようだ。最初にインド、次にアフリカで応募者によるプレ交流会が開かれるという。応募締め切りは2月末。2012年6月のG20会合(メキシコ)で選抜事業者がお披露目となる。

応募資格は、新興国もしくは途上国の営利企業で、BOP層の人々が供給・流通・販売もしくは顧客として関与しているビジネスを、既に(2009年6月以前から)運営している事業者である。選出されたとしても、金銭的なrewardはない。ドイツで開かれるワークショップに参加したりする機会が与えられるが、基本的なrewardは「G20で認められた」ということで得られるrecognitionであり、「箔」であり、「お墨付き」である。このコンテストで選抜されれば様々な補助金への応募や、資金調達の際に有利にことを運べるかもしれない。

このコンテストの狙いは、

1)成功しているモデル企業をショーケースとして取り上げて顕彰し、広く世界に知らしめることにより、成功するビジネスモデルがさらに多くの国や地域に拡張して行くことを促進すること、

その過程で

2)途上国の包括的ビジネス事業者に光を当て、世界的な認知をすることで信用を高め、その事業の拡張性を一層高めたり、

3)日ごろ国外に出る機会のない事業者同士の交流による学習を促進すること、にあるという。

ウェブサイトを見る限り、政府や非営利組織との連携強化などについては一切触れられていない。


2012年1月2日月曜日

心地よい領域から踏み出して70億人市場へ:日経ビジネスオンライン

日経ビジネスオンライン記者の中野目氏に取材を受け、「地球上70億人を対象にビジネスを開拓する戦略的意図」の重要性を述べたインタビュー記事です。

日本企業が「包括的市場を含む地球全体的視野」に立って、本当に戦略を構築できているのか、というメッセージを投げかけています。

インタビュー記事ですので、反映できていない部分もありますが、補足するならば、70億人市場へ取り組む際に、戦略論上最も重要なのは、「自社独自の経営資源」「自社が最も得意なドミナントロジック」に着目することです。

小型風力発電のゼファー㈱、ベトナムで事業展開

国際協力の求人・就職・転職・キャリアサポートを行うdevexの日本支社ホームページの「開発ニュース」に、日本の小型風力発電機メーカーゼファー㈱ルビナソフトウエアおよび協同組合企業情報センターとの共同事業として、ベトナムに進出する計画が紹介されている。

■典型的なBOP2.0型包括的ビジネス

記事によると、ベトナム中部のホンラオ島に小型風力発電と太陽光発電を組み合わせた自立型電源を設置(将来は小型水力の組み入れも検討)し、自然に恵まれた同地で漁師が捕獲した海産物を冷凍保管する設備を運営する。これまでは非電化地域であるため冷凍・冷蔵保管ができず、余剰の海産物は廃棄されていた。本事業を通じ、内地はもとより輸出を視野に展開、今後はより高付加価値の海産物加工事業にも乗り出す計画だという。JICAの2011年度FS事業に認定されている(上限 5000万円)

この事業計画では、地元の漁師がバリューチェーンの重要なプレーヤー(供給)として組み込まれており、販売事業での新規雇用も想定される。さらに加工業まで発展した場合にも新たな雇用(生産)が現地で創出される。典型的なBOP2.0に該当する包括的ビジネスといえるだろう。

■当該国人材との人間関係の重要性
一つ重要な意味で興味深いのは、今回の共同事業者であるルビナソフトウエアの代表者(ブイ・トラン・ルオン氏)がベトナムからの留学生として東工大博士課程出身という点だ。実は今回の案件は、ホンラオ市長からルオン氏に直接持ち込まれたということだ。
なぜこの情報が重要かというと、途上国への事業進出の場合、現地情報は先進国に比べて圧倒的に不足しがちであるため、当該国出身者と協力関係にあることが極めて有効に作用するからだ。
例えば、これは純粋な企業事例ではないが、九州大へのグラミンクリエイティブラボ設置や、共同研究プロジェクト「開発途上国の社会情報基盤構築」の実現に役割を果たしたのは、同大のアシル・アハメッド特別准教授(バングラデシュ出身)である。
また、筆者が近畿経済産業局のBOPセミナーで講演した際、講演者のお一人だった㈱サニコン(浄化槽事業)の假谷社長(当時)が同様のことをおっしゃっていた。同社は、1997年に国際環境技術協力を目的にベトナムより研修生を受け入れ、ホーチミン工科大学の日本工業技術研究所設立に出資するなどした。それがベトナムとの人脈形成に決定的な役割を果たし、2008年のサニコンベトナム設立につながったという。
国費の研修生や留学生は一流の人材であることが多く、政府や各機関とのつながりも強い。そうした人材をまずは日本で受け入れてみることが、思わぬ大きな機会へつながることもある。何事もリアルオプション的発想で。

2011年11月9日水曜日

ZTE Corp (中興通訊股份有限公司) のアフリカ戦略と経済的パフォーマンス

BOP領域での通信技術セクター(特に携帯端末とネットワークインフラ)の重要性は言うまでもないが、アフリカにおける中国通信機器メーカーのプレゼンスが一挙に高まっている。日本企業の影はほぼない。

11月3,4,5日はCKJ Project の定例共同研究会で北京の清華大ビジネススクールへ。その際ZTE Corp. (Huawei 華為技術と並ぶ中国の通信機器大手)の研究開発センターを見学した。日本での競合と言えばNEC、日立、富士通といったところか。世界市場ではNokia,Ericsson,Siemensなどと競合する。かねてから中国通信機器メーカーのBOPゾーンでの躍進は認識していたが、今回ZTE社経営陣から、そしてショールームでさらに説明員から解説され、率直に「これはかなわないな」と嘆息。
すでに総売上高に占めるアフリカの比率が2割近くに達している。下は、同社ショールームの展示資料の数値を表にしたもの。

<ZTE 海外売上高比率 地域別>
(ちなみにNEC、富士通の海外売上高比率はそれぞれ15.4%と31%。ZTEは60%。2010年度実績。NECの「日本以外の区分に属する主な国または地域」にアフリカは記載なし。富士通の場合、欧州・中近東・アフリカを総称してEMEAとし、これが17%。
上表に見るように、ZTEはアフリカ大陸での売り上げが中国を除くアジア地域の売上とほぼ肩を並べている。同社ショールームの説明員(20代女性)は誇り高く堂々と企業紹介をしてくれたが、なんでも「アフリカ全土にZTE社員が10,000名いて、うち3,000名が中国人」とのこと。圧倒的コミットメントである。(ZTE社 従業員総数7万名 2011年現在)

彼らの戦略を記述した関連記事を下記に見つけた。


ZTEの場合、中国の政策銀行であるThe Export-Import Bank of China (China Exim Bank、中國進出口銀行)およびThe China Development Bank (CDB、國家開發銀行)からそれぞれ$15B、$10Bの与信枠を与えられている。HuaweiもCDBから$10B(2005年)、$30B(2009年)の与信枠を得ている。こうした財務力を背景に、ZTEはアフリカ諸国で欧州の競合(EricssonやNokia Siemens Networks)よりも30-40%安い価格を提示し、Huaweiも5-15%安い価格を提示しているという。契約条項修正(例えば値引き)の意思決定を24時間以内に行うというスピード感も備えている。こうして欧州メーカーはサブサハラ市場での売上減少という事態に見舞われている。

ZTEの侯為貴会長は、2015年をめどに海外売上高比率を70%へ、現在10%程度の先進国市場を20-30%に引き上げたいと語っている。途上国市場で培った低コスト・低価格を武器に、リバースイノベーションで先進国市場の本格的攻略が始まるのか。

下記は欧中日の主な通信機器メーカーの株式リターン。どのように見えるだろうか。

表中の証券コード:
ZTE=HK:763, 富士通=JP:6702, NEC=JP:6701, Siemens=DE:SIE, Nokia=SE:NOKISEC, Ericsson=SE:ERICA

<通信機器セクター主要企業の株式リターン:
リーマンショック後のリカバリー>


注:上記グラフで、一番上の黒線がZTEの株式リターンである。2010年5月にリターンが急減しているのは、2:3で株式分割されたから(例えば200株持っていれば無償で300株に増える)。よって右端最終のリターン水準はほぼ+100%となっているが、実質的には+200%(3倍)。驚異的である。


2011年7月26日火曜日

第4回フィールド調査

岡田研究室は7月30日まで、現地調査でインドネシアおよびベトナムに滞在中である。25日はインドネシア・タンゲラン州のP.T. Humakilla Indonesia(フマキラー・インドネシア)を訪問し、現社長、生産、研究開発、営業の責任者、およびキャラバン隊による草の根営業活動に同行し、タンゲラン州地方農村部でのサンプル配布や商品納入の現場に立ち会ってきた。現社長のスピード感あふれる的確な経営判断には大いに学ぶところがあり、これから途上国低所得層への進出を考慮する上で、参考になるだろう。いずれケース教材の形で慶應ビジネススクールより発刊される。

26-27日はベトナム・メコンデルタで現地の農家に技術指導をしながら、ジャポニカ米(日本米)の契約栽培を展開し、近隣諸国への輸出を行っているアンジメックス・キトク社を訪問中である。本日は精米工場の見学と経営陣インタビュー、明日は契約農家と栽培圃場への訪問を予定している。

これまで4回にわたり、当研究室ではバングラデシュ、タンザニア、ナイジェリア、ベトナム、カンボジア、インドネシアで現地調査を行ってきた。インドネシア、ベトナムについては複数回訪れている。調査対象となったのは下記の企業・組織等である。

第1回調査 バングラデシュGrameen Telecom (携帯電話販売事業)、 Nokia Care Center(携帯電話顧客サービス事業)、 GrameenPhone (携帯電話キャリア)、 BRAC (世界最大のNGO、貧困・教育・医療等の環境改善)、 BracNet (広帯域通信技術によるISP事業)、 Grameen Bank (マイクロファイナンス事業)、 Grameen Danone (高栄養ヨーグルトの製造販売)

タンザニア・ダルエスサラーム:Panasonic Energy Tanzania (乾電池製造・販売)、Tanzania Occupational Health Service (Panasonicの提携病院)、D. Light Design (ソーラーランタン製造販売)
タンザニア・アルーシャ:Vector Health International (防虫蚊帳製造販売。住友化学とタンザニア現地企業AtoZ Textileの折半出資によるJV)
ナイジェリア・ラゴス:Honda Motor Nigeria (オートバイのCKD製造販売)、West African Seasoning Co., Ltd. (味の素現地法人。調味料・香辛料の製造販売)、Vestagaard Frandsen (防虫蚊帳や浄水器Lifestrawの製造販売)

ベトナム(Hochiminh Cityおよび近郊):Rohto-Mentholatum (Vietnam) Co.,Ltd (ロート-メンソレータム・ベトナム社)、Panasonic AVC Networks Vietnum Co., Ltd. (パナソニックAVCネットワークス ベトナム株式会社)
カンボジア(Phnom Penhおよび近郊):Sahakreas Cedac Ltd. (通称SKS Cedac。サハクリア・セダック株式会社、CEDAC(注参照)が支援する事業の作物・商品の小売事業)、CEDAC設立の米焼酎製造所 (注:CEDACとはNGOで、カンボジア農業開発研修センター)、CEDACの事業農場(野菜の栽培・SKS Cedacへの卸売)
インドネシア(Jakartaおよび近郊):P.T. Yakult Indonesia Persada (インドネシアヤクルト 製造工場および営業所でのヤクルトレディ昼礼)UNDP Indonesia インタビュー、Yayasan Kusuma Buana (YKB) (医療NGO)低所得層家庭


第4回調査 インドネシア、ベトナム
インドネシア:PT. Humakilla Indonesia (フマキラー、蚊取り線香の製造。販売)
ベトナム: Angimex Kitoku (木徳神糧、契約農家へのジャポニカ米生産指導、精米、輸出販売)

2011年7月7日木曜日

Academy of International Business 国際経営学会 その2

6月27日には、"Executive Panel on BOP: A Japanese perspective" と題して、包括的ビジネスに積極的に関わる日本企業の実務家による講演とパネルディスカッションが開かれた(岡田が本セッションの企画とファシリテーションを担当した)。まず私自身の研究内容を簡単に紹介した後、冒頭で経産省( 通商金融・経済協力課長小山さん)から日本政府による支援の枠組みが説明された。

包括的ビジネスの事例としては、英語の世界で紹介されるそのほとんどは日本企業以外のものである。しかし日本にもモデルとなるべき事例は数多い。今回のセッションは、まさにそうした意図で開催された。牧野教授から声をかけていただいた時は、可能な限り多くの企業を招こうと考えたが、いかんせん時間に限りがあるため、下記の4社(サンヨーの角地さん、味の素の取出さん、ヤマハ発動機の西嶋さん、日本ポリグルの小田会長)に講演と質疑をお願いした。

当日はハート教授も来られ、熱心にメモを取っていた様子が印象的だった。

MONDAY, JUNE 27 - 13:45-15:15

Session 2.3.1 - Special SessionTime: 13:45-15:15
Track: 14 - Special SessionRoom: 1101

Executive Panel on BOP: A Japanese perspective (Session# 111408)

Chair: Masahiro Okada, Keio University


Initiatives by the Japanese Government to Support 'Inclusive Business' (ID# 1659)

Satoru Koyama, Director, Trade Finance and Economic Cooperation Division, METI

Solar lantern - A Shining Ray of Hope to Save Lives (ID# 1660)

Hiroyuki Kakuchi, Sanyo (Panasonic)

Nutrition Improvement Project in Ghana: a Trial to Establish 'Social Business' (ID# 1661)

Yasuhiko Toride, Ajinomoto

Growing our Business in Africa (ID# 1662)

Ryosuke Nishijima, Yamaha Motor

Small and Medium-sized Enterprises Play a Key Role in Growing Inclusive Businesses (ID# 1663)

Kanetoshi Oda, Nippon Poly-Glu