2015年10月25日日曜日

【2015.10.29開催】東アフリカ・ケニア投資コンファレンスを開催します。

【2015.10.29開催】東アフリカ・ケニア投資コンファレンスを開催します。

慶應ビジネス・スクールの国際活動の一環として、標記のコンファレンスを昨年に続き日吉キャンパス協生館藤原洋記念ホールで行います。
TICAD6の2016年開催地が初めてアフリカ大陸となり、その開催国がケニアに決まりました。その注目高まるケニアから政財界使節団を迎え、業種やテーマによる専門家と実務家の討論を通じて東アフリカでの機会を探索します。社会人・学生を問わず是非ご参加ください。参加無料。

本コンファレンスは基本的に英語です(一部日本語による講演と逐次通訳あり)。
■主催:ケニア大使館,KIJA,慶應ビジネス・スクール
コンファレンスの詳細内容は下記ホームページへ
http://kenya-investment-conference2015.jimdo.com/
■日時 2015年10月29日(木)9:00-18:30
■場所 慶應義塾大学 日吉キャンパス協生館2階 藤原洋記念ホール
(アクセス:http://www.kcc.keio.ac.jp/access/index.html
■参加費:無料
■事務局慶應側責任者 教授 岡田正大
参加登録:上記ホームページの上端「お申込み」バナーよりご登録ください。

2015年3月6日金曜日

CSVと企業の競争優位、 そしてCSR

2015年3月発行 KBSレポート(非公刊)より抜粋・編集

 今年のダボス会議での議論を振り返るまでもなく、貧困や失業、栄養不良を始めとする社会課題の深刻度と社会秩序の不安定さ(テロを含む地政学的リスク)には一定の因果関係があると思われる。こうした広範な社会的課題の解決とビジネス世界での利益追求は、一見すると別次元のようにとらえられる。だが、そもそも企業活動を市場原理に基づいて「社会ニーズに応える活動」だと考えれば、両者は密接に結びつく可能性がある。

 これまで企業戦略と言えば、そのゴール(被説明変数)は企業の金銭的価値の最大化と認識され、それを実現する原因(もしくは手段)が研究の対象となってきた。この「戦略のゴール=経済的価値」という認識はあまりに当然のことであり、多くの研究者や企業はこの経済的価値最大化のために経営資源配分を最適化すべく、研究や経営にまい進してきている。

 一方企業はこれまでも、直接的には企業の経済的価値(例えば単年度で言えば会計上の利益)に結びつかず、また必ずしも自社の本業とは関連しない分野で、株主以外の利害関係者を益するような活動に関与している。いわゆるチャリティー事業や寄付、従業員主体のプロボノ活動、財団の設立による公益活動などである。こうした活動は、特に本業の市場競争力強化を直接に意図したものではないことが多く、また結果的に競争力につながる保証もない。日本では、こうした活動が「CSR」呼ばれることが多いようだ。

 CSRの歴史が古い欧州では、企業の社会責任とは「企業がその事業活動プロセスと製品の双方において、社会に対し負の価値を生み出さないこと」(藤井2005)と認識されている。私の研究では、CSRをこの欧州ベースの定義に基づいて考えている。

 さて、表題のCSV(Creating Shared Values)(Porter & Kramer 2011)とは、企業が本業を通じて経済的価値と社会的価値の両立・相乗効果を追求する活動を意味する。この文脈からは、日本的解釈のCSRはたしかに何らかの社会的便益は生み出すものの、必ずしも企業の経済的価値に結びつくとは限らないという意味で「非戦略的」とされる。昨今日本企業でも盛んになってきているCSVへの志向性は、これまで純粋な慈善活動に振り向けていた原資を、本業自体が関わる社会課題の解決へ再配分し直すことを意味する。

 このように、経済的価値の増大と社会的価値増大の間に相乗効果を生じさせる企業能力(社会経済的収束能力と呼んでいる)とは何なのか、またその成果としての経済的価値と社会的価値はどのように測定できるのか。この二つが私の現在の研究テーマとなっている(岡田2014)。

 なお、昨今はCSVの議論に隠れて徐々にCSR活動をフェードアウトする企業も散見されるが、ここは慎重に事を運ぶ必要があると思われる。企業はCSRを「本業によって社会に負の価値を生み出さないこと」と改めて定義し直し、CSVのように個々の企業がその強みや裁量次第で選択的に取り組む性質の活動とは分けて、真剣に継続する必要がある。昨今の新聞紙上を見るまでもなく、この定義によるCSR領域にはまだまだ改善の余地がある。

 CSVは自社の独自性を打ち出す企業戦略の一環として、またCSRはあまねく企業が果たすべき社会的責務として、企業実務の見地からは区別した対応が必要だと考えている。


<参考文献>

岡田正大(2014)「CSVは企業の競争優位につながるか:新たな企業観の行方」DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー、ダイヤモンド社、2015年1月号、p38-53.

藤井敏彦(2005)『ヨーロッパのCSRと日本のCSR―何が違い、何を学ぶのか。』(日科技連出版社)

Porter M.E. and M. Kramer (2011) “Creating Shared. Value” Harvard Business Review No. 89(Jan/Feb): p.62–77.

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岡田 正大 (おかだ まさひろ)

1985年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。(株)本田技研工業を経て、1993年修士(経営学)(慶應義塾大学)取得。Arthur D. Little(Japan)を経て、米国Muse Associates社フェロー。1999年Ph.D.(経営学)(オハイオ州立大学)取得、慶應義塾大学大学院経営管理研究科専任講師に。助教授、准教授を経て現在教授。

2014年12月19日金曜日

CSVは企業の競争優位につながるか:新たな企業観の行方

ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー 2015年1月号

Porter & Kramer(2011)以来、企業戦略におけるCSV(共有価値)の位置づけに関して様々な考え方が提示されているが、あくまでも企業戦略理論の視点からその意味を問うたのが標記タイトルの論考である。

岡田正大(2014)「CSVは企業の競争優位につながるか:新たな企業観の行方」ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2015年1月号:p38-53.

概要はこちら

ご参考まで。

2014年8月21日木曜日

企業と社会フォーラム 年次大会 9月18-19日

2014年3月のケニア、8月のバングラデシュのフィールドスタディの更新ができていないが、まずは取り急ぎ9月開催の企業と社会フォーラムのご案内。企業戦略と社会性の接点を様々な角度から討論します。興味のある方は是非ご参加ください。私も司会やパネラーとして登壇します。


社会における企業のあり方を研究する、学会「企業と社会フォーラム」(JFBS)の第4回年次大会「持続可能性と戦略」(9/18~19、於:早稲田大学)についてご案内いたします。
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          学会「企業と社会フォーラム」(JFBS)
               第4回年次大会
           統一テーマ:持続可能性と戦略
               http://j-fbs.jp/annualconf_2014.html
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■日 程 2014年9月18日(木)~19日(金)の2日間

■場 所 早稲田大学早稲田キャンパス14号館
     (アクセス http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html)

■大会テーマ 持続可能性と戦略
(大会趣旨など詳細 http://j-fbs.jp/annualconf_2014.html)

■プログラム http://j-fbs.jp/annualconf_program_2014.html

■主なセッション
・Keynote Speech "Sustainability and Strategy"
 ※多様なステイクホルダーを満足させながら企業が持続的発展に寄与し、収益性を確保していく企業戦略に関する基調講演
- Bhattacharya, CB (European School of Management and Technology,
Germany)
- 和田勇 (積水ハウス株式会社、代表取締役会長)

・Plenary Session 1 "Sustainability and Strategy"
 ※基調講演において言及された企業戦略を可能にする社会経済システムの方向性について考えるセッション
- Barter, Nick (Griffith University, Australia)
- Bhattacharya, CB (European School of Management and Technology,
Germany)
- 和田勇 (積水ハウス株式会社、代表取締役会長)
- 【Chair and Panelist】岡田正大(慶應義塾大学)

・Breakout Session (organized) 1 "Sustainability and Brand Management"
 ※CSRの価値と企業の評判の関係を考えるセッション

・Breakout Session (organized) 2 "Sustainable Strategy and Emerging Markets"
 ※新興国において経済格差と環境破壊を引き起こすことなく企業活動を展開していくための戦略を考えるセッション

・Breakout Session (organized) 3 "持続可能性と金融市場"
 ※持続可能な企業を支える、金融市場・投資家の役割の変化を考えるセッション

・Breakout Session (organized) 4 "Green Management"
 ※企業活動による負の社会的・環境的インパクトを低減するマネジメントを考えるセッション

■参加者 国内外の学界、産業界、政府・行政、労働界、消費者団体、NPO/NGO等
 ※本年次大会には、会員だけでなく、一般(非会員)の方の参加も可能です。

■参加費
①大会参加費
【会 員】一般11,000円、学生 8,000円
【非会員】一般15,000円、学生10,000円
②交流会参加費
【一 般】4,000円(会員・非会員 共通)
【学 生】2,000円(会員・非会員 共通)
※交流会のみの参加は原則として不可

■お申込み
下記URLよりお手続きください。
http://j-fbs.jp/annualconf_2014.html#p4
※参加申込みを済ませただけでは、大会参加者として登録されませんのでご注意 下さい。参加申込みと参加費お支払いの完了をもって「登録参加者」となります。※年次大会登録参加者には、スピーカーのレジュメ資料をダウンロードできる 「参加者パスワード」を事務局よりお送り致します。紙の節減のため、大会当日に報告要旨集を配布することは致しません。各自ダウンロードのご協力を頂けますようお願い致します。

■学会「企業と社会フォーラム」(JFBS)とは
JFBSは、企業と社会にかかわる様々な課題、関係について、学界、産業界、政府・行政、市民組織などとの幅広い連携のもと、国内外の関係組織とも連携しながら理論的・実務的な視点から考えていく学会です(2011年5月設立)。http://j-fbs.jp/index_japanese.html

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Japan Forum of Business and Society (JFBS)
企業と社会フォーラム 事務局
  早稲田大学商学学術院商学部 谷本研究室内
  〒169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1
  Tel/FAX: 03-3203-7132
  E-mail: jfbsinfo@j-fbs.jp
  URL: http://j-fbs.jp
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2014年3月19日水曜日

日経リサーチ 「開発途上国への参入:決断すべき時は?」

日経リサーチ グローバル・マーケティング・キャンパス 

3回シリーズの第1回目「開発途上国への参入:決断すべき時は?」

かつては日本企業の典型的な地理的市場のくくり方に、「欧州中近東アフリカ部」という名称が一般化していた。しかしようやく「サブサハラ」を独立した地理的市場として想定する企業が出始めている。果たして個別企業が開発途上国への参入を決断すべき時はどのような条件が成立した時か、という問題意識で書かれた記事。

「経営学は今」 日経新聞朝刊連載 2013年12月

しばらく授業と執筆が多忙で更新がままならなかったので、その間の著述を時系列でいくつか記録。

2013年12月4日から16日まで8回分。第6回では開発途上国におけるビジネスで生態系を組むことの戦略的価値を説明。事例としては、西アフリカセネガルにおけるヤマハ発動機がネタフィムと組んで展開したドリップイリゲーション事業(少量水による灌漑事業)を取り上げている。

不確実性と企業(6) 新興国でビジネス生態系 慶応義塾大学教授 岡田正大

http://www.nikkei.com/article/DGKDZO63922030R11C13A2KE8000/