2009年9月29日火曜日

ICT分野でのPublic Private Partnership

ITU(*1) の事務局長Mr.Hamadoun Toureへのインタビュー記事。

 今年10月にスイス ジュネーブで行われるTelecom World 2009 (*2)に、通常集まる通信事業者や通信機器ベンダー等に加え、各国政府関係者も招待しICT分野でのPublic Private Partnershipを推進したいとの内容が紹介されている。
 彼はアフリカ出身であり、ITU事務局長という立場でなく一人のアフリカ出身者の立場としても、これまでの50年間に行われた援助では貧困の解決は出来ず、"only profit driven"がその解決の方法だとも主張している。

 ICTは国家のインフラの1つであり政策との関わりは必須である。一方でICTは国の経済発展に貢献するという面もあるので、適切に政府を巻き込みprofit drivenで事業を拡大させることで、各国の経済発展や貧困の改善につなげるというのがその狙い。


記事へのリンク→ http://www.telecoms.com/14505/public-private-partnership
(アカウント登録が必要です)

(*1) ITU
International Telecommunication Union, 国際電気通信連合
国連の下位機関で、電気通信に関する国際標準の策定を目的とする組織。本部はスイスのジュネーブ。
http://www.itu.int/en/Pages/default.aspx

(*2) Telecom World 2009
ITU主催で数年毎に行われる、ICTの関係者が集うイベント。フォーラム、展示会等が行われる。
http://www.itu.int/WORLD2009/

P&G 世界の果てまで消費者を追う

 日経ビジネス 9月28日号に、P&GのBOP/新興国への事業拡大の取り組みが紹介されている。以下要約。

 現在世界で40 億人の消費者をカバーしているP&Gは、今後3~5年で50億人の消費者に商圏を広げるという大目標を設定している。20世紀は先進国を中心とする市場で頂点に立った同社は、21世紀には新興国も含めた地球全体での最高峰を目指しており、その為にBOPも市場として取り込もうとしているのである。
 記事では中国の山村に社員が泊まり込んで同じ生活を経験し、製品開発とマーケティングに経験を活かす様子や、地方の小さな町や村に販路を拡大する為に"パパママストア"と呼ばれる個人商店を育てる様子が紹介されている。パパママストアの育成では社員が店舗を訪問し、店舗の色、店内の配置、店の前の木の刈り込み等をアドバイスする等、実際に現場に入り込んだ活動を行っている(土着化と4AsのAvailabilityへの取り組みである)。

九大、グラミン銀行、NTTが産学連携研究組織立ち上げ

研究機関は、国際産学組織「グラミン・クリエイティブ・ラボ(GCL)@九州大学」と「グラミン・テクノロジー・ラボ(GTL)」。GCLは利益を社会問題の解決に使う「ソーシャル・ビジネス」に関する研究や教育、普及などを行う。来年度中に活動を始める。GCLは数カ国の大学に設置されており、国内は立教大学に続き2例目。

 GTLは、発展途上国の実情に即した技術や製品の開発が狙い。同グループが技術開発で企業や大学と連携するのは世界初で、発展途上国のニーズや実験の場などを提供する。九大、同グループ、NTTの3者で具体的な検討に入り、本年度中に参加企業などを募集、年度末までに設立のための契約を結ぶ予定。九大は2007年に同グループの1社と学術交流協定を結び、同国向けのICカード式電子通帳の研究を進めている。」

Hasina首相、先進諸国に対し途上国のfood securityにさらなる貢献を求める

Food Security (すべての人に安全で栄養価のある食品を確保すること、食糧安全保障)は、貧困を解決するために必須の構成要素である。Hasina首相は、「先進諸国が2001年のブリュッセルプログラム(注)での合意を守り、2010年までに各国GNIの0.7%を開発途上国へ、0.2%を後発開発途上国へODAとして供与してくれさえすれば現在の食糧確保の危機は解決されるのだが」と述べた。



注:ブリュッセルプログラムとは、The Third United Nations Conference on the Least Developed Countriesにおいて採択された、MDG(2015年までに貧困を半減する)達成のためのプログラムである。担当部局はUN-OHRLLS(下記)。

UN-OHRLLS:「後発開発途上国ならびに内陸開発途上国、小島嶼開発途上国のための高等代表事務所」。国連事務局にある部局の一つ


2009年9月28日月曜日

インドが国際VOIPを禁止する!?

ロイターが伝えるところによると、2009年8月に合法化されたばかりのインドでのVOIPだが、早くも10月に禁止される可能性が高まっている。報じられている理由は、安全保障(security)。同国のSecurity Agencyによれば、国外通話源の探知が可能になるシステムが導入されるまでの措置という。2008年にムンバイで起こったテロにより166名が死亡して以来、通信ネットワークに関するセキュリティシステムの根本的見直しが続いている。テロ実行犯への指令が国外からインターネット経由で伝達されているためだ、という。


<コメント>
インドでの動きは、隣接するバングラデシュでのVOIPにも何らかの影響を与える可能性がある。

イスラム神学校(初等教育)でも英語、コンピュータ、気候変動を教えることに(バングラデシュ)

バングラデシュでは、初等教育対象者の約10%を占める300万人が、国立のイスラム神学校に通っている。大半は貧困層の子供たちである。この神学校は、これまでイスラム系過激派を生み出す温床などと揶揄されてきたが、現代世界で生きていくために必要なことを教えることにしたという。Hasina政権での教育改革の一環である。

コーランの教えに加え、英語、コンピュータスキル、気候変動の影響などについて新たにカリキュラムが加えられることになった。

2009年9月27日日曜日

世銀がバングラデシュの地方道路整備に$190M拠出

この整備プロジェクト(Rural Transport Improvement Project)は、2003年7月に開始されており、すでに資金の75%は提供済みである。2011年の完了を予定している。

同プロジェクトはこれまでに2400キロの道路整備、108の市場設備と28の桟橋を完工させてきている。

2007年までに、従来と比較して移動コストと時間がともに50%削減され、病院や学校、市場への移動が促進された、と同銀行。

バングラデシュで、最貧層向けに雇用を創出する$170.5Mパッケージ

同国政府は、2009-2010財務年度で約170億円の雇用創出政策を実施すると発表した。
最貧層の中から雇用する。まず2009年中は10月中旬に45日間112万人(3分の1は女性)を雇用。2010年には農閑期の3-4月、9-11月の5ヶ月間にわたって約200万人を雇用する。

仕事は地方の社会インフラ整備である。学校、礼拝施設、道路、堤防、運河掘削など。

同国財務相によれば、人口1億5千万人のうち半数近くが1日1ドル未満で暮らす層だという。

同国では農業が雇用の半分を生みだす。現在の失業率は約6%とのこと。



屋内の空気を汚染しない新ストーブ導入を決める要素とは


Joygun Nessa, a lady farmer from Bangladesh, cooking "muri" (puffed rice). Part of the image collection of the International Rice Research Institute. (CC)

BOP市場で事業展開を考える企業にも興味深い研究結果が出ている。

伝統的なかまど(上図)に動物の糞やワラ、小枝をくべて煮炊きを行う人口は世界30億人に上るという(国連調べ)。その際、料理をする人(現実には圧倒的に女性)がススを吸い込んだり、室内にもススが蔓延し、呼吸器疾患を引き起こす。かまどに煙突を付けるという単純な技術さえ採用すれば容易に解決するのだが、そうした「クリーンなかまど」はなかなか普及が進まない。なぜか。

スタンフォード大の環境研究所(Woods Institute for the Environemnt)のチームが、屋内空気汚染を起こさない煙突付きのストーブ(煮炊き用のかまど)がどのような条件であれば各戸に導入されていくのか、バングラデシュ農村部で大規模な実証実験を行っている。

チームはBRACと全面協力し、60村の3000戸を対象に様々な条件を変えながら実証を行った。その結果わかったことは下記の通り(詳細は記事原文を参照されたし)。

1)価格は非常に重要(安いほどよい)
2)「買いたい」の比率と、「実際に買う」の比率には大きな隔たりがある
3)かまどに余分に出費するのであれば、「燃焼効率がよく、少ない燃料で早く煮炊きできるもの」よりも、「料理する女性の健康を守るもの」にお金を使いたい
4)「クリーンなかまど」を無料で提供しても、導入家庭は70%に届かない(価格以外の要素が導入に重要な影響を与えている)
5)コミュニティのリーダー(有力者)が拒絶する技術はやはり村人からも拒絶される。
6)コミュニティのリーダー(有力者)が実際に選択して使用している技術は村人には採用されにくい(高価な新技術は教育を受け、富裕なリーダーにふさわしいもので、そんなものは一般民が使うものではない、という意識の存在)
7)導入可否の意思について、男女に大きな差はない。(だが、現実の家庭の多くでは夫が出費の意思決定を行うので、妻が盲目的にそれに従っている可能性が否定できない)

さらなる調査項目:
8)コミュニティリーダー以外の社会ネットワークの影響(例:家族、友人、隣人)
9)時間制約
10)使い勝手の良さ(扱いやすさ)
11)料理の味への影響


<コメント>
上記の要因で、5)と6)の関係がきわめて微妙に絡み合っている点が、大変重要に感じられる。コミュニティ内の伝統的序列を逸脱しない範囲でしか新技術は導入されないのだ。この辺りは、新たな製品を伝統的な農村部へ導入していく際、十分に留意されるべきであろう。


WFPの資金不足で援助が打ち切りに(続報)

先のエントリーでWFPが活動予算の半分しか資金確保できていない点が指摘されているが、懸念は現実のものとなった。先進諸国からの寄付が十分伸びず、バングラデシュでの食料援助規模は半分に縮小され、近々打ち切られることになった。アルジャジーラがその件を取材映像で紹介している。

国連によれば、同国ではとくにここ数カ月、5歳以下の子供200万人が深刻な栄養不足に陥っている。その大半は北西部の洪水に見舞われる地域である。食料不足が深刻なのは、コメの植え付けから収穫までの期間だという。

ユヌス博士が米ライス大でcommencement speechをする

有名人の卒業式スピーチといえば、スティーブジョブズのスタンフォード大でのものが有名だが、ユヌス氏はどのような話をするのだろうか。ところで、このジョブズのスピーチは、ビジネスに関わる人間にとって、すべての若者にとって、大いなる勇気を湧きあがらせるものです。

バングラデシュの教育機関一覧ウェブサイト

「最貧国」のイメージとは異なり、このウェブサイトによれば、同国には26の国立大学、47の私立大学、コンピュータ教育の専門学校は62ある。医歯大は16校。


むろん、先のエントリーで指摘したペーパーミル化のように、その教育の質の確保はまた別のイシューである。

2009年9月25日金曜日

バングラデシュで新ガス田発見。10年に一度の規模。

ChevronとPetrobanglaのジョイントベンチャーが語った。生産量は124 billion cubic metersになると試算されている。とはいえ、これでガス枯渇までの年限を引きのばせるといっても2-3年分だという。



バングラデシュの新教育法案、すでにHasina内閣へ回付

過去のエントリーで既報の新教育政策法案が特別委員会から内閣へ提出され、あとは議会の承認待ちとなった。与党が5分の4を占める議会ゆえ、その通過は確実視される。

新教育政策の骨子:
1)教育年限の合計を10年から12年に
2)無料の義務教育年限を3年から8年間に延長
3)初等教育のコア科目は、Bangla, English, mathematics, Bangladesh Studies, social environment and climate change, and information technology and science
4)女児が教育を受ける権利の確立
5)先住民族が自らの言語で教育を受ける権利の確保

また、現状47.5%に上る大人の文盲率の減少も期待される。(ちなみにインドの文盲率は34.8%)

新教育法への批判:
1)カリキュラムに実践的・技能的教育(職業機会の増大につながるもの)が抜け落ちている
2)教育人材の開発とシステム・設備への手当が不十分


<コメント>
いわゆるvocational trainingがどのように若年層および成人層へ提供されうるのか、研究の余地あり。雇用企業の職業訓練を請け負う形をとれば、ここには事業機会もある。

GrameenTrustとメキシコのCarsoグループ会長の財団がMF事業を立ち上げ

GrameenTrustは、Grupo Carso会長Carlos Slim氏の財団と組んで、MF企業であるGrameen Carsoを設立した。当初は$5M+$40Mの追加融資枠でスタートし、当初5年間で10万件の融資を目標に掲げる。最終的にはメキシコ全土をカバーする計画だ。


ちなみに、$45Mを10万件で割ると、ローン1件平均$450。

バングラデシュHasina首相、2015年までにFDIを$7Bに

これまで政府によるプロジェクトのほとんどは国際機関系銀行からの借款であった。そうした資金援助から脱却し、国外からの直接投資によって、いわば独り立ちの経済発展を追求する意思表示を行ったものだ。すでに2008年度のFDI総額は情報通信系投資が主力となって$1Bを超えた。

ちなみにIMFによれば、同国の経済成長率は5% in 2009、5.4% in 2010で、Hasina首相によれば、2009年の成長率は6%の見込みだ。

2009年9月24日木曜日

バングラデシュの女性季節労働者

Bangladesh Economic Review 2008 によれば、バングラデシュから国外への出稼ぎ労働者は総数550万人に上り毎年巨額の送金を母国に対して行っている。そのうち6%に当たる33万人は女性である。男性労働者にとっては、季節労働は母国での低賃金から逃れ、貧困から脱却するためのパスポートとして認識されているが、女性の季節労働者は社会的経済的自立に貢献すると同時に、搾取の危険性には男性以上にさらされるという。

1998年、マレーシアでは自国民の職を確保するため、バングラデシュの労働者が締め出され、帰国を余儀なくされた。Bangladeshi Obvibashi Mohila Sramik Association (BOMSA) – or Association of Female Migrant Workers of Bangladesh は、こうした女性季節労働者の支援を目的に1998年設立された。

マレーシア以外にも、女性労働者はサウジアラビア、アラブ諸国連邦、バーレーン、オマーン、ジョーダン、カタールなどへ縫製工場勤めや家政婦として赴き、また技術を持った人材は医療アシスタントとしてクウェートで職を得ることができる。それ以外にも、出稼ぎ先は英国、イタリア、日本など20カ国にのぼる。

1998年にマレーシアから帰国を余儀なくされたSheikh Rumana さんによれば、男性に比べると女性の場合、斡旋業者や雇用者が当初約束した賃金を支払わなかったり、精神的肉体的ハラスメントに遭遇する危険性も高いという。BOMSAでは、国を超えた季節労働における女性の地位確立を目指して様々な活動を推進している。


HASUNA社 日本のフェアトレード事例

http://www.hasuna.co.jp/
2009年4月創業

「BOPビジネス」の報道が増えている

本フォーラムでも紹介した経産省の取り組みに呼応して、関連の報道が日本でも続いた。

「途上国向けのビジネス 企業進出を支援 経産省が試行事業」2009年9月24日日経新聞朝刊

「マラリア予防・汚水浄化…途上国ビジネス、日本も加速」2009年9月24日読売オンライン


HISがバングラデシュ向けスタディツアー2種を発売

日本人旅行者の関心をバングラデシュをはじめとする途上国へと向かわせる一つの方策という。バングラデシュ出身のHIS執行役員ボビー・ハック氏が語った。今回の商品は第2弾。現地でストリートチルドレンを支援するNGOエクマットラと協力して子供たちと触れ合う機会を設けるほか、グラミン銀行やBRACの見学を組み入れた。マザーハウスと共同開発した第1弾の好評を受けて企画。

中国のB2BサイトAlibabaが、グラミンのMFに出資、マイクロ起業家の事業を自社サイトで発展させる機会を

BOP市場へダイレクトに切り込むビジネスモデルである。

B2BサイトのAlibabaは、中国国内でグラミントラストが運営するMFに$5Mを拠出し、マイクロ起業家の事業を自社サイトに誘引し、ネットベースで拡大させることを計画している。マイクロファイナンスと電子商取引が組み合わさっている。Alibabaにとってもマイクロ起業家にとってもWin-Winのモデルを目指す。

最初の5年間で貧困地域(対象地域はChinese provinces of Sichuan and Inner Mongolia)の8000名超が平均$400の融資を受ける。

OPICがMFIへの融資枠$250Mを設定。MFの活況へつながるか。

米国政府の対民間投資組織であるOPIC(The Overseas Private Investment Corporation)は、Citiとの成功裏な関係(2006年の$100M)を拡大する方向で、マイクロファイナンス向けの資金枠を$250M増設した。

Citibank Bangladesh は、バングラデシュでMFIs向けの大規模取引を数々行ってきている。たとえば、世界で初めてMFの証券化をBRACに対して行い、さらにOPICとIFCと共にBRACに対してリスクシェアリングプログラムを提供してきている。Citibank Bangladesh 首脳は、今回のOPICの資金枠拡大で、バングラデシュにおけるMFはさらに拡張するだろう、と述べた。

FrontlineSMS:Medic、SSFPおよびNokiaと共同でバングラデシュでCHWsの支援を開始

BOP農村部でCHWsが直面する問題は、BOP市場で企業が直面する問題そのものでもあり、企業がその営利活動を通じて社会問題に対応する場合も十二分に学んでおく必要がある。

FrontlineSMSとは、NGO向けに開発された無料のオープンソースソフトウエアである。GSM携帯であれば、双方向・1対多など柔軟にテキストメッセージをやり取りできる。2009年にTechAwardsを受賞している。

このFrontlineSMSをベースにスピンアウトしてできた活動がFrontlineSMS:Medicであり、主としてスタンフォード大学医学部を中心とする学生や関係者が立ち上げた。CHWsのヘルスケア活動をSMSベースのプラットフォームで支援し、アフリカのMalawiUgandaで実績をあげてきた。今回バングラデシュに活動範囲を広げた。

同組織のBlogでバングラデシュにおける活動概要を報じるエントリーによれば、今年2月、SSFP(下記注参照)がコンタクトしてきたことで活動が始まった。以来、SSFPの中で組織されているCSPs(community service providers. BRACなどで言うCHWsと同義)の活動をNokia社との連携により、支援している。

(注:The Smiling Sun Franchise ProgramUSAIDベース。バングラデシュでNGOによる医療サービス普及をめざす活動。現在全国に300超ある診療所(clinic)のサポートを目指している。)

現在、CSPは一人当たり200-300世帯を受け持ち、それら世帯の多くは地域の親診療所から遠く離れた土地に居住している。SSFPのネットワークの中で最大の問題は、6000名に及ぶCSPの活動内容を管理・検証・活用することである。

現状は、それら6000名のCSP各々が所属する親クリニックに月次で活動報告書を出している。それらのデータをSSFPレベルに集約するのにさらに15日間かかり、その間7階層の書類を経るため、データの誤まりが絶えない。結局SSFPメンバーのNGOやSSFPが集約データを見るのに最低でも45日前のものになる。

このデータの遅れと精度の結果、SSFPやメンバーNGOがヘルスケア動向の変化や医療用品の在庫調整、 医療施設へ紹介した重篤患者が実際には来院しない問題のフォローなどが、後手後手に回ってしまっている。

さらには、新たなイニシャチブの効果測定ができない問題も生じている。たとえば、全国規模で水質浄化キャンペーンを開始した際のことである。SSFPメンバーのNGOやSSFPは、水質浄化タブレット(錠剤)がCSPsの手を通じて迅速に普及していく様を期待していたのだが、信頼できる内容でタイムリーに活動報告や反響が伝わってこないため、キャンペーンの成果があるのかないのかが判断できない。そのため、そのキャンペーンそれ自体や同様の活動をやめるのか、修正すべきなのか、手j規格な判断ができず、結局多くのキャンペーンの持続性が落ちてしまっている。

そこで活用されるのがFrontlineSMS:MedicによるSMSを活用したプラットフォーム(下記)である。このパイロットプロジェクトで、Nokiaは130台の携帯電話とOviのライセンスを数部無料で提供している。

出典:

http://medic.frontlinesms.com/2009/09/22/frontlinesmsmedic-in-bangladesh-ssfp-and-nokia/

2009年9月23日水曜日

Community Health Worker/CHW(地域の保健衛生従事者)とICT活用

今回のバングラデシュ行においてもBRACのclinicを訪ね、そこでCHW(コミュニティ・ヘルス・ワーカー)が地域の妊産婦の定期検診をしている場面を見学させていただいた。

一般にCHWsは、妊婦や新婚世帯へのカウンセリング、コンドーム販売等家族計画メソッドの普及、健康に関する教育、産前産後のケア、重篤な病気の患者発見と地域病院への受診支援などに従事する。

ちなみに2004年のこの記事によれば、BRAC創業者であるFazle Hasan Abed氏の信念(貧困解消のカギは女性の役割にある)に基づき、BRACのヘルスケアに対する原則は下記のようなものである。

「長年の経験によりBRACは、効率的で公平なヘルスケアサービスを提供するためには3つの条件が成立している必要があることを発見した。
1)サービス提供の仕組みの『運転席』に座るのは、サービスを受けるコミュニティの中から採用された村人自身(多くの場合女性)であり、村の実情に合わせて報酬を得ていること。(フォーラム注:CHWのことである)
2) 村民への支援・指導内容はその地域に最も頻繁に起きる問題にフォーカスし、その問題の対応に関してより熟練したCHWsによって行われていること。
3)医師、看護師、その他の医療専門家により、十分なバックアップが用意されていること。

BRACは、2004年までに3万名のCHWsを養成してきており、6万の村々の7000万人の住民をカバーできているという。そして年間の必要経費$160Mのうち、5分の4はBRAC自身が他事業で稼ぎ出した自己資金でまかなわれている。

こうしたCHWsは、農村部の地理的に拡散した地域で活動しているが、医療機関との間での患者情報の集約や共有で極めて非効率な状況にある。ここにICTの活用余地がある。(続く)


温暖化による海面上昇におびえるバングラデシュ沿岸・河口部の人々(フィナンシャルタイムズ)

いくつものエピソードが語られる。先祖代々の土地を流されていく人々。

「このままここに住み続けていては、子供の教育もできない。はるか遠方の縁者を頼ってダッカに出るしかないか、と考え始めている」

「堤防ができない限り、夜中じゅう聞こえる波の音におびえるしかない。」


だが、この記事に対し、実際には海面上昇による土地消失以上に、河川で運ばれた土砂堆積による河口デルタの拡張による土地拡大が生じており、国土消失という報道は部分的だとの批判もある。

アジア開発銀行が、バングラデシュ非都市部の中小規模企業へ$76Mを新規融資

ダッカやチッタゴンといった都市部以外の中小企業は、地方(非都市)の経済規模及び雇用の50%以上を生み出す重要な存在である(残りは農業)。にもかかわらず、融資資金の調達困難から、同セクターは苦しんでいる。

今回のADBによる融資活動は中長期の融資である。32年の長期ローンでは、最初の8年間の年利が1%、9年目以降は1.5%である。本プロジェクトに参加する金融機関を通じ、資格のある中小企業へ貸し出される。(コメント:マイクロファイナンスの年利10-15%に比べると破格に低い)

ちなみに、同国では、上記2大都市を含む東部と、それらを含まない西部の間で収入格差が大きく、西部では人口の50%以上が貧困ライン以下に入るとされる。

バングラデシュにおける原子力発電、いよいよ着手へ向けて動き出す

かつて1964年にカナダとの間でとん挫した原子力発電の導入が、Hasina政権の下で再び動き始めている。すでに2009年5月、ロシア政府との間でMoU (memorandum of understanding)を交わし、ロシアが原子力導入の支援を行うことで同意している。その支援の内容がこれから細部の詰めに入る模様だ。10月にバングラデシュ代表団がモスクワ入りする。
建設予定地はバングラデシュ北西部のRuppur地区。稼働開始は2015年を目標。金額は$150M。発電能力は600-1000MW。
すでにIAEAは2007年、バングラデシュに原子力発電所建設にゴーサインを出している。


「バングラデシュは,現在,5,198MWの電源設備を持っているが,現状で,1,000~1,500MWの不足と見られている。国民の40%がまだ電気を使用していない。電源の90%は東部の天然ガスに依存しているが,枯渇の危険に脅かされている。」 今回の原発の建設資金に関し、同国は先進国政府に支援を求めているが、OECD諸国の取り決めでODAでは原発建設資金は支援できないという。

電力不足による飲料水不足(バングラデシュ)

電力不足が、飲料水供給のためのポンプを止めてしまう。たとえ電気の通じている地域でも、その供給は不安定である。2008年のアルジャジーラが報じる電力不足による水不足の報道。ブログ「アジアのエネルギー最前線」経由。

2009年9月20日日曜日

バングラデシュ外相が世銀に改めて協力要請「2021年までにmiddle-income countryに」

ワシントンで世銀VP南アジア担当 Isabel Guerrero氏に会ったDipu Moni外相は、バングラデシュを2021年までにデジタル化とともに「中所得国」(注)にすべく、支援を求めた。会談で特に議論されたのは、線路輸送網、エネルギー、水資源、社会インフラ、南アジアを含む貿易といった各分野における世銀による投融資である。外相はまた、情報データ分野における能力構築の重要性にも触れた。


注:Moni外相が意味しているのは、おそらく下記のlower-middle income (バングラデシュ現状の1階級上)であろう。 Income group: Economies are divided according to 2008 GNI per capita, calculated using the World Bank Atlas method. The groups are: low income, $975 or less; lower middle income, $976 - $3,855; upper middle income, $3,856 - $11,905; and high income, $11,906 or more.

経産省による「BOPビジネス」FS調査支援の公募結果(続報)

先に本フォーラムでも公募内容についてコメントした、経産省の「BOPビジネス」フィージビリティスタディ調査支援事業の採択企業と調査内容が決定した。以下、抜粋。

1.味の素:アミノ酸を活用したタンパク栄養食品(ガーナ地元伝統食品をベースに開発&事業化)
2.三洋電機&ガイアイニシャティブ(NPO):小規模独立発電充電ステーション(インド農村部ソーラーランタン)
3.住友化学:熱帯感染症撲滅民間事業(アフリカにおける援助に依存しない事業の可能性)
4.ソニー:小型分散型発電・蓄電システム(インド無電農村部で、地元採取可能な原料を活用)
5.テルモ:アフリカにおける血液パック供給等の事業(ザンビア、タンザニア、モザンビーク)
6.豊田通商&プラネットファイナンスジャパン(NPO):地元採取非食料植物によるバイオディーゼルエネルギー製造販売(ケニア、ウガンダでマイクロファイナンスを活用)
7.ニプロ:結核診断キット事業化(東南アジア)
8.日立製作所:太陽光発電装置による社会課題解決型事業(インドネシア無電化集落での電気供給)
9.ヤマハ発動機:途上国村落向け小型浄水器供給システム(インドネシア飲料水供給体制構築)
10.湯川鋳造所, 日本ポリグル, ポリグルテクノジャパン:水質浄化剤&簡易型浄水設備(バングラデシュでの小分け浄化装置・水販売等)

<コメント>

事業分野としては、エネルギー(4件)、医療系(5件、浄水2件含む)が多い。食品は味の素1社のみ。情報通信系がゼロであるのは興味深い。

採択企業の大半はよく知られる大企業であった。ヤマハの浄水器や住友化学のオリセットネットは、かねてからNRI作成の経産省発文書、経産省主催のフォーラムでもたびたび取り上げられているものである。また味の素は、東南アジアにおける調味料事業に古くから取り組み、絶大なシェアを持つことが知られている。こうした名の通った「一流企業」が取り組みを示すことで、他企業の関心を呼ぶこともあるだろう。

一方、日本ポリグルは独自浄水技術による水質浄化の専門企業であり、他の採択企業とは少々毛色が違う。2008年からNPOと組んで世界の開発途上地域にきれいな水を届けるプロジェクトをはじめるなど、企業としてBOP市場へのコミットメントが感じられる。


2009年9月18日金曜日

バングラデシュのIT業界

貧困のイメージの強いバングラデシュであるが、同国のITセクターは急成長している。400社以上のソフトウエア・IT企業が自社の製品(ソフト・ハード)を30カ国以上に輸出している。業界団体(BASIS:Bangladesh Association of Software and Information Services)によれば、現在の成長率(対前年度比100%弱)が続けば、2013-14年度には輸出額が$US500Mに達するだろう、という。

同国のソフトウエア開発業界の市場規模はTaka 20 billion (about $285.71 million)で、約2万人のskilled and semi-skilled professionalsが雇用されている。

新政府が進める2021年までのデジタルBangladeshの実現も、業界の成長を後押ししている。


<コメント>
本フォーラムメンバーによる本年7月の訪問調査では、グラミンフォンやbracNetなどNGOと関連するICT企業だけでなく、地元のIT企業3社もインタビューしている。ソフトウエア開発企業やIT機器の輸入販売業者である。そのうちの1社のソフト開発企業の社長は、輸出先の潜在顧客が「バングラデシュ=貧困国」というステレオタイプの認識を強く持っているので、商売がやりにくい、と語っていたのが印象的である。

国連の世界食糧計画(World Food Program)が資金不足に言及

WFPによれば、食糧援助の資金規模は過去20年で最低水準に達し、今年は史上初めて地球上で10億人を超える人々が食料不足に陥るだろう、と警告している。

WFPは2009年に、$6.67B(約6000億円)の資金で1億800万人に食糧供給する計画だが、そのうち$2.6Bしか確保されておらず、このままでは世界規模で援助の縮小を余儀なくされるという。

現状の計画がフルに果たされても、バングラデシュで価格高騰から食料不足に陥っている人々の5分の1、ケニアで旱魃で食料不足に陥っている人々の半分にしか食糧を供給できないという。



2009年9月17日木曜日

バングラデシュ外相とクリントン米国務長官が会見


ワシントンで、バングラデシュのDipu Moni外相とクリントン国務長官がワシントンで会談。外相はバングラデシュ製品の無関税での米国への輸入を希望した。


この二国間自由貿易が可能になれば、バングラデシュ製品の価格競争力を米国市場で発揮できると同時に、関税部分の一部はバングラデシュに利益増として還流するだろう。

バングラデシュ商務相が米企業CIO会議で講演

バングラデシュ商務相 (Commerce Minister)Faruk Khan氏は、米国のCIOが集まるコンファレンス(Mi3 Inc.主催)で講演。
バングラデシュで設置が計画されている6つのハイテクインダストリーパークを紹介するなど、アウトソーシングにおけるバングラデシュの利用価値を強調した。

2009年9月16日水曜日

「ムハマド・ユヌス不評の理由」

こうした話は常に賛否両サイドの話を公平に聞くことが必要であるが、このような認識が少なくとも何名かのバングラデシュ人に存在することは事実なので、それは知っておいてよいと思う。

「貧しい農村女性の自立支援のためのマイクロクレジットに見えるが、実態は、「グラミンの光と影」で書いたような、女性心理を巧みに利用した高利貸しであり、法人税も無税でありながら、利益を社会還元しないユヌスに対しては、ベンガル人の大半は厳しい見方をしているようだ。」

本エントリーをご覧になって、この批判とは逆のお考えの方、もしくはこうした批判が出る背景についてご存知の方はぜひコメントしていただければと思います。

世界の児童労働は2億人:米国労働省発表

アルゼンチン:イチゴ
バングラデシュ:靴
ボリビア:金、銀
カンボジア:ゴム
ミャンマー:ヒスイやチーク材など14品目
インド:ガラス製の腕輪や足輪、革製品、サッカーボール
パキスタン:じゅうたん
ロシア、ウクライナ、フィリピン、タイ:ポルノ制作

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2639943/4564717

バングラデシュ通信相、Asian Highway Network (AHN)への接続に期待

通信相(communications minister) Syed Abul Hossain氏は、バングラデシュがAHNに接続できれば、輸送網の充実により多くの経済効果が期待できる、と。

Asian Highway Network: 国連が1959年に開始し、中断を経て現在も続く高速道路計画。141,236 kilometersの高速道路を32のアジア諸国を縦断接続し、ヨーロッパに続く。

こんな計画があることを知らなかった。(岡田)

アジア最大のショッピングモール(バングラデシュ)続報

Jamuna Future Park shopping mall
店舗数2000、駐車場5000台分。オープンは来年。

http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5jaqSHqlX6l5jXZhnp7wfqjTOE8NA

参照:過去エントリー

今後数年間でインドに25のビジネススクールを設立する計画

インドの教育サービス企業Everonn Education社は、25億ルピー(約47億円)を投じ、今後数年 in the next few yearsで25のBスクールを展開する計画という。経営教育市場の急拡大が見込まれている。

http://www.business-standard.com/india/news/everonn-plans-to-open-25-b-schools/369284/

People Tree フェアトレード通販・直営店舗展開 

フェアトレードそのものをミッションの中核に据えた日本企業。1995年設立。母体のNGOは1991年発足の環境・国際協力NGO「グローバル・ヴィレッジ」。マザーハウスの設立は2006年だから、はるかに古い。


本エントリーの経由地:もったいないキング氏のブログ

バングラデシュの環境・森林相、直面する地球環境変化に関し、先進国による救済を希望

内容は、アジアの途上国が直面する海面上昇に対し、適応だけでなく解決のための方策が必要だ、というもの。具体的には、今年12月のコペンハーゲン環境サミットに向け、先進諸国がCO2排出量を削減することを主張している。だが、bail-outという言葉には多分に財政的救済の意味もあり、途上国側が先進国による環境破壊に対し、援助という形のお金による救済を求めるという構図・本音が見え隠れする。

2009-10のバングラデシュ輸出は9%成長の見込み

シティグループによる予測が発表された。

バングラデシュの商業銀行業界

ResearchAndMarkets社が2009年Q3のレポートを販売している。
有料だが、無料の部分からカバーされている銀行名を知ることができる。

中央銀行総裁は「MFは貧困の解消に大いに貢献しており、政府の金融政策の対象としてMF機関を組み入れることが必要かもしれない。」

- Sonali Bank
- Janata Bank
- Agrani Bank
- Rupali Bank
- Islami Bank Bangladesh Ltd
- Prime Bank Ltd
- Pubali Bank Limited

2009年9月15日火曜日

Up and Out of Poverty

マーケティングの大家、Kellogg School of ManagementPhilip Kotlerの新著。

Kelloggの機関誌に掲載されている書評から

"Philip Kotler adapts social marketing techniques to confront the challenge of global poverty"

"The new orientation would be to consider a larger context in the lives we lead"

世界に占める極度と中程度の貧困層の購買力(buying power)は$8billion per dayにのぼり、今起こっている問題は世界不況による供給過剰(overcapacity)ではなく、貧困層のニーズを満たすことが出来ていない消費低迷(under consumption)と考えるべきである。
本著では貧困層が彼らの生活を改善するためのセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングなどの高度なマーケティング戦略と技術を紹介している。




書評を読む限り、既存の(援助、寄付などの)貧困削減アプローチだけでは貧困解消は困難で、営利企業が利益を上げつつ社会的課題の解決をしていく必要があるというメッセージである。

Kelloggで昨年生み出されたビジネスプランの半分はSocial Enterpriseだったと言う。MBAの授業でも「Social Enterprise」が「Marketing」や「Finance」と同列に一つのMajorとなっており、必修科目にも入っている。

以上、Kellogg交換留学中の栗原からレポートでした。

2009年9月12日土曜日

なぜ貧困は生じ、開発援助はコミュニティにいかなる影響を与えたか。

営利企業の活動を通じた貧困の解消と利益創出を、持続可能な方法論で実現することが本フォーラムの目的であるが、その前提として、なぜ貧困が生じ、ながらく解決していないのか、またその間様々な援助(政府施策、ODA、NGO)は何をし、どのような影響を人々やコミュニティの属性に与えてきたのか。長年の援助は、本当に人々の自立する意識を低下させてしまったのか。

上記の歴史と現状を知ることは、BOPで企業活動を始める前提として重要である。

それを指摘しているのが、shinoise下記エントリー:

同エントリーに紹介されている書籍:

バングラデシュでVested Property Act (既得財産法)が廃止に

同法は、バングラデシュがまだパキスタンの一部であった時期に、非イスラム教徒の少数派(ヒンドゥー教徒)を差別的に扱う法として成立した。以来、多くの人権擁護団体がヒンドゥー教徒への資産返還を求めて批判を強めていた。こうした背景の下、バングラデシュ政府は本年9月9日、本法の廃止を決めた。

2009年9月11日金曜日

バングラデシュ ニット協会 日本市場開拓へアピール

ニット衣料業界自らによる海外市場開拓への働きかけが始まっている。こうした能動的アクションに日本企業が積極的に応えていくのも社会的価値と経済価値の両立につながるだろう。

2009年9月9日水曜日

民間事業者へ衛星放送チャネルが認可される見通し:バングラデシュ

バングラデシュ情報相が議会で語った。ただし、発給されるライセンスの数は明らかになっていない。情報相の談話の中ではa few licensesをできる限り早く発給したい、となっている一方、デイリースターの記事ではa number of (沢山の)となっている。いずれにせよ、衛星放送テレビのチャネル枠が民間に開放されるということで、事業者にとっては、事業機会の拡大であり、望ましいことである。

すでに前暫定政府時代から、衛星放送枠への申請は数多くあり、今回は暫定政府時代と現Hasina政権になってからの申請をあわせて検討し、その中から発給対象事業者を選定するという。

2009年9月8日火曜日

2025年にはバングラデシュの国土の3分の1が海面下に



地球温暖化による海面上昇により、2025年までに国土の3分の1が海面下に水没すると予測されている。海抜の低い土地が占める割合が大きいという地理的属性は、サイクロンなどの際の風水害をより深刻化させている。

水没の危機に直面する沿岸地域に居住する国民は約3500万人であり、その半数は貧困ライン未満の生活水準であり、従事する職業は漁業、農業、観光業、エビ養殖、海水からの塩製造などである。

フェアトレード バングラデシュ雑貨の店 Ajee

マザーハウスと概ね同時期に、バングラデシュでの生産、直接調達の雑貨・バッグ店がネット通販会社としてオープンしている(本社福井県)。素朴ではあるが、BOPの人々が生産者・企画者・事業者として参画するビジネスモデルである。

2009年9月6日日曜日

「幸せの定義」:教育を受ける自由と職業機会

アイセックの活動の一環として、UCEP(Underprivileged Children's Educational Programs)(バングラデシュのNGO。都会のスラムに住む、労働する児童を対象とした教育プログラム。)で教えた南波さんのコメント。南波さんは非常に頭の良いトゥヒンという少年に出会う。しかし彼は貧困ゆえに間違いなく大学には行けず、この国では定職を持つことが最大限の成功だろうが、もしも彼が日本で生まれていたならば、、、と南波さんは続ける。そして、「『夢を持った子どもが、たとえ努力を積んだとしても、自分の才能や可能性を最大限に発揮できない社会』なのだと痛感した。」

この感覚は、私がバングラデシュ訪問時に地元IT企業の社長から聞いた話と符合する。「この国では、いわゆる『努力して勉強して、より良い教育を受ければ、誰でもそれなりに上へ行ける』という日本やアメリカでは当たり前のことができないのです。現実には資産を持つ家に生まれるかどうか、が人生や職業に大きな影響を与えてしまいます。」 たしかこの社長は、「まだこの国はknowledge-based societyになっておらず、asset-basedなんです。」と表現していた。

一昨日のエントリーにあるように、徐々に教育インフラが充実するにつれ、この国も本人の努力さえあれば、相応に上へ行ける仕組みがはやく出来上がってほしい。GrameenBankなどが実行している大学進学用無担保融資などもあるわけで、少しづづつ変化は起きている。一教育者として、UCEPには大変興味を覚えた。

2009年9月5日土曜日

インドでは6-14歳の教育を無料化する法案が議会採決待ち



すべての6-14歳(8年生まで)の子供への教育を無料化する法案。


http://timesofindia.indiatimes.com/India/Bill-making-free-education-fundamental-right-gets-cabinet-nod/articleshow/4730147.cms

<コメント>
このインドの初等教育無料化の動きが先行し、バングラデシュにも影響を与えていると思われる。

2009年9月4日金曜日

バングラデシュの初等教育を義務化・無料化する答申出る

同国の新たな教育政策を答申する委員会より、次のような提案がなされた模様だ。

1)初等教育を8年生まで、中等教育を12年生まで延長
2)科学、技術、環境、道徳(モラル)教育の分野を強化・増強
3)初等教育を義務化・無料化
4)新たな「統合教育法」の下で、非政府の教員委員会と生涯教育委員会を組織し、上記の政策を実行。


現在は教育相が提言内容を精査しており、そこを通過し次第、Hasina首相へ諮問され、内閣へと回されるとのこと。

<コメント>
多くのNGOが関与・支援しながら、この初等教育のユニバーサルアクセス(就学年齢児童全員が教育を受けられる)&無料化が推進されていくことだろう。

バングラデシュの衣料輸出業組合(BGMEA)が、政府に財務援助を要望、ニット衣料輸出業組合B(KMEA)と財務省は反対を表明

今年は2009年11月27日に行われるイスラム教最大の祭り、イード・アル=アドハーEid ul-Adha、犠牲祭、羊などの家畜を捧げるイスラム教の祭り)に先立って、従業員に賃金やボーナスを支払えないとして、Bangladesh Garment Manufacturers' and Exporters' Association (BGMEA) が政府に要望を出した、と同組織President Abdus Salam Murshedi氏が語った。同氏によると、1500の衣料工場の4割以上でイード祭り前のボーナスが支払えない状況だという。世界不況による海外からの注文急減(米国からの1-6月期の注文は前年比6.97%減など)が原因である。

政府は同業界への支援として2009-2010財務年度中に $724.64 million (BDT 50 billion)の支出を予定しているが、今回はそのうちのUS$434.78 million (BDT 30 billion) の支援を求めている。

政府の輸出統計によれば、同国(2008-2009)の織物衣料(woven garment) の輸出額は $5.918 billion against the $5.684 billion target、編み物(knitwear,ニット製品)は$6.429 billion against the target for $6.583 billionだという。

バングラデシュでは、現在300万人以上の労働者が4800の衣料工場で働いている。


一方、この祭り前の支援パッケージ要望に対し、ニット衣料輸出組合と財務相は、反対の意思表示をしている。

アフリカのブロードバンド普及:成長率は年平均28%

2009年第二四半期末現在、アフリカ大陸47カ国のうち、40%は海底ケーブルへのアクセスがなく、高価な衛星経由に依存せざるを得ない状況という。

2011年の半ばにかけて新たに12本の海底ケーブルが敷設されることに伴い、ブロードバンド接続のないアフリカの国の数は19から1に減少、2013年までの有線&無線ブロードバンド普及率の年平均成長率は28%に達する見込み(Pyramid Reserach調べ)。

2009年9月3日木曜日

バングラデシュの電力供給能力が今年12月までに752 MW 増強

Chairman of the Parliamentary Standing Committee on Power, Energy and Mineral Resources Subid Ali Bhuiyan氏が明らかにした。現時点の発電能力4250MWに加え、今年中に752MWが、さらに2011年12月までに上乗せで1500MWが増強される計画。天然ガスや石炭で発電された電力は産業用に、風力、太陽光、波力発電で得た電力は家庭用に用いる方針。議会関係者は、太陽光や風力発電設備の増強に関するマスタープランの提出を3カ月以内にするよう、委員会に要請。

地元手織り綿布(handloom cotton)製のアパレルショップモールが業者自らの手でオープン


Visitors crowd an outlet of Deshi Dash, an emporium of 10 local boutiques that have joined hands to show off their products at Bashundhara City shopping mall in Dhaka. Photo: Amran Hossain

バングラデシュで、手織り綿布業者10社が共同でアパレルショップのモールを開設。業者は、「地元産綿製品の販売を活性化し、手織り綿業界発展のプラットフォームを作ることが我々の目的だ」と意気込みを語った。背後には農村部の150万人に及ぶ零細手織り事業者がおり、彼らにとって生活がかかる重要な産業になっている。


アフリカ産業戦略勉強会

月に1回、政策大学院大学にて開催されている。
http://www.grips.ac.jp/forum/newpage2008/industrialstrategy.htm

BRACと中央銀行が共同で小作農に初の無担保融資を実行

BRACとバングラデシュ中央銀行(The Bangladesh Bank、BB)は、9月2日に契約を交わした。BBがリファイナンス用に5Bタカ(約$72.45M)を確保した。契約は、BRACがBBから年利5%で同額を借り入れ、同国700万小作農の内、30万件へ無担保で融資する。年利は10%。

BBは来年半ばにも融資と返済の状況をモニタリングし、さらなる拡張(他のNGOへの融資)について意思決定するという。

BRACは、これによって小作農がより現代的技術を導入し、生産性をあげられることを望んでいる、と語った。貸し出しは小作農のグループ対象となり、作物の種類ごとに一定額を貸し出すという。


<コメント>
73億円を30万件で除すると、平均の貸出額は約24000円/1件であり、「現代的技術」の導入が農機具であるならば少々心もとない気もするが、肥料などであれば、十分に購入できると思われる。

Sustainability Challenges and Solutions at the Base of the Pyramid: Business, Technology and the Poor

http://www.amazon.co.jp/Sustainability-Challenges-Solutions-Base-Pyramid/dp/1906093113/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=english-books&qid=1251953598&sr=8-1

アジアにおける低賃金労働の実態

オランダのSchone Kleren Campagne (クリーン衣料キャンペーン。途上国での衣料製造にかかわる労働問題のリサーチ、情報発信、改善運動団体)の調査によれば、オランダの低価格スーパーが利用しているバングラデシュの衣料工場の労賃は極めて低く、一か月の家計に最低必要な額が同国では48ユーロのところ、週平均労働時間80時間以上で月給として13.5ユーロしか受け取っていないという。また、強制的な無賃の残業もまれではないとのこと。

また、オランダの「マタニティウェアのPrénatalのバングラデッシュで働く労働者は1ヶ月30ユーロの賃金。ここでは平均週に85時間という労働を強いられている。インドでは月平均37から51ユーロという賃金。 」

会社側は、調査が2年前で古いこと、現状はそのようなことはなく、BSCI(Business Social Compliance Initiative, 本部Brussels)メンバー企業として国際条約にのっとっていると反論。

両者の言い分は食い違っている。

出典:

第1の出典のGoogleTranslationによる自動英訳は、以下。
"Exploitation of Aldi and Lidl '
From our reporter Evert Nieuwenhuis
Published on February 11, 2009 00:00, updated on 12 April 2009 00:00
AMSTERDAM - "Wage Asian arbeiderte low, long working week." Unfounded allegations Supermarkets action group Clean Clothes.
Amsterdam Stunt Supermarkets Aldi and Lidl sell clothing that is produced under appalling conditions. This concludes action group Clean Clothes Campaign (CCC) in a report published today. The researchers spoke 440 workers from 30 factories in Sri Lanka, India, Bangladesh and Thailand.

The main accusations: they are paid low wages, employment and work are too long. "In Bangladesh you have at least 48 euros per month to live, but an Aldi supplier pays 13.50 euros," says Marieke Eyskoot of SKK. "Of the ten companies in Bangladesh had no one working week of less than 60 hours. More than half were over here, and in four cases, the average work week even more than 80 hours. "A lot of work would not even be paid.

According SKK violate the bargain supermarkets this the Universal Declaration of Human Rights. This ensures the right to an income in the basic needs of the employee provides. In addition, a maximum average working week 48 hours to complete.

Aldi and Lidl reject the allegations. The Netherlands Aldi spokesman: "We are internationally renowned member of the Business Social Compliance Initiative (BSCI). They control the entire chain of our suppliers and prevent abuse of humans or the environment. "Spokesperson for Lidl also refers to membership of BSCI. "We reject all forms of child labor and employment law violations. The conclusions are not correct: since 2006 we have 28 thousand independent investigation into our suppliers to perform. "

SKK is the BSCI membership no guarantee. "From BSCI's annual report shows that their hercontroles many companies still do not meet the standards. This is sometimes 80 percent of the factories. Our research shows that the suppliers of Aldi and Lidl there is also belong. "

アジア法ガイドブック (名古屋大学出版会)

BOPセクターを含むアジア諸国のlegal systemを解説している。

モンゴル、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、インド、パキスタン、バングラデシュ等。