2009年8月13日木曜日

BOPビジネスのfeasibility study

本日、ある開発援助機関の方に教えてもらったのですが、
BOP市場でのビジネス可能性調査について、経済産業省の公募が始まっています。

野村総合研究所のホームページに詳細が記載されています。

経済産業省により、我が国企業による途上国でのBOPビジネスを促進するため、当該ビジネスに関心を持つ民間事業者等から提案を募り、これを実現するために必要な、途上国の現地ニーズ・市場・制度等の把握、関係政府機関・民間団体等の探索、連携可能性のあるパートナーの発掘等のためのF/S調査を実施することとされました。」(NRIホームページより引用)

経産省による第1回BOPビジネス政策研究会でも、そもそもBOPビジネスにはどういうものがあるのかということが議論されていましたが、それを実際にビジネスを行う企業が調べるための予算を経産省が援助しようということです。そうすることによって日本企業へのBOPビジネスへの啓もう活動にもなると考えられています。

興味深いのはその公募の評価方法
200点満点で企業のproposalを評価しますが、その配点からどういう企業に期待しているかが推察されます。
カテゴリーで言うと「提案事業者におけるBOPビジネスの事業計画」と「提案事業者に関する基礎項目」が最も配点が大きく、個別で言うと「ビジネスの遂行能力」(資金、人材が充実しているか、過去3年の決算状況)が最も大きくなっています。
つまり、「実績の確かな相当規模の企業」の提案を待っていると解釈されます。

もちろんある程度資源を持ったところでないと投資回収期間の長いBOPビジネスを遂行することは難しいかもしれません。ですが、今成功している企業というのはBOPではなく先進国市場で成功した企業であって、それがそのままBOPで成功するかどうかは別問題です。BOPでの成功のためには過去の成功実績にとらわれず、その企業がどのようなイノベーションを起こせるのか、新たなビジネスモデル、新たに追求していこうとする価値が何なのかということも評価される必要があるでしょう。


<岡田からのコメント>
 経産省の今回の支援は、躊躇する企業の背中を押す意味があると思います。そして、それが実質的に「資源の豊富な既存企業」対象であっても、むしろそうであればこそ、方針・考え方さえはっきりすれば、より実現可能性、より即効性のある企業活動を展開できることは確かだと思います。すでにBOP市場に真剣に取り組んでいるフィリップス、ネスレ、ダノン、GE等々、すべて先進国市場で成功している大企業です。
 一方、新たなイノベーションをいかにして起こすかや、より小規模な社会起業家の支援が必須であることも事実です。ですが、こちらの分野はまた異なるチャネルで支援されればよいわけで、すべてを一つの支援スキームに求めることは難しい。日本企業が乗り遅れている感が強いこの分野では、いかなる支援であっても有用性があると考えます。


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