2009年8月22日土曜日

「ボリュームゾーン」とBOP市場

2009年の通商白書にも取り上げられ、日本企業の重点戦略としても登場頻度の高い市場セグメントが「ボリュームゾーン」市場である。このセグメントは「中間層」とも呼ばれ、「世帯可処分所得5,001~35,000ドルの人口」である。アジアでは、「中国4.4億人」「インド2.1億人」を含む8.8億人の市場である。白書では4つの重点施策の一つとして「ボリュームゾーン・イノベーションの推進」があげられ、1)低コスト化技術による新たなイノベーションの促進、2)投資協定、知的財産保護による投資環境整備、3)海外投資収益の国内還流促進、が要点として挙げられている。

現在の日本企業の関心は、圧倒的にボリュームゾーンにある。すでに顕在化している市場であるから、当然と言えば当然である。(例:パナソニックの2008年度決算発表資料

一方、BOPは言うまでもなく年収3000ドル以下の40億人市場であり、「ボリュームゾーン」の下方にある、別のセグメントである。

BOPにおける企業戦略は、ピラミッドの上から下へ向かってcascadeのように市場を下っていくボリュームゾーンの発想とは対極にある。直接最貧困層へleapする姿勢が求められる。Hartが言うように、BOPにおいては既存戦略の延長上にはない、「破壊的イノベーション」が必要とされるゆえんである。

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