2013年10月31日木曜日

DHBRオンライン連載第6回 包括的ビジネス 新たなパフォーマンス測定へ向けて

岡田正大 Diamondハーバード・ビジネス・レビューONLINE連載第6回「包括的ビジネス 新たなパフォーマンス測定へ向けて」 2013年10月28日

社会性と経済性をいかにして統合指標として測定しうるのか。またそれはなぜ重要なのか。こうしたテーマを論じている。

このコラムのベースになった論文はこちら

岡田正大(2013)「包括的ビジネス・BOPビジネス研究における社会経済的効果の統合的評価の重要性とその方法について」『企業と社会フォーラム学会誌・企業と社会シリーズ』 vol.2, pp.185-208.
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2013年8月5日月曜日

DHBRオンライン連載第5回 「包括的ビジネス成功の原則 自社の社会性をいかに自覚するか」

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー・オンライン

【連載】第5回 「包括的ビジネス成功の原則 自社の社会性をいかに自覚するか」2013.07.29

2013年5月27日月曜日

DHBRオンライン連載第4回 「包括的(BOP)ビジネスをやるか、やらないかを決める 」

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー・オンライン

【連載】第4回 「包括的(BOP)ビジネスをやるか、やらないかを決める 」2013.04.30

2013年4月20日土曜日

DHBRオンライン連載第3回 「包括的ビジネスを促す外部環境の動向: 企業を取り巻く利害関係者の変化」


DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー・オンライン

【連載】第3回 「包括的ビジネスを促す外部環境の動向: 企業を取り巻く利害関係者の変化」が公開された。(1月28日)(本ブログへの記録を忘れていた。第4回の締め切りが明後日、、、。)
http://www.dhbr.net/category/s-BOPbusiness

2013年4月19日金曜日

論文: 営利組織と非営利組織間の戦略的提携を分析単位とする

 本ブログの関心を実務的関心と学術的関心とに分別すれば、後者の主要なものは「既存戦略理論が包括的ビジネスという現象をどの程度説明し得るのか。そしてより妥当な理論は何なのか。」というものである。

 すなわち、本ブログの背景には、「営利企業が社会的価値の創出を意図する際に、それをどのように理論的に説明するか」という、企業理論(theory of the firm)に関わる重要な研究上の問いが存在している。

 今回の論文(リンク下記)の問題意識は以下の通りである。これまでの戦略研究において、「戦略的提携」といえばそれは複数の営利企業間のものであることが暗黙の前提であり、その下で理論構築、理論的説明がなされてきた。無論クロスセクターアライアンス(セクター横断的提携)に関する若干の文献は存在する(下記論文参照)のだが、分析単位(unit of analysis)が必ずしも個別営利企業(戦略理論のそれ)ではない。


岡田正大(2013)「開発途上国低所得市場(BOP層市場)への参入における戦略的提携の形成について」慶應経営論集30(1): 1-39. (2013年3月31日発行)     
PDFファイルはこちら。 Abstract in English: here

 この論文のリサーチクエッションは、包括的ビジネスでは常態化している営利組織-非営利組織間の「戦略的提携」が既存戦略理論によってどの程度説明可能であり、説明不能の部分があればそれは何であって、それを説明するためにはどのような理論的修正が必要かを明らかにするものである。網羅的理論サーベイと理論構築、および事例に基づくその検証を行っている。事例はタンザニアを二度訪問して取材したディーライトデザイン・タンザニア(営利企業)と英国のソーラーエイド(NPO)の間の提携協力行動である。

 結論として、営利企業が非営利組織と提携・協力する際には、営利企業に「社会経済的収束能力(socio-economic convergence capacity)」(詳細説明は論文に譲る)がどの程度具備されているかが、パフォーマンスの良し悪しに対して重要な影響を与える、という示唆が得られた。


2013年4月10日水曜日

東洋経済「第8回CSR調査」業種別集計結果: BOPビジネスへの姿勢

CSR東洋経済ブログに、日本企業のBOPビジネスへの取り組みとその位置づけに関するアンケート結果が公表されている。詳細データはこちら。 それによると、

1)BOPビジネスへの取り組み

行っている:6.5%  行っていない:84.1%  検討中:8.2%  その他:1.2%


2)BOPビジネスの位置づけ

現状でビジネスになっている:4.5%  将来のビジネスチャンス:36.4%   
社会貢献の側面が強い:48.9%    その他:10.3%


3)NPO/NGOとの連携(BOPビジネスとは独立した別の質問)

あり:56.6%  なし:41.6%  今後予定:1.2%  その他:0.6%


基本的傾向は能率協会の調査と同様だが、興味深い。この解釈についてはのちにアップ予定。




2013年4月8日月曜日

対アフリカ投資でマレーシアが台頭

アフリカビジネスニュース3月29日
「勢い増すマレーシア、アフリカ向け海外直接投資、中国抜き世界第3位に浮上」
http://www.africa-news.jp/news_NGcmlBSPR.html

これによると、UNCTADが2011年の対アフリカ直接投資トップ20カ国を発表した。
http://unctad.org/en/PublicationsLibrary/webdiaeia2013d6_en.pdf
この報告書の7ページにそのリストがある。

2011年中のフローでは、上から順に:
仏、米、マレーシア、中、印、独、スイス、キプロス、日本、デンマーク、スウェーデン、オーストリア、タイ、、、

2011年末のストックでは、上から順に:
仏、米、英、マレーシア、南ア、中国、印、ノルウェー、日本、ベルギー、スウェーデン、デンマーク、タイ、、、。

フランス政府・企業の対アフリカ姿勢

3月30日日経朝刊「仏、アフリカの勢いに注目:官民一体でインフラ輸出」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM08093_Z20C13A3FF1000/

これによると、フランス政府は貿易保険などで民間のアフリカ進出を支援している。対2004年比2011年の対アフリカ貿易額は6割増加。2013年の対アルジェリア投資を増やすと回答する仏企業は8割。

一方中国は2012年にECOWASとインフラ整備に関する協力推進で一致。

仏経済財政相「アフリカでますます大きくなる中国の影響力に、仏企業は勝たなければならない」

2013年3月25日月曜日

政治・経済・安全保障が一体となった地域戦略:中国習近平主席のアフリカ訪問

先に
および

をエントリーした。

それらのエントリーの主旨は、地政学的リスクや深刻な社会課題を伴う途上国市場においては、国家レベルでの政治・経済・安全保障三位一体の取組みが重要になる、ということだ。例えば米国のアフリカ戦略の要締は:

1)民主的制度の強化
2)経済成長・貿易・投資の刺激・促進
3)平和と安全保障の強化・促進
4)社会的弱者への機会均等と開発の促進

という4点である。民間企業が関わるのは主に 2)経済成長・貿易・投資の刺激・促進であり、さらに包括的ビジネスとして社会性を追求するとすれば 4)社会的弱者への機会均等と開発の促進もその活動領域に入ってくる。

その後、アルジェリアの事件が発生した。これも民間企業が新興国・途上国市場へ参入するに際しては、国家レベルでの政治・経済活動・安全保障の取組みが一体となって行われていることの重要性、つまりは日本における政治外交と経済活動が他国(米欧中韓印等)に比べて相対的に分断されている程度が大きいことへの懸念を改めて感じさせた。在アフリカ防衛駐在官(駐在武官)の数:日本2、中国19。


そこで、中国の習近平主席の初外遊はロシアとアフリカである。安部首相の初外遊は東南アジアである。それぞれの政権がどこを重視しているかがよく分かる。最後の巨大市場アフリカで、日本は益々後塵を拝することになるのではないか。


<中国>尖閣問題 多額支援でタンザニアから支持引き出す中国の支援で建設した1000人規模の大会議場で中国のアフリカ政策をテーマに演説)

一方日本の動き:
 安部首相の初外遊先のベトナムでは、首脳会談の話題は政治外交が中心。伴って発表された経済イシューは、「新たに3件・約5億ドル(466億円)の円借款の供与」のみで、安部首相自らの大型商談の積極的開拓はない。同時期にミャンマーでは、ミャンマーで中小向け商談会 経産省、60社参加2013/3/21 0:01日本経済新聞 電子版) とも伝わる。これはこれでやるべきことをやっていて評価されるべき。だが、ここに政府トップの姿はなく、より実務家レベルの話。

日本政府には、かつての護送船団方式への無意識の忌避感がいまだにあるのだろうか。そのような反省に長らくひたっている間に、欧米新興国列強は、国家戦略として途上国へもその戦略執行の場を広げている。アフリカ諸国の多くは親日的という。あらゆる意味で、このままでよいはずがない。


2013年1月30日水曜日

米国経営学会 アフリカ・コンファレンス

2013年の1月7日から10日まで、アメリカの経営学会(Academy of Management)で初めてのアフリカにおけるコンファレンス(AOM Africa Conference)が南ア・ヨハネスブルグで開催され参加。総勢300名の中で、アジア人は数名しかいなかったのが大きな驚きであった。他は半分がアフリカ諸国から、半分がイギリス、オランダ、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、フランス等から。ケニア、ガーナ、タンザニアの研究者と親しくなる。

この会議は、アフリカにおけるビジネスと開発に関心を持つ研究者を対象としており、研究発表が3分の1、アフリカにおけるビジネスと開発について考える討論セッションが3分の1、フィールド観察が3分の1という構成で、通常の学会のような研究論文発表が主体となる形式とは趣を異にしていた。

フィールド観察には4つのコースが設定され、1.政治・社会と企業活動、2.多国籍企業、3.包括的(BOP)ビジネス、4.社会問題(文化や人種)に分かれて視察へ向かう。私は当然BOPを選択。タウンシップと呼ばれる「旧黒人居住区」へ赴いた(下記写真)。






このタウンシップにも、成功した個人事業者(アントレプレナーと呼べるだろう)がいて、チャイルドケア、レストラン、パン製造など、いくつかのスモールビジネスの成功例を見て回る。またタウンシップの中にも、正式な国籍と住所を持つ南ア国民としての居住区と、周辺国からの違法な移民(正式な住所を持たない)の居住区があり、両者の間の環境の違いは著しい。上記の写真は「正規の」国民の地域である。下記は違法な居住者の地域で、見学時に撮った映像。住居の間の隙間を歩いているように見えるが、これが主たる通行に使われる通常の道路である。かつてバングラデシュで訪れたダッカでも見た、都市スラム特有のよく似た雰囲気だ。




<雑感>

今回の会議参加を通じて体験的に学んだことの一端を挙げる。

1)やはり南アフリカは、いわゆるサブサハラの黒人主体の国々とは明らかに異なっている。例えば、今回の主催校であるビジネススクールの教員は一人のインド人を除いて全員白人。学生は7割が白人、3割が黒人という話。南アからサブサハラ諸国に出かける時、南アの白人の人々は「アフリカに行ってくるね」というとのこと。
2)白人富裕層と黒人との貧富の格差、意識の格差はとてつもなく大きい。
3)白人主導の経済の領域は、先進国のそれそのもの。

歴史的経緯が全く異なるので比較の対象にはならないが、アメリカではAffirmative Actionを始め、様々な人種融合政策がすでに実行され、一部ではそれなりの効果が出ていると感じられるが、南アではまだまだ実質的にはこれからという印象を受けた。ここでは書けない、表現しきれない深刻な問題が様々に存在している。