2013年3月25日月曜日

政治・経済・安全保障が一体となった地域戦略:中国習近平主席のアフリカ訪問

先に
および

をエントリーした。

それらのエントリーの主旨は、地政学的リスクや深刻な社会課題を伴う途上国市場においては、国家レベルでの政治・経済・安全保障三位一体の取組みが重要になる、ということだ。例えば米国のアフリカ戦略の要締は:

1)民主的制度の強化
2)経済成長・貿易・投資の刺激・促進
3)平和と安全保障の強化・促進
4)社会的弱者への機会均等と開発の促進

という4点である。民間企業が関わるのは主に 2)経済成長・貿易・投資の刺激・促進であり、さらに包括的ビジネスとして社会性を追求するとすれば 4)社会的弱者への機会均等と開発の促進もその活動領域に入ってくる。

その後、アルジェリアの事件が発生した。これも民間企業が新興国・途上国市場へ参入するに際しては、国家レベルでの政治・経済活動・安全保障の取組みが一体となって行われていることの重要性、つまりは日本における政治外交と経済活動が他国(米欧中韓印等)に比べて相対的に分断されている程度が大きいことへの懸念を改めて感じさせた。在アフリカ防衛駐在官(駐在武官)の数:日本2、中国19。


そこで、中国の習近平主席の初外遊はロシアとアフリカである。安部首相の初外遊は東南アジアである。それぞれの政権がどこを重視しているかがよく分かる。最後の巨大市場アフリカで、日本は益々後塵を拝することになるのではないか。


<中国>尖閣問題 多額支援でタンザニアから支持引き出す中国の支援で建設した1000人規模の大会議場で中国のアフリカ政策をテーマに演説)

一方日本の動き:
 安部首相の初外遊先のベトナムでは、首脳会談の話題は政治外交が中心。伴って発表された経済イシューは、「新たに3件・約5億ドル(466億円)の円借款の供与」のみで、安部首相自らの大型商談の積極的開拓はない。同時期にミャンマーでは、ミャンマーで中小向け商談会 経産省、60社参加2013/3/21 0:01日本経済新聞 電子版) とも伝わる。これはこれでやるべきことをやっていて評価されるべき。だが、ここに政府トップの姿はなく、より実務家レベルの話。

日本政府には、かつての護送船団方式への無意識の忌避感がいまだにあるのだろうか。そのような反省に長らくひたっている間に、欧米新興国列強は、国家戦略として途上国へもその戦略執行の場を広げている。アフリカ諸国の多くは親日的という。あらゆる意味で、このままでよいはずがない。


2013年1月30日水曜日

米国経営学会 アフリカ・コンファレンス

2013年の1月7日から10日まで、アメリカの経営学会(Academy of Management)で初めてのアフリカにおけるコンファレンス(AOM Africa Conference)が南ア・ヨハネスブルグで開催され参加。総勢300名の中で、アジア人は数名しかいなかったのが大きな驚きであった。他は半分がアフリカ諸国から、半分がイギリス、オランダ、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、フランス等から。ケニア、ガーナ、タンザニアの研究者と親しくなる。

この会議は、アフリカにおけるビジネスと開発に関心を持つ研究者を対象としており、研究発表が3分の1、アフリカにおけるビジネスと開発について考える討論セッションが3分の1、フィールド観察が3分の1という構成で、通常の学会のような研究論文発表が主体となる形式とは趣を異にしていた。

フィールド観察には4つのコースが設定され、1.政治・社会と企業活動、2.多国籍企業、3.包括的(BOP)ビジネス、4.社会問題(文化や人種)に分かれて視察へ向かう。私は当然BOPを選択。タウンシップと呼ばれる「旧黒人居住区」へ赴いた(下記写真)。






このタウンシップにも、成功した個人事業者(アントレプレナーと呼べるだろう)がいて、チャイルドケア、レストラン、パン製造など、いくつかのスモールビジネスの成功例を見て回る。またタウンシップの中にも、正式な国籍と住所を持つ南ア国民としての居住区と、周辺国からの違法な移民(正式な住所を持たない)の居住区があり、両者の間の環境の違いは著しい。上記の写真は「正規の」国民の地域である。下記は違法な居住者の地域で、見学時に撮った映像。住居の間の隙間を歩いているように見えるが、これが主たる通行に使われる通常の道路である。かつてバングラデシュで訪れたダッカでも見た、都市スラム特有のよく似た雰囲気だ。




<雑感>

今回の会議参加を通じて体験的に学んだことの一端を挙げる。

1)やはり南アフリカは、いわゆるサブサハラの黒人主体の国々とは明らかに異なっている。例えば、今回の主催校であるビジネススクールの教員は一人のインド人を除いて全員白人。学生は7割が白人、3割が黒人という話。南アからサブサハラ諸国に出かける時、南アの白人の人々は「アフリカに行ってくるね」というとのこと。
2)白人富裕層と黒人との貧富の格差、意識の格差はとてつもなく大きい。
3)白人主導の経済の領域は、先進国のそれそのもの。

歴史的経緯が全く異なるので比較の対象にはならないが、アメリカではAffirmative Actionを始め、様々な人種融合政策がすでに実行され、一部ではそれなりの効果が出ていると感じられるが、南アではまだまだ実質的にはこれからという印象を受けた。ここでは書けない、表現しきれない深刻な問題が様々に存在している。




2012年11月27日火曜日

ガーナ・タコラディのAudioCraft社


<AudioCraft社 (ガーナ・タコラディ)の紹介>
(2012年8月のフィールド調査から)

 Lemaire社長は元々高校教師(2番目の写真中央)。いわゆる企業家精神に燃える「中小企業の熱血型ものづくりおやじ」である。ガーナの治安悪化でナイジェリアへのがれ、そちらで教職に就くが、その間にナイジェリア―ガーナ間の貿易の有効性に気付いて貿易会社を創業、独立する。しばらくはオーディオラウドスピーカー(屋外用)をナイジェリアからガーナへ輸入していたが、「母国ガーナに豊富にある高品質で安価な木材を使って、スピーカーボックスを内製できるのでは」と思い立ち、Audiocraftを創業。自宅兼工場で月80台程度エンクロージャー(ボックスのみ)を製造しナイジェリアのメーカーへ輸出している。製造ではTakoradi工業高校に設置されたMITのFabLabでの知識が役に立ち、NC制御による加工技術を身につけ、CNC加工機(中国製)の台数を増強中である。今後完成品スピーカーの開発・製造へ向け、スピーカーユニットの内製も視野に入れており、日本のオーディオ機器メーカーとの連携を希望している。ちなみにラウドスピーカーの最大顧客は教会で、讃美歌(ゴスペルと呼んでいいのか??)の吟唱やバンド演奏用だそうだ。

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2012年11月26日月曜日

ソニーが北・東アフリカで二ケタ成長(週刊アフリカビジネスより)

サムスンやアップルとの競争が激しい中、ソニーは北・東アフリカで二ケタ成長をしている。モロッコ、アルジェリア、ケニアの成長が著しいという。手持ちビデオカメラ市場では、ソニーはサウジアラビアで72%、UAEで40.6%のシェアを占めている。

週間アフリカビジネスへのリンク(無料バージョンもできたようだ)

記事へのリンク
http://www.thenational.ae/thenationalconversation/industry-insights/technology/mena-market-in-focus-for-sony


感想:中近東・北アフリカ市場と、サブサハラ市場は別ものだが、上記の記事でやはり目を引くのはケニア市場の成長ぶりである。今年8月にガーナのスピーカーボックスメーカー(Mr. John Lemaire, the CEO,  AudioCraft)を訪ねたとき、ナイジェリアもケニアも音楽や音響機器の一大市場だと興奮気味に語っていたのが印象的だった。日本の音響機器メーカーとの提携・協働を望んでいたが、興味のあるメーカーはないだろうか(次のエントリーで同社を紹介)。


バングラデシュ ダッカ郊外 縫製工場の大火災

110名以上が亡くなったという。こういう時こそ、日本企業には率先して工場の安全レベル向上のイニシャチブをとってほしいものだ。縫製工場が軒を連ねる同地域。

http://www.nytimes.com/2012/11/26/world/asia/bangladesh-fire-kills-more-than-100-and-injures-many.html?_r=0




2012年9月13日木曜日

ヴィントン・サーフ (インターネットの父、グーグル副社長)

「現在、地球の人口は70億人です。そのうちインターネットを使っているのは30億人。私は、残り40億人の人々がインターネットを使えるようにすることに、今後の人生をかけます。」
ヴィントン・サーフ 2012年9月13日NHKテレビ『Bizプラス』でのインタビュー)