■このコンテストの意義(私見):新興国・途上国の事業者を、G20という大規模な多国間関係の公式組織の名の下に、「包括的ビジネス」という呼称で顕彰することにより、「包括的ビジネス」という概念の認知がさらに高まるとともに、民間の自助努力による貧困問題の解消と経済発展が促進されることであろう。特に、これまでは先進国の多国籍企業やベンチャー企業に注目が集まる傾向が強い中で、新興国・途上国の事業者にフォーカスしている点が意義深いと思われる。
■G20は先進8ケ国+EUに新興経済国11カ国がメンバーとなり、金融と世界経済に関する会合を定期的に持っている。先進国と新興国が協力して広域の持続的経済発展を促進することが目的のグループである。
■後援組織:このG20包括的ビジネスコンテストは、IFC(国際金融公社)が仕掛け人のようだ。最初にインド、次にアフリカで応募者によるプレ交流会が開かれるという。応募締め切りは2月末。2012年6月のG20会合(メキシコ)で選抜事業者がお披露目となる。
■応募資格は、新興国もしくは途上国の営利企業で、BOP層の人々が供給・流通・販売もしくは顧客として関与しているビジネスを、既に(2009年6月以前から)運営している事業者である。選出されたとしても、金銭的なrewardはない。ドイツで開かれるワークショップに参加したりする機会が与えられるが、基本的なrewardは「G20で認められた」ということで得られるrecognitionであり、「箔」であり、「お墨付き」である。このコンテストで選抜されれば様々な補助金への応募や、資金調達の際に有利にことを運べるかもしれない。
■このコンテストの狙いは、
1)成功しているモデル企業をショーケースとして取り上げて顕彰し、広く世界に知らしめることにより、成功するビジネスモデルがさらに多くの国や地域に拡張して行くことを促進すること、
その過程で
2)途上国の包括的ビジネス事業者に光を当て、世界的な認知をすることで信用を高め、その事業の拡張性を一層高めたり、
3)日ごろ国外に出る機会のない事業者同士の交流による学習を促進すること、にあるという。
ウェブサイトを見る限り、政府や非営利組織との連携強化などについては一切触れられていない。