2010年9月24日金曜日

日米首脳の声明を比べると

MDGs達成へ向けた国連における首脳会議(ミレニアム開発目標サミット)において、菅首相とオバマ大統領の演説内容を比べると、力点の置き方が好対照である。

菅首相:具体的金額を前面に出して支援への姿勢を強調した。乳幼児や妊産婦の死亡率減少のため、国連が新たに始める「母子保健世界戦略」に対し50億ドル(約4200億円)、基礎教育の支援などで35億ドル(約3000億円)、計85億ドルを2011-15年の5年間で拠出する「菅コミットメント」を発表。この支援は大戦直後の日本でうまく機能したものであり、日本が行うに適した支援である。持論の「最小不幸社会」にも合致し、「途上国が自律的な発展を遂げる基礎になる」と支援の意義を強調。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100923-OYT1T00633.htm

http://www.mainichi.jp/select/seiji/news/20100924k0000m010048000c.html

バマ大統領:貧困の解消には「新たな方法」が必要であるとし、途上国の経済発展と汚職腐敗からの脱却(ガバナンスの改善)の必要性を強調。これまでの伝統的方法である、医薬品や食料提供への拠出金の多寡でその成果を測っていたのでは、短期的に命を救うことにはなるが、途上国の発展を助けることには必ずしもならない、と指摘。単なる援助を超え、外交、貿易、投資といったツールを総動員していく(筆者注:背景にはテロとの戦争、その背景にある貧困問題と政府の統治能力不足)。そこでは、単にお金を放り込むだけではなく、各途上国自身の責任を意識し、成果に基づいた支援が重要である。総じて自立的経済発展、説明責任、腐敗からの脱却の重要性を強調。

http://www.reuters.com/article/idUSTRE68L3UV20100923?pageNumber=2

http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/N22262173.htm


<感想>金額を明示した菅総理の演説の印象は金額が前面に出る。一方、オバマ大統領の場合は中味の構造・方法論の変革を強調し、民間セクターの役割(貿易、投資)に言及している点が印象に残る。なお、米国にはMDGs達成へ向けた組織がUSAIDと独立して設置されている(MCA Milenium CHallenge Accountが2002年、およびその運営主体であるMCC: Millenium Challenge Corporationが2004年)。次のエントリーで紹介。

0 件のコメント:

コメントを投稿