社会的投資という考え方は、ある同一の出資金に対し、経済的リターンと社会・環境的インパクトを同時追求することが想定されてきたが、両者を明確に性格付け、切り分けているような体裁を持っている点が特徴的である。もっとも、このスキームの出資金自体も、被災企業の復興という大きな社会的インパクトを背負っていることは言うまでもない。
こうした出資と寄付を合体させた資金調達方法は、今後も自由な発想で様々なバリエーションが考えられるであろうし、包括的ビジネスにおいても活用可能なスキームと考えられる。
公開情報ベースの事実関係としては、まず2011年4月1日にミュージックセキュリティーズが「『セキュリテ被災地応援ファンド』事業者の受付」を開始した。これは投資家への募集ではなく、ファンドの「投資対象となる事業者の募集」である。今回、この募集に被災地の6企業が応募したものと推察される。
これらの6事業者は、
1)八木沢商店(陸前高田市、みそ・しょうゆ醸造)、2)斉吉商店(水産加工業)、3)石渡商店(フカヒレ加工販売)、4)オノデラコーポレーション(輸出入・飲食業)、5)丸光食品(製麺業、ここまで気仙沼市)、6)のヤマウチ(鮮魚販売、宮城県南三陸町)。いずれも各地方の地元発中堅中小事業者だが、ネット通販の活用など新しい経営手法を積極的に活用している印象だ(各社のウェブサイトを覗いてみてほしい)。ヤマウチなどは第13回日本オンラインショッピング大賞 最優秀小規模サイト賞を受賞している。