2009年5月27日水曜日

"Making better investments at the base of the pyramid" BOP venturesの成功要件・パフォーマンス指標

"Making better investments at the base of the pyramid"
Harvard Business Review, May 09

http://hbr.harvardbusiness.org/2009/05/making-better-investments-at-the-base-of-the-pyramid/es

●本論の要点:BOP事業のパフォーマンスを単に金銭的測定指標だけに依存しては望ましくない。“complete picture”をつかむことが肝要である。以下、そのためのフレームワーク。

●Local stakeholders特に、sellers (販売従事者。多くの場合、現地の個人起業家)、buyers (現地顧客)、communities (sellersやbuyersが属するコミュニティ)3主体が、以下の3点でいかなるimpact(プラス・マイナス両方)を受けるかを把握することが重要

1)Economics(経済的インパクト:収入増加度、収入の安定度、他の就業機会を失う機会費用)
2)Capabilities(スキル・ナレッジ・心理状態:コミュニケーションスキル、マネジメントスキル、自己効力感、満足感、自尊心)
3)Relationships(人間関係へのインパクト:家庭内における地位の変化、家族関係の緊張度、コミュニティ内の人間関係変化)

本論を読んでの感想だが、これらの3×3のマトリクスによるBOPベンチャーの評価は、文中でも言われるとおり、事業開始前や、遂行中に確認し、ビジネスモデルの最適化、柔軟な修正を行うために利用されることが重要であり、必ずしも事業成果を事後評価するためだけのものではないと感じる。

また、BOPベンチャー(事業)への資金提供者が、営利主体か非営利主体かによっても成果尺度の選定は影響されるだろう。本ブログでは営利事業者・投資家の視点を基本に置くので、その文脈で本論のフレームワークをとらえた場合、営利事業者にとっての経済的成果を最大化するために必要な、多元的評価指標、ビジネスモデル構築の際のチェック項目として解釈するのが妥当ではないかと思う。

付言すれば、すでに開始されたBOP事業のコンサルテーションや、その時点での事業評価・点検を行う際のスキームとして、優れていると思われる。

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