BOPへの多元的アプローチの存在と本フォーラムにおける検討対象
1)本フォーラムでの議論の対象
昨今の「BOPビジネス」に対する関心の高まりを受けて、日本においても複数の論者によって様々な立場から「BOPビジネス」の一義的解釈が試みられたり、一定の立場から懸念や限界が指摘されたりしている。だが、異なる論者が各々異なる定義・含意で「BOPビジネス」という言葉を用いると、これは同床異夢で議論のすれ違いばかりが際立ち、実のある議論は望めない。
たとえば、本フォーラムでは「BOPにおける企業活動」の成功には、1)利益の継続実現を追求すること、2)活動プロセスで社会責任を全うすること、3)手段もしくは目的として貧困削減に貢献していること、これら3つの要件を満たしていなければBOPにおける事業活動が「成功している」とはいえない、と考えるが、①単に担い手が企業であり地理的場所がBOPである活動、②上記3つの要件をすべて高い水準で満たしているBOPでの事業活動、③上記の要件をそもそも満たすつもりのないBOPでの事業活動、などをすべて渾然一体としてとらえ、一言で「BOPビジネス」と称して議論することは無意味だろう。重要な次元で異なっている複数の概念を混同したまま、「BOPビジネスとは、、、」という符牒化・一般化が試みられると、これは読む側に混乱を招くだけだ。よって本フォーラムでは今後「BOPビジネス」という言葉は原則として用いない。
そもそも、BOPという空間で展開される事業活動は、他地域でのそれと同様、その目的も手段も必然的に多種多様である。本フォーラムでは、そうした多様な活動の中でも、特に企業戦略の視点(後述)からBOPをとらえ、議論の対象にする。(それ以外の視点から議論することも当然可能であるということ。)
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