2010年9月28日火曜日

バングラデシュと中国の企業が合弁で低価格太陽光パネルを生産販売

Bangladeshi Auto Power Private Limited と Chinese Zhejiang Jinxi Solar Energy Equipment Company Limited が合弁でパネル生産に乗り出す。工場はバングラデシュの Gazipurに設置済み。生産するのは、50-1500Wで、価格は15,000-400,000 Taka(約18,200--486,000円)。300Wパネルは30,000 Taka(約36,400円)とのこと。

ちなみに300Wパネルの容量では、天井ファン2台と節電仕様の照明ランプ2ケを使用可能だという。




タンザニアの情報通信事情

タンザニアの携帯電話普及率は39.9%
固定電話普及率は0.4%

http://g-ict.soumu.go.jp/country/tanzania/detail.html

USAIDとMCA、MCC

タンザニアの送電設備網の建設事業を米国のPike Electric Corporation (NYSE: PIKE)が獲得したという記事から。米国には途上国支援のスキームとして、USAID以外に、特にMDGs達成を意識したMCA(Millennium Challenge Account、運営主体はMCC:Millennium Challenge Corporation)がある。

両者の関係については、FASIDの久賀氏の報告(2005)JBICワシントン駐在員事務所の報告(2005)があり大変参考になるそれらによれば、

●USAIDは、1961年の設立以来、米国ODA実施主体の本流であるが、「議会の干渉があまりに大きくなってしまい、官僚的かつ非効率な機関」となっていった。

●MCAは2002年、その実施母体MCCは2004年に設立された。少数精鋭の開発支援部隊。

2010年9月24日金曜日

日米首脳の声明を比べると

MDGs達成へ向けた国連における首脳会議(ミレニアム開発目標サミット)において、菅首相とオバマ大統領の演説内容を比べると、力点の置き方が好対照である。

菅首相:具体的金額を前面に出して支援への姿勢を強調した。乳幼児や妊産婦の死亡率減少のため、国連が新たに始める「母子保健世界戦略」に対し50億ドル(約4200億円)、基礎教育の支援などで35億ドル(約3000億円)、計85億ドルを2011-15年の5年間で拠出する「菅コミットメント」を発表。この支援は大戦直後の日本でうまく機能したものであり、日本が行うに適した支援である。持論の「最小不幸社会」にも合致し、「途上国が自律的な発展を遂げる基礎になる」と支援の意義を強調。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100923-OYT1T00633.htm

http://www.mainichi.jp/select/seiji/news/20100924k0000m010048000c.html

バマ大統領:貧困の解消には「新たな方法」が必要であるとし、途上国の経済発展と汚職腐敗からの脱却(ガバナンスの改善)の必要性を強調。これまでの伝統的方法である、医薬品や食料提供への拠出金の多寡でその成果を測っていたのでは、短期的に命を救うことにはなるが、途上国の発展を助けることには必ずしもならない、と指摘。単なる援助を超え、外交、貿易、投資といったツールを総動員していく(筆者注:背景にはテロとの戦争、その背景にある貧困問題と政府の統治能力不足)。そこでは、単にお金を放り込むだけではなく、各途上国自身の責任を意識し、成果に基づいた支援が重要である。総じて自立的経済発展、説明責任、腐敗からの脱却の重要性を強調。

http://www.reuters.com/article/idUSTRE68L3UV20100923?pageNumber=2

http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/N22262173.htm


<感想>金額を明示した菅総理の演説の印象は金額が前面に出る。一方、オバマ大統領の場合は中味の構造・方法論の変革を強調し、民間セクターの役割(貿易、投資)に言及している点が印象に残る。なお、米国にはMDGs達成へ向けた組織がUSAIDと独立して設置されている(MCA Milenium CHallenge Accountが2002年、およびその運営主体であるMCC: Millenium Challenge Corporationが2004年)。次のエントリーで紹介。

2010年9月21日火曜日

国連でミレニアム開発目標(MDGs)首脳会合が開幕

この139カ国の首脳が参加予定の会議の中で、MDGsの8番目のゴールに含まれる、ビジネスセクターの果たす役割について、どのような言及があるか注目したい。

2010年9月7日火曜日

バングラデシュ裁判所が1年以内に児童労働を禁止するよう政府に命令

同国の高等裁判所は、初等教育の無料化・義務化だけでは、児童が学校に通える保証にはならないと指摘、1年以内にいまだ複数の産業で存在する児童労働を終焉に至らせるよう裁決を下した。

経産省 METI(経済産業)ジャーナル


同誌本年9-10月号16-17ページに、日立ハイテク、ヤマハ発動機、日本ポリグルの事例が紹介されている。18-19ページには、新たにBOPでの事業へ参画しようとする日本企業に対し、どのような支援策が用意されているか、をワンストップショップで提供することが提案されている。今後「BOPビジネス推進プラットフォーム(仮称)」はどのように立ち上がり進化していくのか、関心を持っていきたい。

真にユーザーの便益を考えるならば、日本政府および関連機関による支援策だけでなく、世界の様々な機関(国際連合諸機関、世界銀行、アジア開発銀行、他国政府、ソーシャルファンド、各種財団、NGO等)による支援策(ノウハウ、資金、技術などの軸で分類)を網羅的に検索対象とし、一方でBOPに内在する問題を熟知する組織からもアクセスできて、活用可能な企業資源を探索できる、そんな両面の専門性を持ったポータルへと進んでいったら価値あるものとなるだろう。

日立による「BOP」事業研究


日立総研の研究紹介:
「日立総研では、特にBOP 層(Base of Pyramid)における事業戦略のあり方について、さまざまな国における事例を基に研究を行っている。」

日本の大企業自身がBOPの事業潜在性を真剣に研究し始めている。これまで紹介される日本企業の事例は、ここ1-2年「BOPビジネス」に日本での注目が集まるはるか以前から取り組んできた事例が多かった。そうした中、改めて「BOP」に着目した新たな取り組みが生まれ始めた、ということだろうか。

そもそも日立製作所の企業理念には「地球社会の基本的課題の解決のために、社会やお客さまの期待に対して積極的に応え、イノベーションを生み出していくこと。」という文言があり、これはまさにBOPにおける貧困等の諸問題解決にも適合すると思われる。

既報の通り、この9月に発表された経産省によるフィージビリティスタディ支援事業において、日立製作所(日立ハイテク)は「太陽光発電装置による社会課題解決型事業(インドネシア無電化集落での電気供給)」が採択されており、取り組みが今後本格化する方向が感じられる。

同社CSR報告書によれば、上記の他に日立建機によるカンボジアでの地雷除去機(アタッチメントを変えることで通常の建機としても利用可能)を日立OBによるNPO「豊かな大地」を通じて運用している件が報告されている。この地雷除去のプロジェクトは非常に社会的意義が高く、かつ本業との関連度が高い。これをどのように本業の収益につなげるのか、工夫が期待される。

<感想>
日本の伝統的大企業には、BOPへ挑戦する経営資源が蓄積されている。特に技術力と資金力である。これまで先進国市場向けに蓄積された高度な技術は、そのままでは高スペックすぎるとしても、その開発途上で培った技術要素の一部は経済的社会的制約条件が非常に厳しいBOPにも活用可能かもしれない。まさに持続的イノベーターの立場から、いかに破壊的イノベーションへ挑戦するか、という格好の課題をBOPは突きつけている。すべての企業が成功できるわけはない。先行者のリスクを取れる日本企業は、欧米中韓印企業の後塵を拝することなく、積極果敢にリアルオプション的小規模投資を始めるべきだろう。

「発電する部品 実用化」と「BOP」

2010年9月6日付 日経新聞朝刊1面
「発電する部品 実用化へ 車のコンデンサー、家電リモコン、電源・電池不要に」

記事自体は「BOP」と無関係。発電電子部品の話。振動や体温、ごく弱い光などで発電する部品の実用化によって、個別機器が自立して自己発電する技術が2-3年後に実用化されるという。現状の自動車でいえば、すべての電子部品・機器の電源は中央のバッテリーから配線されねばならない。電源やデータ送信用のケーブル総延長は1キロを超えるという。トヨタ・パナソニック他23社が共同開発。

<感想>
大容量の電力源から配電を受ける「中央集権型」から、「自立分散型」へ。本記事は分散型電源の中でも、コジェネや既存の太陽光発電よりもさらに小単位での自立型発電の可能性を示している。現在BOPでは、もっぱら太陽光発電(Photovoltaic power generation)が主流のようだが、例えば様々な振動(風力による木のしなりとか)、小規模水力、人力など、それぞれの現場にフィットした無料のエネルギー源を上手に用いた安価で高効率な発電技術は、大いに事業機会を広げるだろう。創意工夫の余地は相当にあると思われる。一方で、きわめて電力消費効率の高い製品も重要になるが。

2010年9月2日木曜日

Xenia Instituteのマイクロファイナンスに関するエントリー

Facebookのエントリーから

全家庭の12.6%の飲料水が基準以上のヒ素含有

ユニセフの発表。バングラデシュでは家庭の12.6%(約2000万人)でヒ素含有率が同国政府の基準値1リットル当たり50マイクログラム(1マイクログラムは100万分の1グラム)を超えている。

味の素が栄養改善プロジェクトを支援

味の素による途上国での慈善活動である。同社の「『食と健康』国際協力プログラム」では、3年間で総額3000万円の支援を行う。2011年度の支援案件を募集中である。
http://www.ajinomoto.co.jp/company/kouken/global/ainkoubo.html

例)現在、支援対象としている活動の一つがフィリピンのパナイ島イロイロ市における栄養不良への支援。NPOのLOOB(Love Our Own Brethren)が展開する、学童の2割を占める栄養不良児童への給食と、その小学校での菜園活動、栄養セミナーを支援する。2010-11年度で2年間で120万円。資金に加え、同市にある味の素フィリピンの営業所では、「栄養セミナーのコンテンツ作成へのアドバイスなど、当社の知見を生かしたサポートを行う予定」。

味の素プレスリリース:
実施母体LOOBのサイト: