2010年10月22日金曜日

「BOP」ビジネスにおける事業戦略と全社戦略 その2

先のエントリーを受けて、事業戦略・全社戦略の文脈で「BOP」ビジネスが企業価値に反映される経路をまとめると以下のようになる(試案。適宜検討し加筆修正していく)。


詳細は下記の通りだが、これらの経路は当初から選択的に重点を決めてしまうよりも、企業価値につながるすべての経路・可能性を網羅的に十分検討することが肝要だと思われる。そこにリアルオプションとしての意味も出てくる。その上で、個々の経路の潜在的貢献度に応じ、資源配分に優先順位をつけていくことになるだろう。

<「BOP」ビジネスが企業価値(全社・連結対象レベル)に結実する経路>

A. 個別事業レベル

A-1:直接的な効果:
●当該事業が生み出すキャッシュ(営利の場合)⇒企業価値へ直結(短中長期)
●当該事業が果たす生産機能(「ソーシャルビジネス」の場合)⇒川下工程への半完成品供給(コスト低減もしくは供給安定性)(短中長期)

A-2:長期・間接的な現地効果:
●現地でのブランド認知・信用(財務的信用含む)⇒当該事業の将来利益への寄与および自社他事業(相対的高価格商品)の将来顧客を醸成 例:ソーラーランタンから将来は家電製品へというマーケティング効果
●現地でのノウハウ蓄積⇒当該事業の将来利益に寄与
●社会問題解決による現地での評判・企業市民としての資格⇒現地での将来売上に寄与

B. 全社(コーポレート)レベル

B-1:直接的な全社効果:
●既存技術をBOPへ有効活用することで範囲の経済性⇒ROIの向上(短・中・長期)
●PPMにおける「問題児」事業の創出(成長構造の1要素として)⇒将来の「花形事業」候補の生成(中長期)
●新たなコアコンピタンスの獲得(既存他事業で共有可能なノウハウや技術、顧客基盤等)⇒範囲の経済性向上(中長期)

B-2. 間接的な全社効果:
●企業理念の体現によるインテグリティ(一貫性)の確保(組織マネジメント)⇒社員のアイデンティティ強化、動機づけ向上、全社レベルの対外的評判・イメージ向上(短中長期)
●社会的評判・企業イメージに基づくコーポレートブランド・他事業ブランド認知へのハロー効果・信頼感向上⇒将来の売上増大へ(中長期)

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