本エントリーはあくまで随想的なもの。
ゼロベースでBOPビジネスを「起業する」ことももちろん選択肢の一つだ。が、ここでは「既存の株式会社が新たにBOPでの事業に取り組もうとする」ケースを考えてみる。
ケースは二つに分かれるだろう。
第1は、これまでいわゆるBOP層(年間個人消費額3000ドル以下の貧困層、2002年PPP)をターゲット市場としたことなど夢想だになく、ゼロから考慮し始める場合。
第2は、自社の歴史の中で、BOPが話題になるはるか昔から取り組んでいた途上国でのビジネスが、どうも昨今注目される「BOP」ビジネスそのものなのではないか、と認識しているケース。またはそうした方向へ再解釈すれば、BOP関連事業に対して昨今充実しつつある様々な資金調達環境も有効に活用でき、さらなる事業発展が見込めるのではないか、と思われる状況である。
いずれの場合も、最初の確認事項は、既存事業で培った何らかの経営資源や能力が、MDGsの7つのジャンル(1~7)にまたがる11のターゲットのいずれかの達成に関連しているか否か、だろう。無論MDGsがBOP市場の社会課題を現実的にすべて網羅しているとは言えないが、相当程度にカバーしているとは言えるだろう。(MDGs以外の社会問題の可能性を完全に捨象してしまうのは、それはそれで望ましくない。)
ちなみにMDGs1~7は、下記の通りである。これらをじっくりにらんで、自社の経営資源の適用可能性を吟味することが第一歩となるだろう。
1:極度の貧困と飢餓の撲滅
ターゲット1:2015年までに1日1ドル未満で生活する人口の割合を1990年の水準の半数にする。
ターゲット2:2015年までに飢餓に苦しむ人口の割合を1990年の水準の半数にする。
2:初等教育の完全普及の達成
ターゲット3:2015年までに、全ての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする。
3:ジェンダー平等推進と女性の地位向上
ターゲット4:2015年までに全ての教育レベルにおける男女格差を解消する。
4:乳幼児死亡率の削減
ターゲット5:2015年までに5歳児未満の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減する。
5:妊産婦の健康の改善
ターゲット6:2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の水準の4分の1に削減する。
6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
ターゲット7:HIV/エイズの蔓延を2015年までに食い止め、その後減少させる。
ターゲット8:マラリア及びその他主要疾病の発生を2015年までに食い止め、発生率を減少させる。
7:環境の持続可能性確保
ターゲット9:持続可能な開発の原則を国家政策に反映させ、環境資源の損失を減少させる。
ターゲット10:2015年までに安全な飲料水及び衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を半減させる。
ターゲット11:2020年までに、少なくとも1億人のスラム居住者の生活を大幅に改善する。
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