2010年6月24日木曜日
バングラデシュの縫製工場が生産再開
暴動とサボタージュは3日間で終息し、4日目(23日水曜日)には仕事が再開された模様。この地区の工場の最終顧客はウォルマートやH&Mだという。今後の最低賃金の推移を見守りたい。
2010年6月22日火曜日
バングラデシュ最低月度賃金1662.5 taka のPPPベース換算
先のエントリーで、バングラデシュの縫製従事者1人の最低賃金がBDT 1,662.50と紹介し、労働者がそれを不満としてBDT5,000への賃上げを要求していると伝えた。この月度給与1662.50タカ、5000タカという水準は、PPPベースで米ドルや日本円に換算すると一体いくらになるか。
ちなみに月給1662.50タカは年間19,950タカ、もちろん5,000タカは年間60,000タカとなる。
世銀の国際比較統計によれば、2005年時点のバングラデシュタカのPPPレートは、22.64タカ=$1である。また、2009年時点の同レートは、26.985タカ=$1である。(つまり4年間で、タカは対米ドルで約19%購買力が弱まった。物価が上昇中である。) 日本円の2009PPPは114.01。
さて、この2009年のレートで計算すると、年収19,950タカ=年収739ドル(2009PPPベース)である。つまり2009年のアメリカで、年間739ドルで暮らすということになる。(ちなみに2010年6月22日の為替レートは$1=69.3タカ) もしくは、2009年の日本で年間84,253円で暮らす水準。一日当たり231円。単純に考えれば、農村部で自給自足の食糧がある程度ないと、消費生活だけで生きるのは相当に厳しいと感じられる(あくまでも生活者としての主観的感覚)。
今回縫製従事者が要求している年収60,000タカは、年収2,223ドル(2009PPPベース)となる。つまり2009年のアメリカで、年間2,223ドルで暮らすという水準だ。もしくは、2009年の日本で年間253,444円で暮らす水準。一日当たり694円。これでもぎりぎり食っていける水準で、住居費は厳しい。
ちなみに先の「BOP3000の定義」のエントリーで紹介したように、「3000ドル(2002PPPベース)=3260ドル(2005PPPベース)」。ちなみに米国のCPIは2005年195.3、2009年で214.537なので、この間で物価は約1.1倍になっている。つまりBOP3000(2002PPP)は、BOP3580(2009PPP)。なので、どうみても縫製従事者の現在の最低賃金年収739ドルはBOP1000カテゴリーに属するということになる。賃上げ要求が通ったとしてBOP2000カテゴリー(2002年ベース)となるだろう。
BOP層の生活感覚を少なくともその金銭的ひっ迫度として感じるため、一定期間たとえば一日300円で生活する体験をするなど、実地の学習機会も意味があるかもしれない(すでに他校で実践中と聞く)。
バングラデシュの縫製工場労働者数千人がデモ、200人負傷
ダッカの北20マイルにある工業の町Ashuliaには1000を超える縫製工場があり、少なくとも八十万人が働いている。6月21日に数千人が道路を占拠し、工場を荒らしたり自動車を破壊したりした。警官隊は警棒を用い、ゴム弾を放ち、放水や催涙ガス等で鎮圧に努めた。起きた騒動は、最低月度賃金をUS$72.08 (BDT 5,000)とする組合の要求を、ある工場のオーナーが拒否したところに端を発しているという。背景には、2006年に、政府・労働組合・オーナーの3者協議により、特にエントリーレベルの労働者の最低月度賃金を$24 (BDT 1,662.50)と定めたことがある。業界団体と輸出業者は、同国の輸出産業の柱であるアパレル縫製に関し、今回の件で注文が他の国へシフトしてしまわないかと憂慮しているという。
昨年度、同国の衣料品輸出は輸出総額$15.56B(約1兆6千億円)の80%を占め、全土には4500を超える縫製工場と350万人の縫製労働者(大半は女性)がいる。
バングラデシュでの死亡原因:20%は飲料水のヒ素
最新の研究報告によれば、同国の死亡者の20%が飲料水に自然含有されるヒ素によるもの、だという。
日本ポリグル(小田兼利社長)はヒ素も吸着する浄化剤で同国市場を開拓している。
日本ポリグル:http://www.poly-glu.com/
バングラデシュとインドの電力事業を巡る動き
バングラビジネスオンラインに両国間電力事業の主導権争いに関する記事が紹介されている。
現在、両国の国営電力会社の間で、インドからバングラデシュへの電力輸出、石炭ベースの発電所2基新設(バングラデシュ国内)に関して交渉が進展中だが、バングラデシュ電力省高官の話として、当初よりもインド側の条件が厳しい、という情報が伝えられている。そのtougher than expectedな条件とは、
1.インドからバングラデシュへの送電網(85㎞)の新設は一旦インド側の全額費用負担で行い、その後バングラデシュがその全額を毎年分割して徐々に償還する。償還後は、インドの指定する一定額を毎年使用料としてインド側に支払う。
2.送電設備の所有は共同だが、オペレーションはすべてインド側が行う。
3.新設発電所の所有は共同だが、オペレーションはすべてインド側が行う。
電力省高官は、「これでは送電網のコストを最終的にすべてバングラデシュが持つことになる上、今回の電力事業にバングラデシュの人材が全く関われない。発電所は我が国の領土の中にあるのに」、と主張している。
交渉事とはいえ、インドをはじめとする新興経済パワーがさらに低所得の国に参入する場合、経営上のガバナンスをしっかりと握ろうとする強い姿勢が見える。バングラデシュとしても、電力は国の安全保障にも関わる重要エネルギーなので、そう簡単には譲れないだろう。今後の動向を注視したい。
2010年6月16日水曜日
中国の清華大ビジネススクールにおける「BOP」研究(その2):南京九康の事例
南京九康生物科技发展有限责任公司(Nanjing Jiu Kang Biological Scienceand Technology Development Co., Ltd)
南京州政府保有のVCが70%、蘇州九康30%出資。いわゆるGOCO(government-owned, company-operated)形式の事業。ニームの木の果実から、バイオ殺虫剤、バイオディーゼル、有機肥料の製造販売を行っている。同社は農家にニームの種子と土地選定力、栽培技術を提供し、農家がニームの木を栽培、同社が新しい化学合成の技術で天然素材の殺虫剤を製造・販売する。40-100名の農家の老人・女性が新たに雇用され、トータルで約1000万円程度の年収増をもたらしているという。
中国の清華大ビジネススクールにおける「BOP」研究(その1)
慶應ビジネススクールは中国の清華大学ビジネススクール、韓国のKAISTビジネススクールと共に、「アジアにおけるイノベーション」をテーマとしてCKJ(China, Korea, Japan)共同研究ワークショップを定例で毎年1-2回開催している。先週はソウルで研究発表会があり、LG Displayの工場見学なども行われた。
そこで清華大学での「BOP」研究について話があった。同大学では昨年コーネル大Hart教授を招いて以来、共同研究が進んでいる。自国に「BOP」層を持つ国の大学が「BOP」と称して研究活動を進めるようになっている。
研究内容を見る限りでは、当然ながら官民連携の文脈がメインである。農村部の貧困解消・収入改善のために、経済・社会政策よりも民間企業ベースの市場原理を導入する、という政策のシフトが背景にある模様。
2010年6月12日土曜日
「BOPビジネス」への一般的批判とNGOからの懸念
長坂 寿久(2010) BOPビジネスとNGO: CSR=企業とNGOの新しい関係(その3), 国際貿易と投資 Summer 2010/No.80, 51-70.
2010年6月9日水曜日
企業と社会的価値の関係(その2):持続的競争優位の源泉と裁量的責任
ひとつ前のエントリーで、企業が社会的価値を追求する場合、それは一段上の文脈の中で捉えてはどうか、と書いた。だが、ここで誤解されないように指摘したいのは、そうしたBusiness Call to Actionに署名する企業には限りがあるだろうし、たとえ署名しても宣言の趣旨に沿った実効性ある事業活動を行う、もしくは行えるとは限らない、という点だ。これは本フォーラムの2009年10月21日の第3項(「『BOP』市場における利益と持続性の確保」は、すべての企業が取り組むべき、もしくは取り組める、性質のものではない)で指摘しているように、貧困削減を伴う営利事業は、おしなべてすべての企業に対し、制度化された社会規範として取り組みを奨励できるたぐいのものではない。
この種の事業への取り組みは、Carroll(1979)による企業の社会的責任分類に基づけば、第4分類の「裁量的責任(discretionary responsibility)」を包含するもので、あくまで個別企業の選択の問題となる。分類の定義によれば、たとえこの事業に取り組まなかったからといって、「非倫理的である」と非難されることにはならない。
私の専門分野である戦略理論の視点から述べれば、企業が貧困解消を伴う収益事業に取り組むべき場合は、それがその企業の持続的競争優位の源泉となりうるときのみ、ということになる。この点については、Porter and Kramer (2006)*等をベースに厳密な議論を必要とするので、改めて論文等で世に問うことにする。
*Porter ME, Kramer MR. 2006. Strategy & society: the link between competitive advantage and corporate social responsibility. Harvard Business Review December 2006: 1-13.
企業と社会的価値の関係(その1):「BOPビジネス」を取り巻くより大きな文脈としてのMDGs&Business Call to Action
企業が途上国の低所得層を対象に事業展開する以上、貧困状況の改善に何らかの役割を果たすことが、事業の持続的成功(経済的成功)のために必要なことは疑いない。だが、企業自身が声高に自社事業の社会性を前面に押し出して喧伝することには、程度の問題ではあるが、外部から見て何らかの偽善を感じる向きもあるだろう。
というのも、企業活動の最も重視されるべき本来の社会的役割(基盤となる役割)は、その経済的責任(人の集まりとしての社会に不足しているもの、すなわち市場ニーズに応える商品やサービスを製造・販売し、その過程で事業の継続・拡張を担保する利益、出資者の期待に応える水準の利益、そして雇用を生み出し、納税をすること)*であって、採算を度外視した無私の社会貢献活動ではないからだ。
とはいえ、環境回復や貧困問題解消の重要性が、これだけ深刻に地球規模で知覚されることはかつてないわけで、こうした環境的・社会的問題に企業が背を向けられる時代はとうに終わっている。
その文脈で細々と展開しているのが国連のUNDPがイニシャチブをとっているBusiness Call to Actionである。その趣旨は「国連MDGsの達成に向けたプロセスを加速するために、民間企業セクターによるBOP市場(base of the pyramid markets)への投資を奨励」することにある。(The BCtA seeks to accelerate progress toward the achievement of these goals by encouraging private sector investment in base of the pyramid markets.) ここは「寄付」でなく「投資」という言葉を使っていることから、採算性を担保した事業活動が想定されていると解釈すべきだろう。
ちなみにこの宣言に2007年、2008年で署名している企業・団体は合計約60社にとどまっている。 日本企業では住友化学と三井物産だけだ。また、現段階ではこれら2社の日本企業は利益を追求しない姿勢でこの行動要請宣言に臨んでいる。しかし、この宣言に見られる企業の「投資活動」によるMDGs達成への役割期待は、明らかに昨今騒がれる「BOPビジネス」(貧困問題の解消を伴う収益事業)の背景であり、上位にある文脈だ。
つまり、1企業が個別企業レベルで、あたかも経済価値と社会価値の2正面戦略をとることに何らかの無理を感じざるを得ないとすれば、企業の営利活動が「より上位の文脈の、社会的問題解決への大きなスキーム」の一端を担っていると考えれば、企業による「BOP」事業の持つ「社会的価値・意味」を説明・理解しやすいのではないだろうか。
こうした「制度的規範」と、個別企業の持続的競争優位を統合する論理が、新たな企業戦略理論につながるかもしれない。
*Carroll AB. 1979. A three-dimensional conceptual model of corporate performance. Academy of Management Review 4(4): 497-505.
上記論文によれば、企業の社会的責任は以下の4つに分類される:
1.経済的責務(economic responsibilities):社会のニーズに応える製品・サービスを作り出し、資本の確保と事業継続に必要な水準の利益を実現しながら供給・販売すること。その活動を通じた納税と雇用創出。企業にとって最もfandamentalな社会責任。
2.法的責務(legal responsibilities):社会の定めた法制度や規制の枠組みの中で経済活動を営むこと。例:労働関連法令、環境規制、知的所有権法令等の順守
3.倫理的責務(ethical responsibilities):法的水準を超える倫理的要請 例:フェアトレード、労働衛生環境のさらなる整備、適正な給与水準、カウンセリング、食事提供等
4.裁量的責務(discretionary responsibilities):個々の企業の裁量・自発的選択に委ねられ、参画しなくとも非倫理的とはみなされない。 例:さらなる雇用創出を目的とした製造現地化や販売網構築、社会的価値の高い製品サービスの選択、純粋な慈善活動
パキスタンに続き、バングラデシュもFacebookへのアクセスを再開
Facebook社が謝罪と問題ページの削除を行ったことを受けて、すでに先週月曜日にアクセスを再開したパキスタンに続き、バングラデシュも5日土曜日にはアクセスを再開した。結局アクセスを禁じた期間は1週間で終わった。
2010年6月4日金曜日
「BOP」向け冷蔵庫「チョットクール」(インド、冷蔵庫版『ナノ』?)
JICAが支援している。JICAの記事の中で、ゴドレジ社副社長が破壊的イノベーションの概念などを織り交ぜながら、本ビジネスを通じて生まれた「BOP層への3Lビジョン」と、包括的(inclusive)成長に向けた現地密着の「システム・ダイナミクス・モデル」(事業開発プロセス)を披露している。
2010年10月からの正式販売を報じるニュース(リンクダウンしてます):
NHKのBizスポでも6月2日に放映された。
「チョットクール:ゴドレジ社の『ナノ』」
Africa: Open For Business
このドキュメンタリーシリーズはBOPに限定されたものでは全くないが、アフリカにおけるビジネスドキュメンタリー。National Black Programming Consortium製作。セネガル、ナイジェリア、ウガンダ、ガーナ、レソト、ザンビア、コンゴ、ソマリアのエピソードがある。アフリカにおけるBBC視聴者による世界ドキュメンタリー投票で2006年第4位になった作品。ちなみに現在NHKスペシャルでは、アフリカドリーム全3回シリーズが放映中。
ダッカで大規模火災、100名死亡100名以上負傷
6月3日、首都ダッカで雑居ビル(アパート)20棟を巻き込む火災が発生。標記の死傷者が出た。「3階建てアパートで変圧器が爆発して出火」との報道。原因は電気のショート。基準を下回るスペックでの配線や電気的処理はよくあることで、検査や取り締まりはほとんどなされていない、という。
バングラデシュ農業セクター2010年3Qレポート
先のエントリーで紹介したCompaniesandmarkets.com経由で遭遇したBusiness Monitor International発行のレポートに
Bangladesh Agribusiness Report Q3 2010がある。本体は有料(330ユーロ)だが、無料公開の要約でも一定の示唆はある。以下、その概要。
1.2007年3月に初めて確認された鳥インフルエンザは現在も発生しており、家禽業(主に養鶏業)に影響を与えている。直近では2010年4月に国内12か所で発生が報告され、約14万羽が罹患、うち1万羽が死亡、残りの13万羽は殺処分された。これを受け、同国政府は鳥インフルが発生しているインドからの家禽の移入・輸入を禁止した。
2.2009年から2014年の間で、家禽肉の消費は59%増加すると予想される
3.2009年から2014年の間に同国人口は8.2%増加して1億5660万人に達すると予想され、小麦、コメ、砂糖など基本食材の消費規模予測の基礎数値となる。同国の食糧消費は2009から2014年にかけて16.6%増加するとみられる。
4.コメの生産量は2009年から2014年にかけて16.7%増加し、38.54Mトンに達するだろう。
5.小麦生産は2003-2008年で44%減、84万4千トンになった。この背景には、農家がより利益率の高いトウモロコシやジャガイモに転作したことがあげられる。だが、2008-9年には再び増加し、99万4千トンに戻った。
6.1平方キロに1050人という人口過密度、年2%の人口増加率からいって、国土が住居や工業用地に使用される圧力は益々高まると予想される。その分、新たな耕作地が開拓されることは困難となることも考えられ、単位面積当たり収穫高(農地の生産性)が著しく高まらない限り、農作物生産量に対しては常に下方への圧力がかかると考えられる。
国別・産業別分析レポート
と言えば、すぐに思い浮かぶのはEIU(Economist Intelligence Unit)だが、市場調査会社は世界にあまたあるわけで、それらを集約したポータルマーケットがCompaniesandmarkets.comである。一つ一つの調査会社を当たることなく、国やセクターでソートして一覧できるので便利である。
バングラデシュでシェア3位の新聞が閉鎖される
英ガーディアン紙によれば、バングラデシュ第3位の新聞であるAmar Desh紙が政府によって閉鎖された。現政権の反対政党であるBangladeshi National Partyを支持し、現政権の人権問題や腐敗を指摘していた、という。
母親の死亡は子供の生存率に深刻な影響
6月3日のワシントンポスト紙によれば、バングラデシュにおける約15万人の子供の追跡調査により、以下の結果が得られた。
1.母親が死亡した場合、その子供が10歳まで生存し続ける確率は24%、母親存命の場合は89%。
2.生後2-5ヶ月の間に母親を失った子供の10歳までの生存率は、そうでない場合と比べ25倍高くなる。
3.父親の死亡は、子供の存命率に影響を与えない。(母親は親戚や地域コミュニティで父親の不在を補える)
本調査結果は、幼少時の存命にいかに母親の存在が重要かを物語る。専門家によれば、特に母乳による授乳が中心で、粉ミルクによる授乳が想定できない地域でこの現象が顕著であるという。また、児童の健康に対する施策を考慮する際には、その母親の出産時、出産後の存命率をいかに上げるかを包含する施策が重要だ、と指摘。
2010年6月3日木曜日
NPO法人アプカスによるスリランカBOP市場レポート
同法人は04年12月インド洋で起きた大津波のスリランカ人被災者を支援するために設立された。
下記のレポートには、同国のBOPにおける事業機会について詳細な分析がなされている。
http://www.apcas.jpn.org/data/apcas_bop_report.pdf
「アフリカの中間層は幻想かもしれない」
テキサス大学オースティン校のビジネススクール教授であるヴィジャイ マハジャン氏がものした「アフリカ動き出す9億人市場」は、読む限り基本的にアフリカの中間層(ボリュームゾーン)を想定したエピソード集であるにもかかわらず、同氏がBOP関連のセミナーに登壇することをかねてから不思議に思っていた。
今回の日経オンラインのコラムは、アジ研の望月克哉氏によるものだが、同氏によればアフリカ市場はごく富裕な層とBOPの2階層に分断されていて、事実上中間層は抜け落ちている、ということのようだ。
によれば、アフリカの所得構造は下記のようであり、たしかにBOP層の中でも圧倒的多数がBOP1500以下に所属している。このBOP層内の人口分布は、BOPの直上から始まる中間層の割合がそう大きくないことを示唆する。また、アフリカ総人口の95.1%がBOP3000以下に所属する。
次回のアフリカフィールド調査(本年6-7月)では、このあたりの皮膚感覚も確かめてきたい。
2010年6月2日水曜日
バングラデシュで8年の無料義務教育法案成立
5月31日、同法案は成立し、国民皆教育への体制が法的には整った。
現在1億5600万人人口の半分が文盲とされる同国では、MDGを1年前倒しして、2014年末までの文盲率ゼロ化を掲げた。「イスラム教中心の国家としては初めての非宗教的教育制度」を定めた。
バングラデシュでFacebookが遮断される
Facebook内のサイトで「イスラム教預言者への風刺画で冒涜的表現」がなされている、という理由で、先週末中にサイト全体が使用不能になった。風刺画の削除がされ次第、サイトのブロックは解除される、と通信規制当局。
2010年6月1日火曜日
井戸の掘り方でヒ素の含有を防ぐことができる(NYタイムズ)
同記事によれば、 バングラデシュ、ネパール、西インド、ミャンマー、カンボジア、ベトナム各国の地下水は、ヒマラヤの石炭層から染み出すヒ素で汚染されやすいが、井戸の掘り方次第では比較的容易にそのリスクを軽減できるらしい。オレンジの地層(安全層)に井戸を掘り、低圧のハンドポンプを接続。それとは干渉しない離れた場所で高圧ポンプを接続し、灌漑用に用いる。高圧の汲み取りは、ヒ素含有リスクの高い灰色の地層からも地下水を吸い出してしまうという。
㈱プロトムがバングラビジネスONLINE正式版をリリース
バングラデッシュビジネス専門のコンサルティング会社㈱プロトム(柴田 雄介社長)が、バングラデシュ現地紙からのニュース、同国専門家のコラムによるニュース解説、ビジネスマッチング情報の提供を本日6月1日、バングラビジネスONLINE(正式版)としてリリースした。本ブログのリンク欄にも掲載した。http://banbiz.jp/
これまで本ブログでは、BOP戦略の研究上価値があると思われる情報に関し、特にバングラデシュについては事実関係のみのニュースも比較的幅広く大意とともにアップしてきた。だが、上記プロトムのサイトは大変に見やすいサイトであり、ビジネスニュースがほぼデイリーに更新されている。今後もニュースソースのチェックは継続するが、本ブログでの記事紹介に関しては、より研究上含意のある記事の解釈、ビジネス以外でBOPに関連の深い記事、バングラデシュ現地紙以外の情報にフォーカスしてアップしていくくこととしよう。
登録:
投稿 (Atom)