2010年1月21日木曜日

マイクロファイナンスの成否:バブルか産みの苦しみか

少々遅ればせながら、2009年後半に起こったマイクロファイナンスに関する論争をレビューしておく。

<主な論文・記事>

2009年6月 Roodman & Morduch "The Impact of Microcredit on the Poor in Bangladesh: Revisiting the Evidence" が発表される。「マイクロクレジットは、不況期の支払いを支え、家計からの支払いキャッシュを平準化させる効果はあるが、貧困から脱出できるという効果は認められない」

2009年8月13日 Wall Street Journalの報道 "A Global Surge in Tiny Loans Spurs Credit Bubble in a Slum"
「インドの地方都市RAMANAGARAMでは深刻な多重債務問題が生じている。世界のマイクロクレジット業界は社会的問題解決から利益創出に目的がシフトし、大量のプライベートイクイティが流入してバブル状況。貸し倒れリスクが高まっている。」

2009年8月14日 インドのMFI Ujjivanが自社ホームページに反論を掲載
「WSJが指摘する問題事例はプライベートイクイティにもMFIの利益創出動機にも無関係の個人的背景による事例で、この事例をしてMFI全体が構造的な問題を抱えているとはいえない。」

2009年8月18日 グラミンを超える規模に成長したMFI SKSの創業者Vikram Akulaがブログで反論
「たった一つの町のたった一つの事例でMFが世界的にバブルだという一般化はあまりに馬鹿げている。SKSの返済率は99%で安全性の格付けで最高レベルである。」

「たしかにインド南部の一部では過重債務のケースが発生しているが、記事はそうした問題がどのように対処され、解決されていっているか(国や州レベルで債務解消のベストプラクティスを共有したり、MFIsを一元的規制の下に置くことなど)が全く触れられていない。今、MFは産みの苦しみを味わっているのかもしれない。貧困解消指数の積極的活用で、MFIのミッションが果たされていることを証明する支援を今後も続ける。」

上記すべて記事の大意。詳細は原典に当たっていただきたい。

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