「携帯電話通信事業のBOP市場における成功要因」という研究テーマに取り組みました。
携帯電話はここ5~6年の間にBOPでも急速に普及が進み、経済活動を活性化しGDPを押し上げるといった経済効果が観察されています。
私自身は派遣元企業の電気メーカーで、通信インフラを構築するプロジェクトにこれまで携わってきました。過去、ある発展途上国の農村に初めて電話が開通した際(当時は固定電話でしたが)、それまで急病人が出て救われなかった命が、電話のおかげで救急ヘリ・救急車を呼び救えるようになったという話を聞き、これが社会インフラの世の中への貢献なのだと強く感じました。その様な背景もあり、BOP市場において事業者が携帯電話を普及させ、事業を成功させるには何が必要か?というテーマを設定しています。
サンプルを分析した結果、多国籍通信事業者と現地企業・NGOの両方が資本参加する場合には企業のパフォーマンスが2極化している事が分かりました。多国籍通信事業者に期待されるリソース(技術力、資金力、人材、マネジメントノウハウ等)、現地企業・NGOに期待されるリソース(現地の状況に関する理解、ネットワーク等)を上手く融合させられた場合とそうでない場合ではパフォーマンスに大きな差が出る、つまり両者の提携の重要さや困難さが表れたと考えられます。
その他、早い参入タイミングや現地起業家の流通チャネル参加がパフォーマンスを向上させている事も確認されました。
公開情報が少ない為サンプルの標本数も限られているという状況での研究でしたが、ゼミでの恩師による指導、多くの方々の助言、またインタビュー・調査にご協力いただいた方々のおかげでここまでたどり着くことが出来ました。ありがとうございました。
慶応ビジネススクールは3月に修了予定で、その後は派遣元企業に戻ります。4月からはビジネスの現場から、発信できればと思います。
携帯電話通信事業のBOP市場における成功要因
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尾形君、ご苦労様でした。定量化がいまだ難しいBOPの領域で、創意工夫を凝らした実証研究だと思います。今後のBOP市場における通信キャリアの戦略に、価値ある示唆を与える研究だと思います。(岡田)
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