2009年7月10日金曜日

『貧困の終焉 2025年までに世界を変える』

著者: Jeffrey Sachs, 経済学者で国際開発の第一人者

 Jeffrey Sachsが自ら経験した事例を数多く盛り込み、南アジア/アフリカを中心とした貧困を撲滅する為にどのような対応が必要かを纏めている。
 Jeffrey Sachsは元々マクロ経済、特に国際金融を研究していたという背景を持ち、これまでボリビア、ポーランド等の国家救済に携わってきた。その為内容は我々が本研究フォーラムで取り組む営利企業の関わり方ではなく、各国の援助を通じて貧困を撲滅する仕組みが中心となっている。
 本文献では、彼が考案した臨床経済学という考え方も紹介されている。これは臨床医学の考えを取り込んだもので、経済は複雑なシステムで成り立つ為に経済を健全に運営するにはシステムが正しく機能していなければならない。また、各国の貧困の原因、地理、気候、病気、インフラ等の状況は個別に異なっている為、適切な援助を行う為にはその国を良く理解し、その国にとって最も適切な対応をとる必要がある、等といった内容である。
 著者が実際に携わった/観察したボリビア、ポーランド、ロシア、中国、インド、アフリカ諸国等の事例も多数記述されている。


 上記の通り援助を柱とした貧困の撲滅方法が中心であるので、本フォーラムで取り組んでいる営利企業の事業活動を通じた貧困の撲滅についての記述はほとんど無いが、貧困の原因が国や地域によって異なる為、適切な対応も国によって異なるという考え方は、援助だけではなく営利企業の活動にも通じる(土着化の考え方) 。

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