2009年7月27日月曜日

バングラデシュ研究調査概況 (2009年6月30日) -2


午後はダッカにあるGrameen Bank Head Officeへ

Grameen Bankの創業期から在籍している方で現在はInternational Program DepartmentのDeputy General Managerをしている方にお話を伺った。

まずはgeneral introductionということでGrameen Bankの生い立ちやmission, visionについてご説明頂く。さながら演説を聴いているかのような迫力で、色々な書籍や記事で読むMuhammad Yunus氏の言葉を裏付けるかのようなお話だった。前の記事にも書いたが子供へのフォーカスをとても大切にしている様に感じた。教育を受けた子供達は事業を興し、それ自体が雇用を生み社会に対してのインパクトを与えるし、教育を受けた子供達は今までのような過ちを起こすことが少なくなる、と言うのが基本的な考え方のようだ。
また、Grameen Modelの根底は貧困層であっても人々には能力があり、それをMicro creditが助けるので、彼らは自然とビジネスを大きくしていくという性善説がある様に思えた。

以下ディスカッションの抜粋

Grameen Family Companiesについて
我々の事前の(勝手な)理解ではGrameen Bank(以下G.B)がGrameen Danone(以下G.D)やGrameen Phoneなどのグループ企業に出資をして、さながら日本の財閥、系列のような関係を持っていると考えていた。国際経営学の文脈でも途上国では社会インフラが未発達であるためにtransaction costが高く、それを軽減するために垂直統合、コングロマリット化が進みやすいというが、それと同じロジックかと考えていた。しかしながら実際は法的にG.Bはmembers(borrowers)や国外企業に出資することが制限されており、新しいビジネスを始めるためにその都度別の資本を集めているとのことだった。もちろんG.Bが直接出資をしなくてもほかのGrameen group企業が出資をすることはあるのだが。よって基本的に組織体、経営主体などは別々となっている。当然根底のmission, visionは共通だが、それぞれにspecificなmission, visionも持っている(たとえばG.Dであればバングラデシュの栄養失調をなくす、健康向上に寄与する など)。

Definition of Social Business
貧困のない世界を創る」にもあるように利益最大化企業はSocial BusinessはできないためにSocial Enterpriseという別の組織体が必要であるというのが彼らの主張である。しかしユニリーバやネスレなどもしっかりとBoPでビジネスをしているし社会的価値を生み出している。Social Businessの定義は何か?と言う質問に対して、大きく二つの回答を得た。一つは事業を通して得た利益(outcome)をどのように使うか。株主、投資家のためではなく更なる社会的課題の解決のために使うこと。二つ目は一つ目とも関連するがFocus on whom?ということ。その事業を始めるにあたり、その事業は何のために誰のために行うのか、Social Businessは社会的課題を解決するためであり、単にお金儲けのためではない。(栗原の解釈も入っているので100%G.Bの方の回答ではありませんが。。。)

所感
BRAC同様にオフィスの中には世界各国からのInternが来ていた。世界からの注目が大きいことを感じた。BRACとGrameenは良く比較される。数は少ないが何人かお会いした人々の印象としてはBRACは洗練された大企業、エリート集団であり、Grameenはもう少しおっとりとした理想集団といった感じであった。創業者がBRACはビジネスマン、Grameenは大学教授というところからもそのような違いは生まれているのかもしれない。またBRACは管理職の中途採用を多くしているが、Grameenは基本的に皆生え抜きでdisciplineがしっかりしているということでも有名のようだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿