2009年7月31日金曜日

ドイツがバングラデシュに$77Mを援助金として提供

ドイツ政府は社会経済的発展(内$56M はエネルギー効率向上、統治の向上(?)、医療衛生への投資に、$21Mは女性の法的社会的地位向上、刑務所改革、地方政府の強化、農村部のインフラ開発、そして生物の多様性保護に使われるという。

所感:この援助金と、先のドイツ海運会社の同国への大量発注には何か関わりがあるのだろうか。だとすれば、官民挙げての支援ということになる。

2009年7月30日木曜日

バングラデシュの造船会社がドイツの海運会社から$355Mの契約を獲得

この記事から推測されるのは、バングラデシュの造船業界には一定の国際競争力がある、ということだ。たとえ造船技術は平均的水準であったとしても(仮定の話)、やはり競争力の源泉としては労働コストの圧倒的低さが考えられる。同国の造船業界は歴史が古く、同国内で運行する6000トン超の湾岸航行船やタンカーは90%以上が自国製だという。

Bangladesh shipbuilders win $355 mln German deals

Sun Jul 26, 2009 3:55pm IST

DHAKA, July 26 (Reuters)

http://in.reuters.com/article/fundsNews/idINDHA39811420090726

なお、バングラデシュの造船業界に関しては、下記の日本財団のウェブサイトに2003年時点の情報がある。国営の造船会社が3社ある模様。

http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00689/contents/0170.htm

2009年7月29日水曜日

Philips:アフリカBOP市場における照明機器販売

2006年、フィリップスのCEO、Gerard KleisterleeはMNCsがBOP市場にフォーカスすることの必要性を明示的に述べた。その後Philipsの Lighting事業部は、インドでBOP市場への照明器具導入の経験を積み、その経験をサハラ以南のアフリカへ展開しようとした。ここで同じくオランダに本社があるコンサルティング会社Berenschotがチームに加わる。

当初、Philipsがアフリカ用に開発していた製品は、堅牢で、壊れにくく、無難な価格設定がなされた太陽電池式の蛍光ランプだった。その後いくつかの異なる製品もラインナップされていった。

しかしアフリカでの戦略で重要なのは製品戦略だけではなく、マーケティングと販売戦略が重要である。後者の戦略において、Philipsは自前主義でなく、アフリカの現地企業、現地NGO、そして現地で活動する開発組織との協力を選択した。これにより、現地の起業家達が照明器具の販売やアフターサービスのネットワークを構築する際の支援体制(マイクロファイナンスへのアクセス、最も遠隔地にある地域の人々への物理的アクセス)ができあがった。

Berenschotは、PhilipsがGhanaで現地パートナーを見出す手助けを行うとともに、パイロットプロジェクトの実施とモニタリングにも加わった。さらに、アフリカの貧困層数百万人に照明をもたらすため、商業的にも持続可能な物流ネットワーク構築を目的とする「オランダ政府(外務省)とのパートナーシップ」をデザインすることでも協力した。その結果、2008年7月には、Ghanaのプロジェクトをさらに他のアフリカ10ヶ国に拡大するため、Philips とオランダ政府との間で官民パートナーシップ協定が結ばれたのである。

動画によるニュース映像
Berenschot社の広報頁

世銀がバングラデシュの2NGOを出入り禁止に:虚偽申告

 この記事によれば、World Bankがバングラデシュで行なっている教育事業への応募申請にあたり、2つのNGOが「関連した業務に従事した経験がある」と虚偽の申請書を作成したとして、2-3年の応募禁止の処置を受けたという。Organization of Rural Economic Development & Rehabilitation (OREDAR) とPoverty Alleviation and Rural Development Organization (PARDO)。

World Bank Debars Non-governmental Organizations
for Fraud in Bangladesh
Tuesday, July 28, 2009 :: Staff infoZine


バングラデシュ政府の第6次5ヵ年計画(2011-15)概要が明らかに

この独占記事で明らかになったThe Sixth FiveYear Plan のコンセプトペーパーで印象的なのは、
1)高い経済成長を目指す上で、その成長の果実が貧困度の深刻な層により手厚く配分されるように(pro-poor)することで、貧困脱却と収入の平準化につなげていく、
2)マーケットメカニズム(市場原理)が5カ年計画期間中の経済発展の原動力となり、資源の最適配分に役立つだろう、
3)Public Private Partnership (PPP、官民連携)を重視し、全体としての投資効率を上げることに役立てたい、
4)経済の生産性と効率向上のために、特にICT(情報通信技術)を重視していく、
と述べている点である。

NPO/NGOとの連携については、記事中には触れられていない。

AHN Exclusive: Bangladesh To Reintroduce Five-Year Development Plan For FY 2011

July 28, 2009 2:16 p.m. EST


Read more:http://www.allheadlinenews.com/articles/7015926471?AHN%20Exclusive:%20Bangladesh%20To%20Reintroduce%20Five-Year%20Development%20Plan%20For%20FY%202011#ixzz0MddVW989

BOP市場を国内に持つ国々の対外国民意識

「2007年度のPew Research Center(アメリカの独立したシンクタンクの一つ=脚注)による世界動態調査によれば、自由貿易、市場開放、民主主義を支持する人々の割合は、世界各地で驚くほど増加した。中国、ドイツ、バングラデッシュナイジェリアなどの国々では、各国間の通商関係が深まるのは好ましいことである、と大多数の国民が回答している。調査対象となった47カ国のうち自由貿易への支持率が最も低かったのは、何を隠そうアメリカだ。調査が行われた5年間で、その支持率の落ち込み幅が最も大きかったのも、やはりアメリカだ。」

「続いて外国企業に対する態度を見てみよう。ブラジル、ナイジェリア、インド、バングラデシュなどの国々では、外国企業に良い印象があるかとの問いに、大多数の国民が「はい」と答えている。歴史的に見ると、これらの国々は総じて西洋の国際企業に不信感を持ってきた(背景には、南アジアの植民地化がイギリスの1企業、<イギリス東インド会社>によって始められたという事実がある)。しかし現在では、インド国民の75パーセント、バングラデシュ国民の75パーセント、ブラジル国民の70パーセント、ナイジェリア国民の82パーセントが、外国企業に好感を示している。対するアメリカ国民はといえば45パーセント。これは世界の下位五カ国に入る数字だ。アメリカ人は、世界じゅうでアメリカ企業が大歓迎されてほしいと望む一方、自国に外国企業が入り込むと、まったく逆の反応を示す。」 (赤字は当フォーラム)

http://www.kiyoshikurokawa.com/jp/2009/07/the-post-americ.html

Grameen Family Organizations

http://www.grameenfoundation.org/who_we_are/our_grameen_heritage/grameen_family/

Grameenという名を冠して活動している団体は下記の通り。


GoogleとGrameen Foundationがアフリカで協業

Africa: Google and Grameen Foundation launch AppLabという記事より。

アフリカのウガンダでGoogleとGrameen FoundationがSMSを使った検索サービスを展開するとのこと。先進国では以前から展開しているサービスだが、現地の人に合わせたコンテンツ:農民のための天気予報や農作物の市場価格、育成方法や医療機関の情報、マラリアやHIVの情報などを提供する。それによって移動コストを削減することができると記事にはある。

Grameen Groupで携帯電話事業をやっているGrameen PhoneかGrameen Telecomと組むのかと思ったがMTNという南アフリカの携帯電話事業者とGoogleとGrameen Foundationの3社の取り組みのようだ。Grameenの役割としては現地の人のニーズの調査などで2007年から取り組んでいるプロジェクトであるとのこと。さらにGrameenはバングラデシュで培ったVillage Phoneモデルをアフリカでも広めるための支援をするという。

バングラデシュでの取り組みがどこまでアフリカに移植できるのか、本プロジェクトの利益分配はどのようになっているのか、色々と気になる記事である。

注:Grameen Foundation(以下GF。所在は米国ワシントンDCとシアトル)は、ユヌス博士とGrameenBankの思想と価値観、そして貧困解決のノウハウを共有しつつ、資金源、マネジメント、ガバナンスの点からはGrameen Bankとは独立した組織である(フォーラム注:上記記事中ではa microcredit bankとなっているが、正確には個々人への融資は行なっていない)。世界各地のマイクロファイナンス団体を資金やノウハウの点で支援したり、ICTの活用により貧困の解決に従事している。ちなみにGrameen Bankはバングラデシュでのみマイクロファイナンスを展開している。(GFホームページより要約。以下直接引用↓)

"How did Grameen Foundation get started?

We sprang from a rich heritage – Grameen Bank of Bangladesh and Professor Muhammad Yunus, the founder and managing director of Grameen Bank." "In launching Grameen Foundation in 1997, Professor Yunus challenged us to deliver the promise of microfinance around the world. Grameen Foundation was established by Alex Counts, our founding and current president. We continue and highly value our close relationship with Professor Yunus and Grameen Bank. Professor Yunus remains a valued member of our board of directors."

"Grameen Foundation shares and supports the philosophy of Grameen Bank. We are strong strategic partners and work closely together to reduce global poverty among the poorest of the poor. We pursue a common vision by sharing knowledge and success models to accelerate the rate at which the world's poorest people can access microfinance and begin their journey out of poverty. However, we are independent organizations with separate management, staff, funding sources, and governing boards. Grameen Bank operates in Bangladesh only. As the largest and most successful microfinance organization, it strongly influences the direction of microfinance globally.

Grameen Foundation is a U.S-based microfinance and technology organization that works with local organizations to help them reach and serve poor people. "

(文中の斜体ならびに赤字は本フォーラムで付加)

2009年7月28日火曜日

このデータベースは大変便利です。

http://earthtrends.wri.org/searchable_db/index.php?theme=5

地球温暖化への防波堤:バングラデシュ政府が$4.35Bのプロジェクト立ち上げ

2050年までに温暖化による海面上昇で国土の17%が失われ、2000万人が住む場所を失うと予想されている同国では、政府が$4.35B(約4350億円)をかけて、国土を守るプロジェクト(防波堤・道路建設、数千の避難所建設、海岸沿いの植林による侵食の防止など)を計画中である。

Bangladesh plans to fight climate change

http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5iO0au-jJh85E7NxvZjkakOcPG93w

2009年7月27日月曜日

バングラデシュでナフサを利用した石油精製プラント建設

Mobil Jamuna Fuels Limited (MJFL)は、同国営Eastern Refinery Limited (ERL)における石油精製の副産物であるナフサを用いて、ハイオクガソリンの精製に乗り出す。 投資額は$110 million、生産能力は年産15万トン。

Bangladesh to set up fuel plant to use naphtha

Sun Jul 26, 2009 12:17pm EDT

バングラデシュの国際収支が急速に改善

同国の2008年4月―2009年7月期の国際収支は、$1.327 billion(約1300億円)の黒字となり、前年同期の$75 million(約75億円)の赤字から大幅に改善した。政府高官によれば、同国経済はこのたびの金融危機の影響をそれほど受けていないという。
輸入の伸びが減少し、衣料品輸出が伸びた。また600万人の在外バングラデシュ人からの送金が対前年で22%増大した。
また、同国の外貨保有高は6月末で$7.47 billion(約7470億円)という最高水準に達しており、社会インフラの整備などに使われる予定という。

Bangladesh's BOP soars as import growth dips

Sun Jul 26, 2009 3:55pm IST

Freedom from Want: BRAC書籍

BRACのホームページのトップで紹介されています。

「BRACはノーベル賞を受賞したGrameen Bankと比べて世界的に知名度が低いものの世界で最も多様で成功しているNGOである。BRACの歩みはsocial enterpriseが社会的課題をいかに解決したら良いかを示している」という紹介文。



著者のインタビューがYoutubeにもアップされているのでご参考までに。

バングラデシュ研究調査概況 (2009年6月30日) -2


午後はダッカにあるGrameen Bank Head Officeへ

Grameen Bankの創業期から在籍している方で現在はInternational Program DepartmentのDeputy General Managerをしている方にお話を伺った。

まずはgeneral introductionということでGrameen Bankの生い立ちやmission, visionについてご説明頂く。さながら演説を聴いているかのような迫力で、色々な書籍や記事で読むMuhammad Yunus氏の言葉を裏付けるかのようなお話だった。前の記事にも書いたが子供へのフォーカスをとても大切にしている様に感じた。教育を受けた子供達は事業を興し、それ自体が雇用を生み社会に対してのインパクトを与えるし、教育を受けた子供達は今までのような過ちを起こすことが少なくなる、と言うのが基本的な考え方のようだ。
また、Grameen Modelの根底は貧困層であっても人々には能力があり、それをMicro creditが助けるので、彼らは自然とビジネスを大きくしていくという性善説がある様に思えた。

以下ディスカッションの抜粋

Grameen Family Companiesについて
我々の事前の(勝手な)理解ではGrameen Bank(以下G.B)がGrameen Danone(以下G.D)やGrameen Phoneなどのグループ企業に出資をして、さながら日本の財閥、系列のような関係を持っていると考えていた。国際経営学の文脈でも途上国では社会インフラが未発達であるためにtransaction costが高く、それを軽減するために垂直統合、コングロマリット化が進みやすいというが、それと同じロジックかと考えていた。しかしながら実際は法的にG.Bはmembers(borrowers)や国外企業に出資することが制限されており、新しいビジネスを始めるためにその都度別の資本を集めているとのことだった。もちろんG.Bが直接出資をしなくてもほかのGrameen group企業が出資をすることはあるのだが。よって基本的に組織体、経営主体などは別々となっている。当然根底のmission, visionは共通だが、それぞれにspecificなmission, visionも持っている(たとえばG.Dであればバングラデシュの栄養失調をなくす、健康向上に寄与する など)。

Definition of Social Business
貧困のない世界を創る」にもあるように利益最大化企業はSocial BusinessはできないためにSocial Enterpriseという別の組織体が必要であるというのが彼らの主張である。しかしユニリーバやネスレなどもしっかりとBoPでビジネスをしているし社会的価値を生み出している。Social Businessの定義は何か?と言う質問に対して、大きく二つの回答を得た。一つは事業を通して得た利益(outcome)をどのように使うか。株主、投資家のためではなく更なる社会的課題の解決のために使うこと。二つ目は一つ目とも関連するがFocus on whom?ということ。その事業を始めるにあたり、その事業は何のために誰のために行うのか、Social Businessは社会的課題を解決するためであり、単にお金儲けのためではない。(栗原の解釈も入っているので100%G.Bの方の回答ではありませんが。。。)

所感
BRAC同様にオフィスの中には世界各国からのInternが来ていた。世界からの注目が大きいことを感じた。BRACとGrameenは良く比較される。数は少ないが何人かお会いした人々の印象としてはBRACは洗練された大企業、エリート集団であり、Grameenはもう少しおっとりとした理想集団といった感じであった。創業者がBRACはビジネスマン、Grameenは大学教授というところからもそのような違いは生まれているのかもしれない。またBRACは管理職の中途採用を多くしているが、Grameenは基本的に皆生え抜きでdisciplineがしっかりしているということでも有名のようだ。

干ばつ状態に苦しむ農家に政府が無料電力供給

人口14.4億人のバングラデシュは、その70%が地方農村部で農業に従事している。今夏のバングラデシュには、先に報じられたとおり干ばつに近い状況の地域がある。そうした数百万軒にのぼる農家に対し、政府は地下水をくみ上げて灌漑するための電力を無償で供給することを決めた。

Free electricity for drought-hit Bangladesh farmers

http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5ieNxA3XxATfly50sym00C-3u9CDQ

Grameen Shakti:太陽光発電システムが電気不足を解消(バングラデシュ)

電気不足に悩まされているバングラデシュでは、人口1億5千万人のうち電気が通じているのは40%にすぎない。そんななか、太陽光発電が広がり始めている。販売会社は同国に16あり、現在利用されているソラーシステムは30万セットにのぼる。なかでもGrameen Bank 傘下のGrameen Shaktiは、その販売の先駆者である。この太陽光電気のおかげで、地方の商店では午後11時まで営業可能になり、売上が増大するなどの成果が出ている。

Solar Panels Energize Villages in Bangladesh
2009-7-25
記事内にニュース動画あり。

2009年7月26日日曜日

バングラデシュ研究調査概況 (2009年6月30日) -1

2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が始めたGrameen BankのMicrofinance operationを見学

ダッカ郊外のマイクロファイナンスのミーティングが行われている集落まで車で1時間弱、その車中でGrameen bankの組織構造、ガバナンス、商品構成など基本的なことについてInternational Programの担当者からレクチャーを受ける。
組織はHead officeを組織のトップとするとその下にGeneral officeが40、Area officeが270、Branch officeが2554ある。各Branchの下には60-70のcentersがあり、各Centerの下には8-10のgroupsがある、各groupは5−6人のmember(borrower)からなる。Branch以下が実働組織で、Area以上のオフィスはモニタリングなどのバックオフィスがメインとなる。

Center meetingを見学する前にBranch officeでBranch managerとborrowerの方のお話を伺った。
borrower(お母さん)は主婦だが夫と野菜流通の仕事をしていて、大学に通う娘がおり、Grameenの奨学ローンで学費などを払っているとのこと。大学生の娘さんは大学ではSocial scienceを専攻し、携帯電話(1300Takaで購入)も友達や家族との連絡のために持っていた。着ている服は他の多くの女性と同じく民族衣装だがきれいにしていて、英語も多少は喋れる、我々の持っているいわゆる「普通の大学生」像からそれほど離れたものではなかった。「貧困」というものはここには無いのではないかと感じた。
GrameenのHigher education loanは学部レベルの教育のためのローンで在学中の利息はかからない。また、Centerごとの評価指標にeducation loanを活用しているborrowerがいることが含まれていて積極的に教育を受けさせることを推奨している。

Center meetingはほとんどが我々からの質問タイムになっていた。どのような仕事をしているのか、借りたお金で何をしたのか色々と教えてもらった。このあたりはBRACのMicrofinanceとあまり変わらなかった。
魚問屋をやっている人、Grocery storeを経営している人等様々な職業の方がいた。ほぼ全員が携帯電話を持っていることが驚きだった。

次にCenter leaderの自宅を訪問。家には電気はもちろん通っており、テレビもある
元々彼女の住むエリアにGrameen Bankは活動しておらず、隣の集落でそのような活動があることを聞きつけ、自ら仲間を募ってGrameen BankのmemberとなったというとてもActiveな方だった。以下簡単に彼女が教えてくれたこと。
3万Taka GBから借り入れて家を建てた
夫は1日1200−1300TAKA稼ぐ 車でモノを運ぶ仕事
息子も商売をやっている(建材となる砂を扱う商売)
ビジネス、家をもっと大きくしたいと考えている

他にも2件借り手の家を訪問したが、どこもきれいにしていて、生活に困っているという印象は受けなかった。昔からそうだったのではなく、Microfinanceを使って10−20年で豊かになったと皆教えてくれた。


所感:
多角化が進み、地域社会との接し方が多面的であることがGrameenの一つの特徴かと思っていたが、実際にborrowerの方々の話を聞くと、Telephone lady(Grameen phoneの販売、端末の共同利用仲介者)が30−40人のうち1,2人いた位でMicrofinance以外の結びつきはそれほどないようだった。

次回はGrameenのHQでの取材内容を掲載予定。

2009年7月25日土曜日

バングラデシュ北西部に有望な炭田、エネルギー不足解消に貢献か

Potential for Coal Bed Methane in Bangladesh
Md. Rafiqul Islam (Rafiq)
Friday, 07.24.2009, 08:52am (GMT)

アジア最大のショッピング・エンタテインメントモール(バングラデシュで建設中)に、ロールスロイスが発電施設を提供

首都ダッカで建設中のJamuna Future Parkに、ロールスロイスが給電設備を納入。


所感:先月の調査時にはこの話は聞かなかった。しかしアジア最大のショッピング・エンタテインメントコンプレックスがバングラデシュに建設中とは、ある種の波が来ていることを予感させるに十分である。統計上は世界最貧国の下から3番目である。

コメの輸出が解禁に(バングラデシュ)

豊作と株式市場の上昇を受けて、私企業のコメ卸売業者に対しコメ輸出が解禁される。現在同国には1000万トンの備蓄があるという。まずは10000トンから初め、段階的に増やす模様。2008年5月に通常品種の輸出を禁止して以来。2007-2008年の輸出額は$9 million。

Bangladesh may lift ban on rice exports - official

Fri Jul 24, 2009 1:23pm IST




バングラデシュでは2百万人の子供が深刻な栄養不良

生後半年から5歳までの子供で、深刻な栄養不良に陥っている子供は2百万人にのぼるという調査結果(政府、国連共同で調査)。原因は昨年来の生活必需品の価格上昇。

2005年から2008年までで家計収入は12%減少したが、その間食料品価格は上昇した。また、家計に占める食料品支出の割合は平均62%になり、対2005年で10%上昇している。

調査は、食料安全と栄養状態に関する定期的継続的な調査を行い、よくない兆候を早期に発見することが重要だと指摘している。

2 mln children suffer from acute malnutrition in Bangladesh:Survey

Acumen Fund CEOのインタビュー

McKinsey Quarterly 最新刊 2009 number 3

"The state of philanthropy: A conversation with Acumen Fund’s CEO"


企業のフィランソロピー資金を集めて投資するという、ユニークなスキームを持つAcumen Fund。
我々の研究とは資金の出どころが異なるが、投資対象は営利と社会性を両立する事業であり、そこからの知見は大いに学ぶべきところがある。ウェブサイトにはインタビュー動画も。




2009年7月24日金曜日

ヤクルト:BOPビジネスの源流はヤクルトレディーに

北海学園大学菅原先生のワーキングペーパー

バングラデシュ最大の商業銀行Sonaliが、オンライン/SMSでサービス開始

今回のオンラインサービスの技術を提供しているのはローカルベンダーのBeximco Computers Limited と SSL Wireless (Software Shop Limited Wireless)。

Sonali Bank Launches Online, SMS Banking Services In Bangladesh

July 23, 2009 1:13 p.m. EST

Siddique Islam - AHN Correspondent

http://www.allheadlinenews.com/articles/7015880079?Sonali%20Bank%20Launches%20Online,%20SMS%20Banking%20Services%20In%20Bangladesh#ixzz0M8pu8wrl

アジア開発銀行(黒田晴彦総裁)がバングラデシュに8億ドルの借款を向こう3年間供与

過去2年間の毎年6億ドルの借款供与に2億ドル上乗せ。このたびの経済危機を乗り越え、社会インフラ整備や社会安全ネットの構築に役立てるため、とのこと。

ADB to give Bangladesh extra 200 mln dollars a year

http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5jc3XN8D5ZVdAbfDBBNt9W9LjAb4w

所感:まだまだ衛生状態、道路の舗装率さえ極めて低い。これだけの莫大な金額の100%が、貧困状態の解消や社会インフラの構築整備に充てられることを切に願うばかりである。

グラミンフォン2009年2Qの売り上げが10%増

Bangladesh's Grameenphone posts 10 pct growth

Thu Jul 23, 2009 9:41am EDT

DHAKA, July 23 (Reuters) -

売上増の理由は、1)契約者増、2)(端末?)平均価格の上昇、3)2008年3Qに開通した国際通話による収入増がローカル通話の料金低下を補った、ことによるという。

http://www.reuters.com/article/rbssTechMediaTelecomNews/idUSDHA52934820090723

2009年7月23日木曜日

バングラデシュにおける宗教と教育問題の現状(UNHCR)

宗教上の少数派と、少数民族に関して、バングラデシュで生じている状況を説明している。

1)イスラム教徒が大半を占める同国では、それ以外の教徒(ヒンドゥー、仏教、キリスト教)への人権問題が昨年度130件あまり発生した。

2)少数民族に対する初等教育がいまだ不十分である。

State of the World's Minorities and Indigenous Peoples 2009 - Bangladesh

http://www.unhcr.org/refworld/docid/4a66d9c037.html

Augere Wireless Broadband社がWIMAXベースのネット接続サービスを開始(バングラデシュ)

Bangladesh Bangladesh

Wednesday, 22 July 2009

Augere launches WiMAX in Bangladesh

ダッカ中心地のグルシャンとバナニ地区で試行サービスを開始した。3年以内に300万人へのサービス提供を目指すという。

http://www.telegeography.com/cu/article.php?article_id=29364

バングラデシュのHasina首相、インドとの旅客鉄道再開を提案

Hasina for reopening of Bangla-India passenger train services
Anisur Rehman/PTI / Dhaka July 22, 2009, 12:24 IST

1965年のインド-パキスタン戦争以来閉ざされていた両国間の鉄路を再開するよう、バングラデシュのHasina首相は同国を訪問中のインド業界団体関係者に語った。両国間の交易や人の往来を促進したい、と同首相。

http://www.business-standard.com/india/news/hasina-for-reopeningbangla-india-passenger-train-services/68508/on

新たな作付方法によって飢餓期を乗り切れるように(バングラデシュ)

Early rice harvests ease annual famine in Bangladesh

July 22nd, 2009

バングラデシュ北西部では、毎年9月-11月、200万人の人々がmongaと呼ばれる「食糧不足の時期」を迎える。前年の貯えが底をついてから、その年のコメが12月に収穫されるまでの間である。

この飢餓期を乗り切る方策として、政府と地元の農業団体は新たな作付法(苗を作らずに、コメの種子を直播きする)を推奨している。これによれば、収穫までの日数が25-40日短縮することができ、2回目の収穫(二毛作。maize, potato, mustard, wheat, chickpea, or vegetables)の可能性を増やすだけでなく、より早期に米(食糧)をもたらし、土地を持たない農民により早い収穫の仕事(=現金収入)をもたらす。

http://www.physorg.com/wire-news/9712687/early-rice-harvests-ease-annual-famine-in-bangladesh.html


世界規模のモバイル業界団体であるGSM Association(GSMA)が、バングラデシュにSIMカード税撤廃を求める

GSMA urges Bangladesh to cut SIM card tax

Wed Jul 22, 2009 8:18am EDT

DHAKA, July 22 (Reuters) - 

バングラデシュでは、携帯新規契約時に購入するSIMカードに800Taka(約$11.6)課税される。これが新規顧客獲得の大きな弊害になっているという。

Deloitte & Touche の調査によれば、バングラデシュでは人口に対する携帯保有率が1%上昇するごとに、0.12%の経済成長押し上げ効果がある。携帯の普及が経済発展に重要な役割を果たしている。

同国の携帯保有台数は6月末で4,670万台(人口の約3分の1)に達しているが、ここ数四半期の間、新規加入数は伸び悩んでおり、その元凶の一つがSIMカード税といわれている。

現在6つの携帯サービス会社があり、上位4社は、"Grameenphone, controlled by Norway's Telenor (TEL.OL), leads the market with 21 million subscribers, followed by Egyptian company Orascom Telecom's (ORTE.CA) Banglalink and AKtel, majority owned by Telekom Malaysia International (TLMM.KL)."

http://www.reuters.com/article/rbssTechMediaTelecomNews/idUSDHA47681920090722



米XVD社の圧縮技術を用いてコクヨS&Tがテレビ会議システム発表

DeftPartners(代表:原丈人氏)が出資するXVD社の技術は、バングラデシュに展開するbracNet社でも活用が計画されているが、同技術をベースにコクヨがテレビ会議システムを発表。


所感:このコクヨのシステムは、コスト的にBOPへ展開できるのだろうか。

2009年7月22日水曜日

バングラデシュ政府、中国・インドとの経済連携強化を模索

 バングラデシュ財務省高官によれば、同国政府は中国との Joint Economic Commissions (共同経済委員会)を今月(2009年7月)復活させ、両国間の事業・投資分野における協力関係を強化する。インドとも同様にJECを復活させる意向。
中国とインドはバングラデシュへの輸入額に占める割合が最大の2国となっており、両国との貿易収支は今年度合計で$5.55Bの赤字となる模様。
 いかにバングラデシュ国内へ製造業分野の投資を呼び込めるかが、同国の経済発展にとって重要な課題である。

http://priyo.com/news/2009/jul/21/28835.html

バングラデシュに深刻な干ばつの恐れ

例年6月から9月の雨季に年間雨量の75%が期待される同国では、2009年6月の雨量が平均降水量よりも37%減少、7月も19日までで23%減とのこと。このままでは農作物への深刻な影響が懸念される。
また、今年のこれまでの降雨は北東部や南東部丘陵地帯に集中し、豪雨による洪水被害が発生する一方、平野部では干ばつ状態にほぼ近い様相を呈するといった地域間のばらつきが生じている。

Drought threat for Bangladesh as monsoon fails

http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5iOEan4bw7oW-K_NxwhICGVsrJ_og

『ワールドインク:なぜなら、ビジネスは政府よりも強いから』 World Inc.: When It Comes to Solutions Businesses are Now More Powerful than Government.

著者: ブルース・ピアスキー, 企業による環境問題への対応について専門性を有する経営コンサルティングファーム、アメリカン・ハザード・コントロール・グループ(AHCグループ)の創設者・会長。

要旨
より良い製品や事業を創造することにより、企業は政府や宗教が取り組むよりもより良い世界を作る事ができる、という考え方が本文献のテーマ。
大手多国籍企業は一部の先進国を除く国の経済規模よりも大きく、その総資産や貿易額は世界に大きな影響を与えるほどの規模であるという事実に基づき、論旨が展開されている。
  • 世界の経済主体の規模を比較すると、上位100社に含まれる51の組織は企業であり、国家ではない。
  • 世界の総資産の25%は、IBM, デュポン, ハネウェル, ダウといった多国籍企業の大手300社により所有されている。
  • 国内総生産(GDP)が、世界の最大手6社のそれぞれの年間売上高を上回る国は、21カ国しかない。
また、著者がコンサルタントとして携わったトヨタ、ヒューレット・パッカードの事例を中心に、社会対応型資本主義(Social response capitalism)という考え方が提唱されている。
これは、例えばハイブリッドカーや有害な化学物質を使用しない製品といった社会・環境の保護につながるような製品を開発し、事業を行うという考え方である。文献では「新たな、真の社会的なニーズやプレッシャーに対応する製品」と表現されている。

BOPに関しては、以下のヒューレット・パッカードの取り組みが紹介されている。
  • 零細企業促進プログラム (MAP: Microenterprise Acceleration Program)
  • デジタル・コミュニティ・センター (DCC: Digital Community Centers)
  • マイクロファイナンス
  • iコミュニティー

所感
企業によるより良い社会の創造が骨子なので、援助を核とした経済発展を主張するジェフリー・サックスとは対極にある(ジェフリー・サックスの文献については「貧困の終焉」を参照)。
全体を通して先進国、特に米国の環境に敏感な企業や消費者を主な対象としているようだ。従って、世界中の企業や消費者の実態として纏めたものというよりは、今後企業や消費者はこの様に考えるべきだという啓蒙を行っている文献という捉え方が適切であろう。
但し、企業の事業活動が単なる利益の追求(市場からの搾取)ではなく社会と長期的に共存するという考え方は、我々のBOP市場へのアプローチの根幹と同じである。また、"企業が”より良い社会を作る事が出来るという骨子も共通している。
我々は、BOPでは営利企業がその事業を通じて社会的価値を向上させる事が最終的に企業価値の向上につながり、社会とwin-winの関係を構築出来るという仮説に基づき研究を進めているが、もしかしたらこの基本的な考え方は先進国、BOPを問わず共通になるのかもしれない。但し具体的に重要だと考えられる内容には明確な違いはあり、例えば先進国では環境保護、BOPでは経済/教育/医療、といったものであろう。

2009年7月21日火曜日

バングラデシュ研究調査概況 (2009年6月28日) bracNet

BRAC BDMail Network Ltd.

BRAC Centerと道路を挟んで向かい側にBRAC BDMailことbracNetの本社がある。
Chairman, CEO, Head of e-hutの3名の方にインタビューする機会を得た。
また日中、e-hutを訪問した。

[企業・事業概要]
同社はBRACとgnetという投資会社の合弁企業である。gnetというのは投資組合の名前で日本の原丈人氏によるVC、Defta Partnersも出資・参画している。
bracNetはISPであり、バングラデシュのデジタルデバイド解消をミッションとしている。遠隔医療や遠隔教育などBRACのプログラムをICTで支えることもその一環である。e-hutと言われるサイバーカフェ事業はフランチャイズ形式で運営されており、bracNetは必要な機器や技術サポートを提供している。

[e-hut]
いわゆるサイバーカフェ、ネットカフェである。
利用者は学生など若い人に多い。店内では基本的なPC操作などのレクチャーサービスなどもある。
たまたま今回日本の中古車(ダッカを走る車の9割は日本の中古車で、そのほとんどがTOYOTA)輸入を仕事としてやっている人がいて、ネットでその情報収集をしていた。


[所感]
通信事業は技術と政府の政策に左右されるところが大きく、その2点のコントロールが非常に大切であると感じた。技術については外資とのパートナーが必要になるし、政府との付き合いはライセンスや税制など様々なところで事業と関係してくる。必要投資額、リスクともに大きい分野であり、かつ競合がひしめく市場競争に直面していることも事実ではあるが、BRACの他の事業との潜在的シナジーはきわめて高く、BRACの中にあることの意味を最大限に活用することが重要であろう。

バングラデシュからインドへの出国者のうち、毎年25000人が帰国せず

25,000 Bangladesh visitors don't return home, says Indian envoy

20 Jul 2009, 2240 hrs IST, IANS

バングラデシュ商工会議所がインドへの織物輸出に対する関税の撤廃を希望

Bangladesh wants taxes on garment exports to India go

http://www.thehindubusinessline.com/blnus/14201412.htm

インド前大統領がグラミン式のマイクロファイナンス導入を希望

第11代インド大統領だったカラーム博士がバングラデシュを訪問、ユヌス博士との会談の中で、農村部におけるグラミン型のマイクロクレジットプログラム導入の希望を表明。

Kalam wants India to adopt Bangladesh's Grameen Bank model

Dhaka (IANS):

http://www.hindu.com/thehindu/holnus/002200907201040.htm

バングラデシュ研究調査概況 (2009年6月28日) BRAC Center


昼食後首都ダッカの市内にあるBRAC Centerを訪問した。
22階のビルは入館のセキュリティもしっかりしており、政府機関さながらであった。


訪問先:BRAC Chairperson's Office
Corporate communicationsをやっている部署のかたにお話を伺った。
[業務内容]
我々のような訪問者の対応、インターンシップ(年間120-150人も受け入れてる!)・ボランティアの対応、Annual reportなどの作成がメインとなる。
政府に対する政策面での働きかけや啓蒙活動はadvocacy unitという別の部署で担当している。
企業の様にブランディングポリシーを作成し、メッセージの一貫性を保つことに現在は注力している。

[他NGOとの協業について]
Microfinanceの業務レベル:同じ借り手に2重に貸し付けないような合意を結んでいる
小さいNGOとのcollaboration:BRACのモデルをコピーさせてそれぞれの地域での展開などを支援している

[Social Enterpriseの役割]
1.Improve Outputs
市場へのアクセスのない生産者に対し、売る場を提供する:Aarongという小売企業は地方で生産された絹製品(衣料)を販売している。地方では売れる場所、相手も限られているがBRACが間に入ることにより生産者は今までよりも良い条件で販売することが出来る様になる。フェアトレードと同様のコンセプト
2.Improve Inputs
BRAC Dairyというsocial enterpriseは乳製品のメーカーだが酪農家から原料となる牛乳などを買い取っている。その品質と生産性を高めるために酪農家に対して様々なアドバイスや技術支援をしている。
3.Provide employment
事業を始めて拡大していくことにより雇用を拡大し、現地の発展に寄与する

当然上記に加えてfinancial sustainabilityが求められる。

[BRACで働く意義]
給与はGrameen BankやGrameen Phoneのような営利企業、欧米のNGOに比べると低いとのこと。
ただし成長する組織でそこに参加することの価値、BRACで得られるネットワークには給与以上の価値があるという考え方が特に若い人材に多い。良家の子女として西欧諸国で教育を受け、バングラデシュに戻ってくる人材が幹部には多い印象を受ける。

2009年7月20日月曜日

2011年までにインド--バングラデシュ間の貿易は2倍に

India-Bangladesh trade can double by 2011: FICCI

New Delhi (IANS):

http://www.hindu.com/thehindu/holnus/001200907191223.htm


2010年6月期のバングラデシュ経済成長率は6%

Bangladesh central bank sees growth at six percent

日本の大学生が企画運営するグラミン・チェンジメーカーズ・プログラム

 (グラミン銀行が展開する)「ITを用いて農村と世界をつなげるプロジェクト"One Village One Portal"(OVOP)」プロジェクト。
 「OVOPとは、今まで情報の受け手であった農村の人たちがインターネットを通じて自ら農村の情報・ニーズを発信」「村ごとのポータルページを作成し」「村民がそのページを通じて、自ら自分たちの村の統計情報やニーズを政府に、企業に、NGOに、世界に発信」、「これにより双方向のコミュニケーションの中で」「ニーズに基づいた健全な農村発展に寄与することがこのOVOPの主なねらい」。
 「私たちは、このサイトの構築のため、基本的コンテンツである統計情報調査と村人たちのニーズの声『ウィッシュ・リスト』の制作、そして村人自身の情報発信が可能となるためのトレーニング指導を行っています。」「バングラデシュ人に比べ、日本人が現地調査に行くことで村人たちは大変歓迎し、快く調査を受け入れます。これによりプログラムの導入もスムーズとなり、かつ調査の効率も格段に上がります。このようなメリットもあってOVOPではグラミン銀行スタッフが全体サイト構築、私たち日本人が情報収集・コンテンツ制作を行っています。」

http://www.gcm-p.com/

コメント:グラミンのインターンシップ生である日本の大学生が企画運営する研修プログラム。グラミン銀行が推進するOne Village One Portal Projectに協力する形でバングラデシュ農村の実態調査を行うというもの。参加者自身の学びは大変に大きいことだろう。受益者の立場に立てば、継続性とスケーラビリティをいかに担保していくかが鍵となるだろう。

2009年7月18日土曜日

小学校への昼食支援による飢餓の解消 (バングラデシュ)

<記事概要>
●国連の世界食料プログラム(バングラデシュ支部)は、60万人の学童に昼食サービス(ビスケット)を提供している。
●その結果、学童の就学率は14.2%向上、退学率を7.5%減少、出席率や学業成績の向上に成功した。
●支援を必要とする学童総数は2000万人。今後はバングラデシュ政府と共にプログラムの拡大を企図しているが、支援の原資は「寄付」に頼らざるを得ない。
●22ドルの寄付で、一人の学童に1年間昼食を提供できます。ぜひ寄付に協力を。


<記事から示唆されること>
支援プログラムのカバレッジは現状3%。果たして寄付だけに依存してこれを100%にできるか。ここに収益モデルをベースとした事業機会があるように思われる。ビスケットの原材料調達、生産、流通、販売までをカバーする営利事業モデルはどのようなものであろうか。

2009年7月14日火曜日

携帯電話による「精霊詐欺」

自らを「精霊の王」と語り、金銭の支払いを要求、さもなくば家族に不幸が起こるなどといって脅す「精霊詐欺」が、バングラデシュ北部で広がっている模様。バングラデシュ版のオレオレ詐欺のようです。

バングラデシュ研究調査概況 (2009年6月28日)

成田からクアラルンプールを経由して深夜2時過ぎにバングラデシュに降り立った。
時間が時間なだけに空港は静かだったが早速今回訪問予定のGrameenPhoneの広告
が我々を出迎えてくれた。他にもBanglaLinkやAKTELなどバングラデシュの
携帯キャリアの広告が目についた。

Immigrationは問題なく通過し、深夜にもかかわらず両替も出来た。
$100で6850TAKA、あとで聞いた話だが市内の銀行の方が若干レートは良いらしい。

空港から一歩外に足を踏み出すと眼鏡をかけている人はその眼鏡が
曇るほどのものすごい湿気にまず驚いた。日本よりもじめじめしてムシ暑い。

出発前からアレンジを色々とお願いしていた現地の旅行会社(Bengal Tours)さんに車でホテルまで連れて行ってもらった。
我々の滞在するエリアは大使館などが密集した高級住宅街で、ホテルも全室エアコン、ブロードバンド付きであった。

翌朝は7:30出発ということもあり、ネットがつながることを確認して早々に床についた。

バングラデシュ研究調査概況 (2009年6月28日) BRAC activities

6月29日
初日はバングラデシュ最大のNGOであるBRACへの訪問。

マイクロファイナンス
ホテルを7時半に出発しダッカ郊外にあるDHAMARAIという地区の集落を訪問しマイクロファイナンスの現地ミーティングを見学させて頂いた。

ミーティングは毎週朝に行われており、BRACの地域担当職員と借り手である地域の女性達が集まる。
全部で20−30名くらいの人数が集まっていた。グループをいくつかまとめた地域ミーティングのようなものだった。(バングラデシュでは今年の6月から初めてサマータイムが実施されているが、そのことをまだ知らなかった人も何人かいて遅れて参加してくる人もいた。)

皆ピンク色のノートを持っており、その中に借入状況などが記録されているようだった。
集会には借り手にくわえてHealth Volunteerも参加しており、彼女から必要な薬を買うことが出来る。
ミーティングが始まるとまず全員立ち上がり誓いを述べる。
このグループの会計係の女性がBRACの職員と集金がきちんとされているかどうかを確認している間に、借り手の皆さんがどのような仕事をしているかを聞かせてもらった。
多くは自身で事業を行っているか、夫の仕事を手伝っているかでマイクロファイナンスで借りたお金もそれらの事業のために使われていることが多かった。
ある人は土地を買ってそれを人に貸していたり、小さな食堂をやっていたり、小売店を営んでいたり、魚の養殖をしたり、それぞれが小さなビジネスのオーナーであるようだった。ある人は11月に行われるお祭りの生け贄として取引される牛を4000Tk(TAKA)で買い、それを1年かけて育てて2万Tkで売ったといった話をしてくれた。

メンバーの多くはマイクロファイナンスを始めてからすでに10年以上が経っている人々で生活水準はとても良くなったと話してくれた。具体的には住んでいる家がゴザのようなもので作られた粗末なものから、ちゃんとしたレンガで造られた屋根のある家に住める様になったとのことだった。

ヘルスセンター
次に訪問したのは村の診療所のようなところで、BRACのClinicと呼ばれていた。
女医の方が地元の妊婦さんの診察をしており、外で診療を待つ女性たちは集まってなにやら話をしていたが、普段の生活の悩みなどをお互い相談しているとのことだった。

BRAC school
バングラデシュには公立の学校ももちろんあるが、そこに通っている子供は学校に通う子供の半分程度、もう半分はBRACの学校に通っているというほど大きな存在となっているのがこのBRAC Schoolである。
公立の学校が教科書や制服を買わなければ行けないのに対し、BRAC Schoolは私服で、教科書も使い回しているためにお金はいっさいかからない。学校にお金をかけられない人々のために作られた学校である。小学校4-5年生くらいの子供たちが20人〜30人ほど一つの建物の中で輪になって読み書きだけでなく、世界の地理や算数、踊りなどを学んでいた。

2009年7月13日月曜日

バングラデシュ研究調査概況 (2009年7月2日)

訪問先: Grameen Danone
Bograという町(首都Dhakaから約200kmの距離)に、Grameen Danoneの工場がある。ここでは周囲の農家から購入した牛乳を用い、栄養不足に陥りがちな農村の子供向けの、栄養素を豊富に含むヨーグルトを製造している。

事業内容、状況:
現在は周囲の農家と直接契約し、原材料である牛乳を購入している。購入価格は市場価格のように変動させることなく高めに設定し、かつ必ず全量購入する事にしている。従って農家にとっては収入が増加/安定するというメリットを提供している。
製造されたヨーグルトは工場から3輪トラックで周囲の農村に運ばれ、そこでDanone ladyがピックアップし各家庭に販売している(Danone lady 1人当たり、平均で1日約100カップ販売している)
なお、以前はGrameen Livestockや他事業者から牛乳を購入していたが、貯蔵タンクが工場から離れていた事や、直接農家から買い取る方が農家にとって良い条件に改善出来る事から、現在の直接契約という形に変えた。

また、工場には以下のような環境に配慮した設備を導入している。
  • 雨水を溜めて再利用
  • 太陽熱でお湯を沸かす
  • 排水を微生物で分解させる(環境に負荷をかけなけ)。その際出てくるバイオガスを貯蔵し利用する。
なお、2006年の工場立ち上げ時は、設計から実際の運用までをわずか3か月で実現した。
当時はDanoneの社員が多くいたが、現在は全てGrameen Danoneの社員(全部で30名、一部はDanoneから移籍)。

バングラデシュでは米が主食であり、ヨーグルトの価値を消費者に理解してもらう事は大変だった。
コミュニティー内で教育活動を行うなど、徐々に理解を広げてもらい、市場を拡大した。


資本金:
Grameen Shakti, Grameen Kalyan等Grameenグループの企業から50%, Danone(フランス) 50%


所感
農家から直接原材料の牛乳を購入(全量買い取り、価格は安定)、栄養失調に陥りがちな子供向け健康ヨーグルトを提供、販路にはDanone Ladyを活用するという仕組みにより、社会的価値の向上に寄与している。多国籍企業の知識やノウハウを活用した社会的価値の増大を実現させている好事例と言える。
今後、工場をバングラデシュ国内に展開したいと考えているようだが、その為には単に工場を建てるだけではなく、牛乳の供給源や販売先である農村の消費者を
徐々に開拓しながら時間をかけて展開していく必要があろう。

政治的安定はまだ先か

昨年12月の総選挙以来、安定するかに見えた政情だが、与野党(Sheikh Hasina首相率いるAwami League と、ライバル政党のBegum Khaleda Zia党首率いるBangladesh Nationalist Party:BNP)の敵対関係に改善の兆しはない。経済発展のためのプロジェクトや外資の誘因に不可欠な前提となる政情安定は、いまだ果たされていない、という記事。

"Peaceful relations between the two major political parties are a must to implement economic projects as well as to attract both local and foreign investments," said Mahabub Hossain, executive director of BRAC, Bangladesh's biggest NGO specialising in micro-financing.


バングラデシュ研究調査概況 (2009年7月1日 - 2)

訪問先: GrameenPhone
GrameenPhone(以下GP)は、バングラデシュ最大の携帯電話会社。営利企業。

事業内容、状況:
GPの設立当時の状況については、文献「グラミンフォンという奇跡」を参照。
現在バングラデシュ国内の携帯電話利用者は46Mユーザー(普及率は30%)、そのうちGPのユーザーは半分近い21Mユーザー。

成功の理由は、最も早く携帯電話のネットワークを展開し、Village Phoneという仕組みを利用し(Grameen Telecomと協力して)普及させた事、その後は通話料金を十分安くした事と携帯電話自体の価格が下がった事だと考える。また、例えば農村では農作物の市場価格を把握する事が出来るようになり、中間業者を飛ばして直接市場で販売する等、利用者にとって経済的な便益があった事も理由だろう。

既に都市部の普及は頭打ちで、今後普及を伸ばすには農村部のユーザーを増やす必要がある。
但し、農村部のユーザーは価格を非常に気にするので、今後価格を下げる必要がある。その為現在SIM TAXを無くす等の提案を政府に行っており、さらに携帯電話の価格も下げられるよう努力している。なお、通話料金自体は既に十分安くなっていると考えている。
(補足: 現在バングラデシュでは携帯電話のSIMカードを購入する際に税金を支払う必要がある。税金は900タカ、約US$14)

なお、ボードメンバーは5人。その内訳は、Grameen Telecomから2名、Telenorから3名。
またCEOもTelenorから送られており、基本的に会社の内部はTelenorの会社、という感覚。


資本金:
Telenor 62%, Grameen Telecom 38%
Telenorはノルウェーの携帯電話会社。


所感
GPの成功理由はインタビューでも聞いたように最も早く携帯電話のネットワークを整備し、さらにVillage Phoneという仕組みを用い利用者にとって4As (Affordability, Availability, Accessibility, Awareness)を提供出来た事が大きいと考えられる。
また、内部はGrameenという感じではなくTelenorの子会社という雰囲気で、かつ内部のマネジメントもTelenorのやり方が用いられているという事であった。Telenorの提供した通信に関する技術や、通信事業を遂行する為の内部の仕組み等、Telenorの果たした役割も大きいと感じた。

バングラデシュ研究調査概況 (2009年7月1日 - 1)

訪問先1: Grameen Telecom
Grameen TelecomはGrameenPhoneの回線を利用しVillage PhoneをGrameen Bankのマイクロファイナンス利用者に提供する等の事業を行っている非営利企業。

事業内容:
Grameen Telecom(以下 GTC)が現在行っている事業は下記。
• Village Phone, 対象はGrameen Bank(以下GB)でMicro finance(以下MF)を使用しているメンバー
• Nokia端末販売
• Nokia care center
設立時は1つ目のVillage Phoneが主な事業だったが、その後競争が激化し、通話料金が下がった為、Village Phone (以下VP)を利用しなくても自分で携帯電話を保有する人が増え、またVPの通話料金も下げたとの事。
現在農村でVPを提供しているMF利用者は、1台の携帯電話では売上が少ない為複数の携帯電話を保有しVPのサービスを提供しているケースが多い。なお、ここ6~7か月間、VPの普及は頭打ちになってきた。

また、現在CIC(Community Information Center)の試行中。CICとは農村に開設したパソコンでのインターネットアクセス、スキャナーやプリンタ等のサービスを提供するセンター。CICはVPと同様にGBのMF利用者が自分で開設し事業を行っている。なお、インターネットへのアクセスはGrameen Phoneの回線(GSM, EDGE)を利用している。

資本金について:
GBとの資本関係はない(バングラデシュの法律により、GBは出資出来ない)。
GTCには同じGrameenグループである、Grameen Kalyan等が出資している。
なお、GTCも同じくグループ内の企業に出資を行っている(GrameenPhone等)。


訪問先2: Nokia Care Center
Grameen Telecomが行っているNokia携帯電話のカスタマーサポートセンター。

事業内容:
国内で最大シェアを持つNokia携帯電話のカスタマーサポートセンター。
携帯電話の修理やNokiaの提供するOVIサービス(メール、音楽、地図、ゲーム等を提供)のメールアドレス設定等のサービスを提供している。

センターの中は、日本の携帯電話会社のショップと良く似た雰囲気であった。


所感
VPの普及が伸び悩んでいるのは、市場の携帯電話の価格、通話料金が安くなったという事実を踏まえると自然の流れと言える。利用者にとってのAffordabilityを提供する方法が、携帯電話市場の導入にはVPという仕組みであり、現在(成長期)では携帯電話や通話料金そのものの安さで提供されているという事であろう。どういう形で実現されているにせよ、BOPではAffordabilityが重要である事に変わりはない。
現在、バングラデシュ国内の電話普及率は約30%である。まだ所有していない70%の人々に携帯電話届ける為にも、このAffordabilityは重要であろう。

ユネスコの高等教育に関する会議

100カ国1200人以上の代表団が出席した「高等教育に関する会議」。パネリストとして招待されたBRACユニバーシティの教授は出席しているのに、バングラデシュ政府のユネスコ代表団は一人も出席しなかったという話。高等教育への政府の熱心さに疑問を呈する記事。筆者はそのBRAC大教授。

性への偏見

女性の社会進出、経済力向上も背景に、あってはならない事件が起きている。
バングラデシュでは、男性からの誘いを断ったり、女性であることを理由にした「酸ふりかけ」事件が発生している。酸の被害者保護団体に駆け込む女性。伝統的に男性優位の同国社会における歪みがこうしたところに表れている。
女性中心の経済力向上モデルに対し、グラミンやBRACは男性(夫)の理解を高める努力もしているが、一方でこうした事件も起きている。

2009年7月10日金曜日

『貧困の終焉 2025年までに世界を変える』

著者: Jeffrey Sachs, 経済学者で国際開発の第一人者

 Jeffrey Sachsが自ら経験した事例を数多く盛り込み、南アジア/アフリカを中心とした貧困を撲滅する為にどのような対応が必要かを纏めている。
 Jeffrey Sachsは元々マクロ経済、特に国際金融を研究していたという背景を持ち、これまでボリビア、ポーランド等の国家救済に携わってきた。その為内容は我々が本研究フォーラムで取り組む営利企業の関わり方ではなく、各国の援助を通じて貧困を撲滅する仕組みが中心となっている。
 本文献では、彼が考案した臨床経済学という考え方も紹介されている。これは臨床医学の考えを取り込んだもので、経済は複雑なシステムで成り立つ為に経済を健全に運営するにはシステムが正しく機能していなければならない。また、各国の貧困の原因、地理、気候、病気、インフラ等の状況は個別に異なっている為、適切な援助を行う為にはその国を良く理解し、その国にとって最も適切な対応をとる必要がある、等といった内容である。
 著者が実際に携わった/観察したボリビア、ポーランド、ロシア、中国、インド、アフリカ諸国等の事例も多数記述されている。


 上記の通り援助を柱とした貧困の撲滅方法が中心であるので、本フォーラムで取り組んでいる営利企業の事業活動を通じた貧困の撲滅についての記述はほとんど無いが、貧困の原因が国や地域によって異なる為、適切な対応も国によって異なるという考え方は、援助だけではなく営利企業の活動にも通じる(土着化の考え方) 。