2009年10月29日木曜日

「BOPを変革する情報通信技術 バングラデシュの挑戦」発刊

本フォーラムの研究対象そのものである。 2009年9月20日発刊


<アマゾンの書評から>

内容紹介

電気が通じていない農村で携帯電話を使う村人、電話線が整備されていない町で運営されるインターネットカフェ。開発途上国において、情報通信技術(ICT)が農村部でも人々の身近に存在する 風景は、ありふれたものになろうとしている。 本書の舞台であるバングラデシュをはじめとする開発途上国ではBOP(Base of the Pyramid:貧困層が人口の多くの割合を占める。世界で40億人以上といわれるBOPを巨大なマーケットとして再定義し、持続的なビジネスを通して貧困削減に取り組む戦略が注目を集めている。BOPマーケットでは、社会的利益を最優先させ、BOPの人々が自ら取り組む「ソーシャル・ビジネス」が重要であり、そこにICTは不可欠なツール となっている。ICTを活用することで人々は適切な情報を入手し、またコミュニケーションは人々の連帯を実現する。その結果、自らの能力に自信を持ち、単なる巨大マーケットの消費者ではなく新たな富を創造する生産者ともなりうる。 本書は九州大学とグラミン・コミュニケーションズの共同研究の成果に基づき、バングラデシュにおいてICTが導く社会経済の変革について具体的事例を綴ることで、そこに暮らすBOPの人々の姿を 明らかにする。

レビュー

2009/09/28 西日本新聞朝刊

■「日本の技術で母国発展を」 電子通帳発案者のアハメッド九大准教授 九州大学がバングラデシュで普及を目指すICカード式電子通帳の実証試験が、11月から首都ダッカで始まる。同国のグラミン銀行グループとの提携事業。発 案者は、同大学で情報技術の研究に携わるバングラデシュ人のアシル・アハメッドさん(39)。「日本で学んだ成果を生かし母国を豊かにしたい」と福岡、 ダッカを飛び回っている。 アハメッドさんは1988年、コンピューター技術を学ぶため来日。大分高専や東北大学、通信会社などを経て、2年前から九大で開発途上国の社会情報基盤構築の研究開発に取り組み、現在はシステム情報科学研究院特任准教授を務める。 電子通帳の事業は、同銀行が貧困層の自立支援のため無担保・低利で行う少額融資制度と連携。入出金管理に九大独自のICカードを利用し、効率化や不正防止 に役立てる。同銀行傘下のグラミン・コミュニケーションズの一員でもあるアハメッドさんが、九大伊都キャンパス(福岡市)で実用化された電子マネー機能付 きの学生証をヒントに考えた。同銀行総裁のムハマド・ユヌス氏も、取り組みを高く評価しているという。 母国は最貧国の一つに数えられる。 学生時代から支援に熱心なアハメッドさんは、自分の奨学金の一部を幼少期を過ごしたエクラシュプール村に送り、子どもたちの教育を支えた。情報格差を埋め ようと奨学金を元手に日本人の知人と基金を設け、同村の小学校など16カ所で新聞を購読させた。その輪が約250カ所に広がり、半数が自費購入する現状を 「人々が情報に関心を持つようになった」と喜ぶ。 20日にはアハメッドさんらの編著で、九大の取り組みを紹介する BOPを変革する情報通信技術-バングラデシュの挑戦」(集広舎、1890)を出版した。「情報技術は途上国の暮らしを豊かにする」。そう確信し、アハメッドさんは母国での実証試験に臨む。


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