2009年12月8日火曜日

「BOPビジネスとCSRを混同しないために」

藤井俊彦氏が最新のblogで、よく耳にするCSRに関する誤解を正確に修正・解説されています。最近、BOP関連で会話をしている際に、営利企業による社会貢献のための慈善活動(費用持ち出しで直接的には非営利。メーカーの植林活動など)を「ああ、それはCSRですね」といわれることがあります。藤井氏の一連の著作で説明されているように、本来の「CSR(企業の社会責任)」とは企業が本業として営む事業活動のプロセスにおいて、社会的に負の価値を生み出さないオペレーションを遂行することです(藤井2005)。

氏のBlogには、企業の対社会貢献(経済的貢献も当然含む)をMECEで3分類した結果が次のように記されています。(下記3点はBlogより直接引用。矢印と括弧内は本フォーラムで付加。)
  • 事業そのものを通じた貢献→(本フォーラムの検討対象。BOPにおける企業戦略で目指すもの)
  • 事業のやり方を変革することを通じた貢献→(事業プロセスにおける社会責任、CSR、企業の社会的責任)
  • 事業の結果得られた利益を社会に還元することを通じた貢献→(社会貢献活動、慈善活動)

  • 上記の分類は、CSRとBOPが目指すものの混同を避ける意味で、有益な分類と考えます。本フォーラムの10月21日のエントリーでも、下記のように述べていますが、根本的に藤井氏の主旨と合致します。
    4)BOPにおける企業活動と企業の社会責任
     BOPにおける企業活動は、まさに存続をかけた「事業」であり、それ以上でも以下でもない。よって欧州発の本来のCSRで求められる「本業の事業プロセスにおける社会責任」(藤井2005)も当然ながら要求される。すなわち、BOPにおいて搾取的賃金の下で労働を強いたり、不当な低価格で原材料を調達したり、環境を破壊する収奪や土地開発を行うことなどは許されない。BOPでの事業を真の意味で成功させるには、その100%の保証とそれを支える信念・指導力が求められる。
     一方で、この「『事業プロセス』において果たすべき社会責任」と、BOPにおける事業活動を選択した企業が「事業目的の一つとして貧困解消を意図するか否か」は、別物である。前者は事業活動の場がBOPであるか否かに関わらず、より普遍的に要請される性質のものであり、後者は個々の企業が主体的に選択する問題であって、すべての企業がおしなべて要請されるタイプのものではない。」(岡田)

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