国際協力の求人・就職・転職・キャリアサポートを行うdevexの日本支社ホームページの「開発ニュース」に、日本の小型風力発電機メーカーゼファー㈱がルビナソフトウエアおよび協同組合企業情報センターとの共同事業として、ベトナムに進出する計画が紹介されている。
■典型的なBOP2.0型包括的ビジネス
記事によると、ベトナム中部のホンラオ島に小型風力発電と太陽光発電を組み合わせた自立型電源を設置(将来は小型水力の組み入れも検討)し、自然に恵まれた同地で漁師が捕獲した海産物を冷凍保管する設備を運営する。これまでは非電化地域であるため冷凍・冷蔵保管ができず、余剰の海産物は廃棄されていた。本事業を通じ、内地はもとより輸出を視野に展開、今後はより高付加価値の海産物加工事業にも乗り出す計画だという。JICAの2011年度FS事業に認定されている(上限 5000万円)
■当該国人材との人間関係の重要性
一つ重要な意味で興味深いのは、今回の共同事業者であるルビナソフトウエアの代表者(ブイ・トラン・ルオン氏)がベトナムからの留学生として東工大博士課程出身という点だ。実は今回の案件は、ホンラオ市長からルオン氏に直接持ち込まれたということだ。
なぜこの情報が重要かというと、途上国への事業進出の場合、現地情報は先進国に比べて圧倒的に不足しがちであるため、当該国出身者と協力関係にあることが極めて有効に作用するからだ。
例えば、これは純粋な企業事例ではないが、九州大へのグラミンクリエイティブラボ設置や、共同研究プロジェクト「開発途上国の社会情報基盤構築」の実現に役割を果たしたのは、同大のアシル・アハメッド特別准教授(バングラデシュ出身)である。
また、筆者が近畿経済産業局のBOPセミナーで講演した際、講演者のお一人だった㈱サニコン(浄化槽事業)の假谷社長(当時)が同様のことをおっしゃっていた。同社は、1997年に国際環境技術協力を目的にベトナムより研修生を受け入れ、ホーチミン工科大学の日本工業技術研究所設立に出資するなどした。それがベトナムとの人脈形成に決定的な役割を果たし、2008年のサニコンベトナム設立につながったという。
国費の研修生や留学生は一流の人材であることが多く、政府や各機関とのつながりも強い。そうした人材をまずは日本で受け入れてみることが、思わぬ大きな機会へつながることもある。何事もリアルオプション的発想で。
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