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2012年11月27日火曜日

ガーナ・タコラディのAudioCraft社


<AudioCraft社 (ガーナ・タコラディ)の紹介>
(2012年8月のフィールド調査から)

 Lemaire社長は元々高校教師(2番目の写真中央)。いわゆる企業家精神に燃える「中小企業の熱血型ものづくりおやじ」である。ガーナの治安悪化でナイジェリアへのがれ、そちらで教職に就くが、その間にナイジェリア―ガーナ間の貿易の有効性に気付いて貿易会社を創業、独立する。しばらくはオーディオラウドスピーカー(屋外用)をナイジェリアからガーナへ輸入していたが、「母国ガーナに豊富にある高品質で安価な木材を使って、スピーカーボックスを内製できるのでは」と思い立ち、Audiocraftを創業。自宅兼工場で月80台程度エンクロージャー(ボックスのみ)を製造しナイジェリアのメーカーへ輸出している。製造ではTakoradi工業高校に設置されたMITのFabLabでの知識が役に立ち、NC制御による加工技術を身につけ、CNC加工機(中国製)の台数を増強中である。今後完成品スピーカーの開発・製造へ向け、スピーカーユニットの内製も視野に入れており、日本のオーディオ機器メーカーとの連携を希望している。ちなみにラウドスピーカーの最大顧客は教会で、讃美歌(ゴスペルと呼んでいいのか??)の吟唱やバンド演奏用だそうだ。

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2012年7月9日月曜日

IBMはタンザニアで、サムスンはナイジェリアで


週刊アフリカビジネス第93号(有料レポート)によると、

●IBM: タンザニアの通信科学技術省と業務提携し、同国における技術活用の促進による経済発展に関し提携を結んだ。IBMのプレスリリースはこちら。

●サムスン電子:ナイジェリアにおけるソフト開発の中心的存在であるCo-Creation Hub (Cchub) に対し、様々な支援を行う旨のMOUを締結。


ちなみに上記Cchubの支援企業(パートナー)は下記の通りで、米国、北欧、アフリカ等多国籍の非営利財団やIT企業が名を連ねる。そこに今回サムスンが加わった。日本のIT企業は?












詳細は週間アフリカビジネス第93号(有料)参照。

2012年5月23日水曜日

ネスレのアフリカ戦略


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(Nestle南アのウェブサイトから)

「徒歩で、自転車で、タクシーで:ネスレはアフリカで事業拡大(By Foot, by Bike, by Taxi, Nestle Expands in Africa)」と題するこの記事(2011年12月1日)は、先進国や新興国中間層以上向けでは当たり前のモダンチャネル(卸しと量販店からなる流通インフラ)が存在しない領域(すなわち包括的市場もしくは低所得層層市場)での同社の取り組みを紹介している。以下、記事の要点。

■アフリカのチャネル:
アフリカでは都市から離れて暮らす人口も多く、道路自体もあったりなかったりする。一般の多国籍大企業が想定するような供給チャネルは存在しないし、物理的・経済的に構築できない。

■ネスレの「どぶ板営業」部隊:
南アのネスレ販売代理店であるデズモンド・マグワンバン氏は、手持ち金はタクシー代のみ、携帯2台、それに注文票の束を持って営業活動をしている。ヨハネスブルグでも最も治安の悪い地区である。「ここは私の金鉱だ」と同氏。他の通常の営業マンは首都の巨大スーパーの棚をネスレ製品で埋めるべく活動しているが、マグワンバン氏以下80人の営業スタッフは、南ア全土の極小店舗をターゲットにしている。それらの店舗では多くの場合小分けしたネスレ製品(ベビーフード、クリームパウダーなど)が売られている。こうした営業活動により、低所得層でのネスレ製品の認知度と人気は確実に高まっている。

■アフリカ市場の成長性:
ネスレがここまでの努力をするのにはわけがある。市場の成長性である。アフリカ開発銀行によれば、現在のアフリカ大陸人口の61%はいまだ一日当たり2ドル以下で生活する「貧困」状態にあるが、2060年までに、アフリカの中間層(一日当たり所得が4-20ドル、年間1000-5000ドル)は11億人に達し、アフリカ大陸人口の42%を占めると推定される。またIMFの推定によればサブサハラ地域の経済成長は2011年が5.25%、2012年には5.75%と予測され、これは地球全体の年平均成長率4%を上回る。

■他有力企業もアフリカにコミット:
ネスレだけではない。有力食品メーカーは一斉にアフリカ強化に向け動きを速めている。クラフトフーズは、バン部隊を仕立てて、南アの各地方の町の路上小店舗に直接供給するネットワークを構築中である。サムソン電子は太陽光発電で充電される電話を電力供給のままならないケニアやナイジェリアの地域に導入済みだ。コカコーラは小規模店舗への供給のため、アフリカ15か国3200の流通拠点を活用しているという。

■ネスレのアフリカ事業規模:
ネスレは新興国市場(含む包括的市場)からの売上比率が現在の30%から、2020年までには45%に達すると予測している。同社のアフリカでの売上高は、2010年に6.4%増大して33億スイスフラン(約36億ドル、約2,880億円)に達した。一方同期間に同社の世界市場全体の売上成長率は2%だった。世界総売上高(930億CHF)に占めるアフリカの割合は3.5%。

■ネスレのアフリカ投資:
過去5年間$850Mを投資し、現地製造、流通網の拡張、現地顧客の好みに合った味の開発を進めてきた。ヨハネスブルグの「どぶ板営業」部隊では、小規模店舗への売上が2011年6月から8月までの2ヶ月で20%増えた。また2011年の1-8月で、南アの小規模店舗でネスレ製品を売る店舗数は2倍に増え、ほぼ4500店に達した。ネスレの南ア販売責任者は現状をして「今の我々は計画の半分に達したところ」と言っている。

■ネスレ製品の販売営業の実態:
どぶ板営業で価格交渉は日常的である。商店主のバルア氏によれば、「ネスレの製品は品質も良いが値段も高い。チコリの根の飲料Ricoffyなどは、値段を下げるとあっという間に売れる」という。他のナイジェリア人の商店主は、ネスレ製品専用の棚を設けている。マグワンバン氏との交渉を通じ、この商店主は$450の注文に対して$30の値引きを獲得した。マグワンバン氏は売上の1%をコミッションとしてネスレから受け取るが、こうした値引きによって「より大きな金額の注文が定期的に取れるよう期待している」と語った。

■製品配送の実態:
こうした小口販売の配送は、そのほとんどが自転車によってなされ、これはネスレのアフリカ全土の配送の30-40%を占めるという。

■アフリカ・インドにおけるネスレの逆境:
ネスレの新興国事業も平坦ではない。ジンバブエのミルク事業では、事業の最低51%を自国の黒人が所有することを求める法律と取り組まねばならず、インドではボトル入り飲料水で競争に敗北し、撤退を余儀なくされた。そして70年代80年代、同社は有名な途上国市場での粉ミルク問題で不買運動を喫する。この経験から、同社は1981年、WHO(世界保健機関)による母乳代替製品の販売に関する規則を世界で初めて採択した企業となった。

■現地店舗の成長:
4年前、ヨハネスブルグのンジョマネ・ドリンクは掘立小屋だった。消費の伸びとともに、同店はマグワンバン氏からベビーフードを月$400仕入れるようになった。その店舗はいまや二部屋のコンクリート製ビルディングになった。

<解釈>
この記事を読むと、なぜ味の素が経営者のトップダウンでアフリカ市場に対してコミットしているかがわかる。サブサハラ・アフリカも、すでに世界企業の主戦場になってきており、そこに早期にコミットしないと、今後の世界市場における競争で不利になるとわかっているからだ。

2012年5月22日火曜日

NHK視点・論点「アフリカとBOPビジネス」と追加情報

5月21日放送。JICAアフリカ部次長 松下篤氏。
詳細にメモを取って視聴したので、以下、追加情報(矢印以下)を付加しつつ要点をまとめておく。

■BOPビジネスとは

1)現地の状況やニーズに合わせた商品を購買力に見合った低価格で提供することにより、消費者としてのBOP層の生活の質向上に貢献するもの⇒BOP1.0 (消費市場としてのBOP)
2)BOP層が生産・流通等に関わる事業者としてビジネスに関わることにより、雇用や所得が創造され、人々の社会的な機会と力(エンパワーメント)を生み出す⇒BOP2.0(事業パートナーとしてのBOP)
3)企業にとっての技術革新や事業拡大の機会。⇒リバース・エンジニアリング、市場創造
4)上記1)~3)の性質を複合的に有するBOPビジネスは、従来の社会貢献活動とは異なる。

■アフリカのBOP層:5億人


■アフリカの経済成長とその要因

実質5%超の年平均経済成長率を記録。この背景には、
1)内発的環境変化(政治経済の適切な運営に向けたアフリカ諸国・人々の行動変化):紛争解決や経済運営に関する政府機能(ガバナンス)の改善、および経済の周縁から中央への参画を希求する人々の意識変化(これにより初等・高等教育での就学率も向上)
2)外発的環境変化:天然資源や輸出農作物の価格上昇、中国・ブラジル等新興国によるFDIの増加(市場としての潜在性・魅力に誘引され)、および情報通信サービスの急速な発展(⇒人々の情報アクセス力の向上⇒内発的意識変化へリンク)

■従来のアフリカにおけるビジネス

 多国籍企業による資本投下で成立し、アフリカ発の製品が先進国の中間・富裕層向けに出荷されるか、アフリカのごく少数の富裕層向けに販売されるパターン。BOP層は市場の外部の存在。ビジネスには参画できなかった。

■アフリカにおけるBOPビジネス

 大企業のみならず、中小企業が主体となって、BOP層を取り込んだビジネススキームが登場。

■日本企業の事例:ウガンダのブッシ(Bussi)島ジャリ(Jali)村
ドライフルーツビジネス。村民300名の年間所得は$110(ウガンダ全体の平均年間所得$500)。子供の多くは栄養失調で、平均寿命は40歳強。現地のオーガニックドライフルーツプロジェクトと日本の中小企業のコラボレーション

⇒Jali Organic Associationと日本の㈱FAR EAST。Jali Organicは、ジャリ村のフルーツ資源を活用して経済発展を目指した同島出身のMuwanga兄弟が1995年に設立。これまで仲介業者に買いたたかれていた現地のフルーツを5-7倍の値段で買い取り、ドライフルーツへの加工を開始。FAR EAST社長佐々木敏行氏が見本市でBE ORGANIC社を仲介に商品を発見し、日本市場への導入を開始。経緯はジェトロのウェブサイト・同報告書
に詳しい。フェアトレードの一種。JETROの開発輸入企画の一つ。JETROによる開発輸入企画への支援は1件500万円。
⇒このJali Organicが、ジャリ村の生活向上を超えて、どこまで拡張性がある事業なのか、その意図も含めて一度調べてみる必要があるだろう。



2010年12月13日月曜日

東南アジア3カ国でのフィールドサーベイ

日本能率協会の協力を得て、11月末から12月第1週にかけ、ベトナム、カンボジア、インドネシアの3カ国でBOP(包括的)市場における事業機会調査を行った。訪問調査を行ったのは以下の団体・企業・場所。

<ベトナム(Hochiminh Cityおよび近郊)>
1.Rohto-Mentholatum (Vietnam) Co.,Ltd (ロート-メンソレータム・ベトナム社)
2.Panasonic AVC Networks Vietnum Co., Ltd. (パナソニックAVCネットワークス ベトナム株式会社)

<カンボジア(Phnom Penhおよび近郊)>
3.Sahakreas Cedac Ltd. (通称SKS Cedac。サハクリア・セダック株式会社、CEDAC(注参照)が支援する事業の作物・商品の小売事業)
4.CEDAC設立の米焼酎製造所
5.CEDACの事業農場(野菜の栽培・SKS Cedacへの卸売)

(注)CEDACとはNGOで、カンボジア農業開発研修センター

<インドネシア(Jakartaおよび近郊)>
6.P.T. Yakult Indonesia Persada (インドネシアヤクルト 製造工場および営業所でのヤクルトレディ昼礼)
7.UNDP Indonesia インタビュー
8.Yayasan Kusuma Buana (YKB) (医療NGO)
9.低所得層家庭訪問


2010年11月3日水曜日

ゴドレジ財閥がチョットクールの配送網に郵便局を活用

先のエントリーで紹介した、インドのゴドレジ社製BOP向け冷蔵庫「チョットクール」だが、日経新聞2010年11月1日夕刊によれば、この6400円の冷蔵庫の配送網として、同国でユニバーサルサービスを実現している郵便局の配達網が活用されることになったそうだ。インド西部のマハラシュトラ州(Maharashtra)の郵便局と正式に提携。局員(約63,000名)が注文を受け、配達し、集金を請け負う(集配人8,600名)という。受注1件ごとの手数料として郵便局側は275ルピー(約500円)を受け取るとのこと。

2010年9月7日火曜日

経産省 METI(経済産業)ジャーナル


同誌本年9-10月号16-17ページに、日立ハイテク、ヤマハ発動機、日本ポリグルの事例が紹介されている。18-19ページには、新たにBOPでの事業へ参画しようとする日本企業に対し、どのような支援策が用意されているか、をワンストップショップで提供することが提案されている。今後「BOPビジネス推進プラットフォーム(仮称)」はどのように立ち上がり進化していくのか、関心を持っていきたい。

真にユーザーの便益を考えるならば、日本政府および関連機関による支援策だけでなく、世界の様々な機関(国際連合諸機関、世界銀行、アジア開発銀行、他国政府、ソーシャルファンド、各種財団、NGO等)による支援策(ノウハウ、資金、技術などの軸で分類)を網羅的に検索対象とし、一方でBOPに内在する問題を熟知する組織からもアクセスできて、活用可能な企業資源を探索できる、そんな両面の専門性を持ったポータルへと進んでいったら価値あるものとなるだろう。

2010年7月24日土曜日

アフリカ研究調査概況2: D. Light Design社 (ダルエスサラーム・タンザニア)

 最新モデルKiran ($12)。パッケージに印刷されている公称の性能は、日中8時間の充電で、明るさLowで8時間、明るさHighで4時間の点灯が可能。現地で購入した製品により、実用上どの程度使えるのか現在試用中である。同社の最安モデル。他に、より光量が大きく、携帯充電ジャック付属のものなど、4モデルある。携帯の充電に特化した製品も発売直前。同社ホームページ:
http://www.dlightdesign.com/home_global.php

 同社は、二人のスタンフォードMBAが非電化地域の実態を目の当たりにして起業を決意した、社会的ミッションを掲げる営利企業である。そのミッションとは、「非電化地域の人々に電化地域と同等のQOLを実現することであり、その第一歩として、すべてのケロシンランプ(燃料油のランタン)を有毒ガスを出さない、安全で、明るい光に置換すること」にある。
 具体的目標として、同社のソーラーランタンによる照明の下で暮らす人を2015年までに累計5000万人に、2020年までに1億人にすることである。
 当研究室によるタンザニアでのインタビューでは、現地におけるチャネル開拓の3ステージ戦略について詳しく話を伺った。(今秋にはケース教材として慶應ビジネススクールより発行し、新科目"Strategic Management with Social Impact"で使用予定)

下記:今回の研究調査とは無関係の外部公開記事↓

記事1:共同創業者・CEO Sam Goldmanのインタビュー(リンク先Social Innovation Conversationsに音声ファイルあり。聞き手はStanford Center for Social Innovation。内容は、彼のケロシンランタンの下での原体験から起業に至る経緯、同社の基本理念など。)

利益と社会・環境的インパクトの両立について。収益性とインパクトはリンクしている。インパクトのスケールをあげるには、より大きなファンドへのアクセスが可能になるモデルを追求するべきだ、というポジションは印象的。本サイトの視点に非常に近い。「シリコンバレー発のソーシャルベンチャーとして」という自覚。

"Q: How do you balance the tradeoff between profitability and impact?

A: Impact and profitability are linked. The harder thing to get hold of actually is profitability versus time. Even the giant companies when they start up new divisions or go into new markets are usually not profitable for a while. Clearly we have to be profitable and clearly we have to come up with models that do not require us to sacrifice profitability in the name of impact; otherwise we are not going to do our job. The whole notion of creating a for-profit, venture-funded organization rather than an NGO (non-governmental organization) or more social-sector group was that the scale of the problem is measured in billions. If we want to grow to that scale, we have to do it backed by massive amounts of capital that can fund the inventory, fund the growth, and fund the new offices. I do not really see it as too much of a tradeoff, to be honest. We can affect a lot of lives as an NGO, but if we want to affect a billion people’s lives, it has to be done with a different set of models.”


" We hope one day to be the first social enterprise ever to go public." (いつの日か、株式公開を果たす最初の社会企業になれることを望んでいるのです。)というフレーズが強く印象に残る。資本市場へも正対する社会企業の姿。

2010年6月16日水曜日

中国の清華大ビジネススクールにおける「BOP」研究(その2):南京九康の事例

南京九康生物科技发展有限责任公司(Nanjing Jiu Kang Biological Scienceand Technology Development Co., Ltd)

南京州政府保有のVCが70%、蘇州九康30%出資。いわゆるGOCO(government-owned, company-operated)形式の事業。ニームの木の果実から、バイオ殺虫剤、バイオディーゼル、有機肥料の製造販売を行っている。同社は農家にニームの種子と土地選定力、栽培技術を提供し、農家がニームの木を栽培、同社が新しい化学合成の技術で天然素材の殺虫剤を製造・販売する。40-100名の農家の老人・女性が新たに雇用され、トータルで約1000万円程度の年収増をもたらしているという。

2010年6月4日金曜日

「BOP」向け冷蔵庫「チョットクール」(インド、冷蔵庫版『ナノ』?)

【写真】

インドのゴドレジ・ボイス社(Godrej & Boyce Mfg. Co. Ltd)が開発。チョットはヒンズー語で「少し」の意味。約6,400円(3,490~3,790ルピー)。容量43リットルの半導体ベースの小型冷蔵庫で、コンプレッサーも冷媒も利用していない。12ボルトの直流電圧で機能し、バッテリーでもインバーターでも、太陽エネルギーでも機能する。庫内を5-15℃に保つ。大ぶりのクーラーボックスといった体裁。販売には農村部の女性たちを活用し、販売手数料収入をもたらすモデル。(その後郵便局と提携)

JICAが支援している。JICAの記事の中で、ゴドレジ社副社長が破壊的イノベーションの概念などを織り交ぜながら、本ビジネスを通じて生まれた「BOP層への3Lビジョン」と、包括的(inclusive)成長に向けた現地密着の「システム・ダイナミクス・モデル」(事業開発プロセス)を披露している。

【画像】

2010年10月からの正式販売を報じるニュース(リンクダウンしてます):
NHKのBizスポでも6月2日に放映された。
「チョットクール:ゴドレジ社の『ナノ』」

Fighting Poverty in Africa: Doing Business in Ghana

ガーナ:ビジネスによる貧困解消

Youtubeへのダイレクトリンク

2010年5月10日月曜日

アフリカの「チーター世代」

本日のNHKクローズアップ現代はその特集だった。ガーナの経済学者George B.N. Ayittey の著作:“Africa Unchained: The Blueprint for Africa's Future” (2004)で、「欧米で教育を受け母国へ帰ったアフリカ人若年世代」を著者がこう称した。

今夜の番組で紹介されていた事例の一つは、ナイジェリアの農業だった。自国生産の果物が大量に生産されているにもかかわらず、保存の技術・輸送インフラがないために市場に恵まれず、腐敗・廃棄を余儀なくされている。結果、輸入された生鮮品や缶詰などが自国内市場を席巻する。この解消には、果物生産の現地にジャムなどの加工工場を興し、保存可能にして販売する事業が計画されているという。担い手はハーバードビジネススクール出身のナイジェリア人。米国の大手コンサルティング会社で10年勤めた後帰国。30代。

Dr. Ayitteyが2007年のコラムで指摘するように、チーター世代は、"away from the foreign aid model and focused instead on African risk takers, entrepreneurs, and those crafting their own indigenous solutions to Africa’s innumerable problems," つまり、アフリカの諸問題(とくに貧困)を解決するために、外国からの援助や腐敗する自国政府に依存することなく、自らがリスクテイクして母国で事業を興し、経済的成功を通じて利益と雇用の創出を促し、その過程と結果から貧困を解消していく、という発想。

<コメント>
彼らの発想は、まさに市場原理や営利の経済活動を通じて貧困を解消するということであり、本フォーラムの研究する命題そのものでもある。本研究室では6-7月のフィールド調査でタンザニアとナイジェリアに赴く予定をしており、こういった空気にも触れて来たい。

2010年5月3日月曜日

プレゼンスを増す営利のソーラーランタン事業

1. D.light
「社会的ミッションを強く持った営利企業 a for-profit business with a strong social mission」と自らを称する同社は、「社会的企業初の上場」を目指す。
今年3月に新製品Kiranを発表。価格は$10で、世界で最も安く性能のよい(コストパフォーマンス)ソーラーランタンを目指したという。同社は2006年のStanford design competitionに端を発し、スタンフォード大学のMBA2名で創業。2010年に売り上げ累計台数が「数10万台」に達し、実質100万人の生活に明かりを提供したと発表。2009 SVN Innovation Awardを受賞。
kiran girls.jpg
2008年6月の報道(企業概要、創業以来の経緯)
2008年11月の報道(VCから$5.5MシリーズA調達)
2009年10月の記事($10のKiran発表に際して創業者のコメント)
2010年4月の記事(なぜ営利企業体として社会的価値をめざすのか)
同社への寄付金の受け皿になっているBeyond Solarのホームページ

<コメント>
「投資家(VC)の顔が見える営利事業」という厳格な経済合理性の下で、社会的ミッションの達成を目指すハイブリッド型の営利企業である。本フォーラムの目指す社会価値・経済価値の両立を地で行く企業だ。利益創出の目的を「持続性のみならず、拡張性を確保するため」との説明も理解しやすい。ここでの「拡張性」はむろん事業利益の再投資による有機的事業成長を意味するものだと思うが、拡張性は外部資本の導入力にも左右される。事業(利益)が成長していればこそ、外部投資家にとって魅力が増し、「増資」によるさらなる拡張性の追求も可能になる。「BOP」における事業の成功には、やはり「資金調達スキーム」のデザインが必要不可欠であり、そこで社会的ファンドと純粋なリスクマネーのバランスがどのように決するかは本フォーラムの重要な検討課題の1つである。

「世界の無電化地域16億人に”あかり”を贈る」
営利事業と慈善事業の組み合わせ事例

インド・米国の合弁企業。製品名MIGHTYLIGHT。一つ5役の多機能。スタンフォード大学が母体。

4. Selco India (設立1995年)
ソーラーランタンのみならず、より大型の、事業・個人用ソーラーシステムも製造販売。創設以来10万基を超えるシステムを販売。

2009年10月に既報の通り。

2010年2月17日水曜日

BOPにおける事業を題材としたケース教材

昨今、世界のビジネススクールではBOPにおける事業活動を題材にしたケース教材が作成され、MBAならびにエグゼクティブ教育に活用されている。(MBA教育では、伝統的に企業の具体的事業活動を記述した「ケース」を題材として討論する、「ケースメソッド」という学習法が主に採られている。慶應ビジネススクールもしかり。)

既に手元にあるBOP関連のケース教材をリストアップしておく(下記のケース1~8は、現在慶應ビジネススクールおよび日本ケースセンターで翻訳プロセスに入っている)。他に気がつけば随時挙げることにする。

1. "Deposita- Whether to dominate the value chain or not" Richard Ivey School of Business, The University of Western Ontario, Case#:908M72 (南アフリカ、フィナンシャル・サービス)

2. "Farmacias Similares: Private and public health care for the base of the pyramid in Mexico" Harvard Business School, Case#:9-307-092 (メキシコ、ヘルスケアサービス)

3. "Microsoft's Unlimited Potential (A)" Harvard Business School, Case#: 9-508-072 (世界、ITサービスその他)

4. "ApproTEC Kenya" Harvard Business School, Case#: 9-503-007 (ケニア、適正技術に基づく汲み上げポンプその他)

5. "Cementing the bottom of the pyramid: a new direction at CEMEX?" Darden Business Publishing, University of Virginia, Case #: UV0665 (メキシコ、セメント・住宅用建材)

6. "UNITUS(A): Microfinance 2.0 - Reinventing an industry" Stanford Business School, Case#: SI-87A (BOP、マイクロファイナンス)

7. "BRAC" Harvard Business School, Case #: 9-504-012 (バングラデシュ、NGO)

8. "The BRAC and Aarong Commercial Brands" Harvard Business School, Case#: 9-504-013 (バングラデシュ、NGOによる消費財製造販売)

9. 「グラミンダノンフーズ」 慶應義塾大学ビジネススクール, Case#: 901017343 (バングラデシュ、ヨーグルト製造販売) forthcoming

2009年12月14日月曜日

12月1.2日の日経特集「動き出すBOPビジネス」

標記の特集に登場した日本企業の事例を列挙しておく。

1)住友化学(タンザニア):オリセットネット(殺虫剤を練りこんだ蚊帳)の製造販売。原油高騰などなければ利益が出る状態に。年産2000万枚、今後2000名新規雇用予定。

2)ソニー(インド):小型発電システムの事業化調査

3)パナソニック(ナイジェリア):駐在員事務所の開設

4)味の素(ガーナ):栄養改善食品の事業化調査

5)日本ポリグル(バングラデシュ):浄水用特殊凝集剤

6)三洋電機(ウガンダ):LED式充電ランタン(小型太陽光パネルとのセット)を6000円程度で販売。ウガンダ政府が50%補助、残りは政府系銀行によるマイクロファイナンスを適用。

7)三洋電機(インドネシア):井戸水浄化システム販売


9)ヤマハ発動機(東南アジア):浄水器試験導入

以上のうち、1)、2)、4)、5)、6)(ただしインド)、9)は経産省のBOP事業化費用支援の採択企業のリストに掲載されている。

注)パナソニックは、先に既存のBRICs+ベトナムに続く戦略市場として、MINTs+B(メキシコ、インドネシア、ナイジェリア、トルコ、ブルガリア)を挙げている。これら市場はBOPというよりは、その上のボリュームゾーン戦略の一環ととらえられるので、パナソニックのナイジェリア事務所開設は、必ずしもBOP市場向けの投資ではないのではないか。

2009年12月10日木曜日

WFPプログラムによる女性と子供の栄養不良解消

WFPはバングラデシュで2007-9年の3年間、毎年3万人に対してこのプログラムを実施してきた。
対象は1)妊婦、2)乳幼児を養育中の母親、3)6-24ヶ月の乳幼児、4)12-17歳の女児である。

内容は、栄養強化した「ブレンド食品」を一人当たり7.5㎏/月(子どもは6キロ)供給するとともに、栄養、健康、子育て方法、野菜作りのスキルをトレーニングする。

参加者の一人は、栄養状態の明らかな改善と新たな収入(野菜販売)の糧を得られ、プログラムは大変意味がある、と語った。


<コメント>
国連の活動ではあるが、1)収入源の創出と2)サービス・製品提供を合わせて行うことの重要性が再認識される。ちなみに本活動の対象者に12-17歳の女児が含まれているのは、事実上この年齢で結婚し、妊娠する可能性が高い年代ということなのだろうと思われる。

カーボンオフセットを活用したレンガ製造用キルンの高効率化

デンマーク政府は、バングラデシュのレンガ製造用キルンを高効率型に変えるプロジェクトに$1Mを投資することにより、開催中のCOP15(15000名の参加者が世界から飛来)をカーボンニュートラルにする、と発表した。

このプロジェクトは世界銀行が企画しているもので、現在バングラデシュで利用されているレンガ焼成用のキルン(高く太い煙突型の窯)を中国の技術を利用した高効率型(100トンの石炭が半分で済む)に転換し、エネルギー効率を倍増するもの。問題は製造費用である。従来のキルンは一基$0.15M(約1350万円)だが、新型は10-15倍のコストがかかる。そこで、このプロジェクトをCO2排出削減枠として認定してもらうことにより、その販売益で製造費用を賄おうという試みだ。


<コメント>
本フォーラムでバングラデシュを訪れた際は雨季のため、ほとんどのキルン(通常川沿いにある)は基底部が水没して休憩中であった。レンガは同国で主要建材として重用されており、キルンは全土に数千あるという。
このカーボンオフセットは、BOPにおける事業戦略を練る上で一つのヒントを与えてくれる。

2009年12月9日水曜日

サイクロンで330の学校が破壊された⇒学校から子供たちのところへ出向くモデル

Shidhulai Swanirvar Sangstha(NGO)は、ソーラー発電で電源を確保し、ボートの上に図書館や学校を展開。照明やネット接続を備える。農村部の住民や子供たちへ川からアクセスしてサービス提供している。バングラデシュでは農村部の3割しか電力グリッドへのアクセスがないため、ソーラーで充電したバッテリー駆動の家庭用照明ランプも貸し出している。


ニュースビデオ:


同NGOホームページ:

2009年11月24日火曜日

インパクト・インベスティング

インパクト・インベスティング(impact investing)。日本ではまだあまりなじみのない呼称だが、本フォーラムの主旨を体現する概念である。

2009年1月発表のモニターグループによるレポート"Investing for Social & Environmental Impact: A Design for Catalyzing An Emerging Industry"によれば、「インパクト・インべスティング」とは、「社会的・環境的リターンとともに経済的リターンも生み出す投資」のことであり、「地球規模の問題を解決する方策として、慈善事業や政府の介在を補完する効果的な力となる潜在性を持って」おり、ひとつの投資業態として新たな業界を形成しつつあるとしている。

■インパクト・インベスティングにコミットする組織団体:

Net Impact (founded in 2005)
Its mission is "to inspire, educate, and equip individuals to use the power of business to create a more socially and environmentally sustainable world."

Global Impact Investing Network (founded in 2008. ロックフェラー財団が支援する。この組織を立ち上げるミーティングが2007年にロックフェラー財団主催で開かれ、そこでインパクト・インベスティングという概念・呼称が生まれた。)
"The GIIN works to increase dramatically the level and effectiveness of capital that is supporting market-based solutions to social and environmental problems. Our goal is to help foster a coherent impact investing industry that channels investment capital efficiently to accelerate the development of solutions to pressing social and environmental problems."

■事業の社会的・環境的インパクトを評価するスキーム:

BBCがバングラデシュで携帯用英語レッスンを開始

BBBBCは同国の6大携帯ネットワークを巻き込み、この英語講座に対する特別割引(通常通話料の最大75%引き)を開始、5000万携帯ユーザーを対象に配信を開始した。講座は250の音声とSMSベースのレッスンからなる。1レッスン3分間で料金は3タカ(約5円)。既存の保有コンテンツの有効活用を狙う。