2012年5月22日火曜日

NHK視点・論点「アフリカとBOPビジネス」と追加情報

5月21日放送。JICAアフリカ部次長 松下篤氏。
詳細にメモを取って視聴したので、以下、追加情報(矢印以下)を付加しつつ要点をまとめておく。

■BOPビジネスとは

1)現地の状況やニーズに合わせた商品を購買力に見合った低価格で提供することにより、消費者としてのBOP層の生活の質向上に貢献するもの⇒BOP1.0 (消費市場としてのBOP)
2)BOP層が生産・流通等に関わる事業者としてビジネスに関わることにより、雇用や所得が創造され、人々の社会的な機会と力(エンパワーメント)を生み出す⇒BOP2.0(事業パートナーとしてのBOP)
3)企業にとっての技術革新や事業拡大の機会。⇒リバース・エンジニアリング、市場創造
4)上記1)~3)の性質を複合的に有するBOPビジネスは、従来の社会貢献活動とは異なる。

■アフリカのBOP層:5億人


■アフリカの経済成長とその要因

実質5%超の年平均経済成長率を記録。この背景には、
1)内発的環境変化(政治経済の適切な運営に向けたアフリカ諸国・人々の行動変化):紛争解決や経済運営に関する政府機能(ガバナンス)の改善、および経済の周縁から中央への参画を希求する人々の意識変化(これにより初等・高等教育での就学率も向上)
2)外発的環境変化:天然資源や輸出農作物の価格上昇、中国・ブラジル等新興国によるFDIの増加(市場としての潜在性・魅力に誘引され)、および情報通信サービスの急速な発展(⇒人々の情報アクセス力の向上⇒内発的意識変化へリンク)

■従来のアフリカにおけるビジネス

 多国籍企業による資本投下で成立し、アフリカ発の製品が先進国の中間・富裕層向けに出荷されるか、アフリカのごく少数の富裕層向けに販売されるパターン。BOP層は市場の外部の存在。ビジネスには参画できなかった。

■アフリカにおけるBOPビジネス

 大企業のみならず、中小企業が主体となって、BOP層を取り込んだビジネススキームが登場。

■日本企業の事例:ウガンダのブッシ(Bussi)島ジャリ(Jali)村
ドライフルーツビジネス。村民300名の年間所得は$110(ウガンダ全体の平均年間所得$500)。子供の多くは栄養失調で、平均寿命は40歳強。現地のオーガニックドライフルーツプロジェクトと日本の中小企業のコラボレーション

Jali Organic Associationと日本の㈱FAR EAST。Jali Organicは、ジャリ村のフルーツ資源を活用して経済発展を目指した同島出身のMuwanga兄弟が1995年に設立。これまで仲介業者に買いたたかれていた現地のフルーツを5-7倍の値段で買い取り、ドライフルーツへの加工を開始。FAR EAST社長佐々木敏行氏が見本市でBE ORGANIC社を仲介に商品を発見し、日本市場への導入を開始。経緯はジェトロのウェブサイト同報告書
に詳しい。フェアトレードの一種。JETROの開発輸入企画の一つ。JETROによる開発輸入企画への支援は1件500万円
⇒このJali Organicが、ジャリ村の生活向上を超えて、どこまで拡張性がある事業なのか、その意図も含めて一度調べてみる必要があるだろう。



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