2015年10月25日日曜日

【2015.10.29開催】東アフリカ・ケニア投資コンファレンスを開催します。

【2015.10.29開催】東アフリカ・ケニア投資コンファレンスを開催します。

慶應ビジネス・スクールの国際活動の一環として、標記のコンファレンスを昨年に続き日吉キャンパス協生館藤原洋記念ホールで行います。
TICAD6の2016年開催地が初めてアフリカ大陸となり、その開催国がケニアに決まりました。その注目高まるケニアから政財界使節団を迎え、業種やテーマによる専門家と実務家の討論を通じて東アフリカでの機会を探索します。社会人・学生を問わず是非ご参加ください。参加無料。

本コンファレンスは基本的に英語です(一部日本語による講演と逐次通訳あり)。
■主催:ケニア大使館,KIJA,慶應ビジネス・スクール
■コンファレンスの詳細内容は下記ホームページへ:
http://kenya-investment-conference2015.jimdo.com/
■日時 2015年10月29日(木)9:00-18:30
■場所 慶應義塾大学 日吉キャンパス協生館2階 藤原洋記念ホール
(アクセス:http://www.kcc.keio.ac.jp/access/index.html)
■参加費:無料
■事務局慶應側責任者 教授 岡田正大
■参加登録:上記ホームページの上端「お申込み」バナーよりご登録ください。

2015年3月6日金曜日

CSVと企業の競争優位、 そしてCSR

2015年3月発行 KBSレポート(非公刊)より抜粋・編集

 今年のダボス会議での議論を振り返るまでもなく、貧困や失業、栄養不良を始めとする社会課題の深刻度と社会秩序の不安定さ(テロを含む地政学的リスク)には一定の因果関係があると思われる。こうした広範な社会的課題の解決とビジネス世界での利益追求は、一見すると別次元のようにとらえられる。だが、そもそも企業活動を市場原理に基づいて「社会ニーズに応える活動」だと考えれば、両者は密接に結びつく可能性がある。

 これまで企業戦略と言えば、そのゴール(被説明変数)は企業の金銭的価値の最大化と認識され、それを実現する原因(もしくは手段)が研究の対象となってきた。この「戦略のゴール=経済的価値」という認識はあまりに当然のことであり、多くの研究者や企業はこの経済的価値最大化のために経営資源配分を最適化すべく、研究や経営にまい進してきている。

 一方企業はこれまでも、直接的には企業の経済的価値(例えば単年度で言えば会計上の利益)に結びつかず、また必ずしも自社の本業とは関連しない分野で、株主以外の利害関係者を益するような活動に関与している。いわゆるチャリティー事業や寄付、従業員主体のプロボノ活動、財団の設立による公益活動などである。こうした活動は、特に本業の市場競争力強化を直接に意図したものではないことが多く、また結果的に競争力につながる保証もない。日本では、こうした活動が「CSR」呼ばれることが多いようだ。

 CSRの歴史が古い欧州では、企業の社会責任とは「企業がその事業活動プロセスと製品の双方において、社会に対し負の価値を生み出さないこと」(藤井2005)と認識されている。私の研究では、CSRをこの欧州ベースの定義に基づいて考えている。

 さて、表題のCSV(Creating Shared Values)(Porter & Kramer 2011)とは、企業が本業を通じて経済的価値と社会的価値の両立・相乗効果を追求する活動を意味する。この文脈からは、日本的解釈のCSRはたしかに何らかの社会的便益は生み出すものの、必ずしも企業の経済的価値に結びつくとは限らないという意味で「非戦略的」とされる。昨今日本企業でも盛んになってきているCSVへの志向性は、これまで純粋な慈善活動に振り向けていた原資を、本業自体が関わる社会課題の解決へ再配分し直すことを意味する。

 このように、経済的価値の増大と社会的価値増大の間に相乗効果を生じさせる企業能力(社会経済的収束能力と呼んでいる)とは何なのか、またその成果としての経済的価値と社会的価値はどのように測定できるのか。この二つが私の現在の研究テーマとなっている(岡田2014)。

 なお、昨今はCSVの議論に隠れて徐々にCSR活動をフェードアウトする企業も散見されるが、ここは慎重に事を運ぶ必要があると思われる。企業はCSRを「本業によって社会に負の価値を生み出さないこと」と改めて定義し直し、CSVのように個々の企業がその強みや裁量次第で選択的に取り組む性質の活動とは分けて、真剣に継続する必要がある。昨今の新聞紙上を見るまでもなく、この定義によるCSR領域にはまだまだ改善の余地がある。

 CSVは自社の独自性を打ち出す企業戦略の一環として、またCSRはあまねく企業が果たすべき社会的責務として、企業実務の見地からは区別した対応が必要だと考えている。


<参考文献>

岡田正大(2014)「CSVは企業の競争優位につながるか:新たな企業観の行方」DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー、ダイヤモンド社、2015年1月号、p38-53.

藤井敏彦(2005)『ヨーロッパのCSRと日本のCSR―何が違い、何を学ぶのか。』(日科技連出版社)

Porter M.E. and M. Kramer (2011) “Creating Shared. Value” Harvard Business Review No. 89(Jan/Feb): p.62–77.

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岡田 正大 (おかだ まさひろ)

1985年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。(株)本田技研工業を経て、1993年修士(経営学)(慶應義塾大学)取得。Arthur D. Little(Japan)を経て、米国Muse Associates社フェロー。1999年Ph.D.(経営学)(オハイオ州立大学)取得、慶應義塾大学大学院経営管理研究科専任講師に。助教授、准教授を経て現在教授。

2014年12月19日金曜日

CSVは企業の競争優位につながるか:新たな企業観の行方

ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー 2015年1月号

Porter & Kramer(2011)以来、企業戦略におけるCSV(共有価値)の位置づけに関して様々な考え方が提示されているが、あくまでも企業戦略理論の視点からその意味を問うたのが標記タイトルの論考である。

岡田正大(2014)「CSVは企業の競争優位につながるか:新たな企業観の行方」ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2015年1月号:p38-53.

概要はこちら。

ご参考まで。

2014年8月21日木曜日

企業と社会フォーラム 年次大会 9月18-19日

2014年3月のケニア、8月のバングラデシュのフィールドスタディの更新ができていないが、まずは取り急ぎ9月開催の企業と社会フォーラムのご案内。企業戦略と社会性の接点を様々な角度から討論します。興味のある方は是非ご参加ください。私も司会やパネラーとして登壇します。


社会における企業のあり方を研究する、学会「企業と社会フォーラム」(JFBS)の第4回年次大会「持続可能性と戦略」(9/18~19、於:早稲田大学)についてご案内いたします。
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          学会「企業と社会フォーラム」(JFBS)
               第4回年次大会
           統一テーマ:持続可能性と戦略
               http://j-fbs.jp/annualconf_2014.html
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■日 程 2014年9月18日(木)~19日(金)の2日間

■場 所 早稲田大学早稲田キャンパス14号館
     (アクセス http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html)

■大会テーマ 持続可能性と戦略
(大会趣旨など詳細 http://j-fbs.jp/annualconf_2014.html)

■プログラム http://j-fbs.jp/annualconf_program_2014.html

■主なセッション
・Keynote Speech "Sustainability and Strategy"
 ※多様なステイクホルダーを満足させながら企業が持続的発展に寄与し、収益性を確保していく企業戦略に関する基調講演
- Bhattacharya, CB (European School of Management and Technology,
Germany)
- 和田勇 (積水ハウス株式会社、代表取締役会長)

・Plenary Session 1 "Sustainability and Strategy"
 ※基調講演において言及された企業戦略を可能にする社会経済システムの方向性について考えるセッション
- Barter, Nick (Griffith University, Australia)
- Bhattacharya, CB (European School of Management and Technology,
Germany)
- 和田勇 (積水ハウス株式会社、代表取締役会長)
- 【Chair and Panelist】岡田正大(慶應義塾大学)

・Breakout Session (organized) 1 "Sustainability and Brand Management"
 ※CSRの価値と企業の評判の関係を考えるセッション

・Breakout Session (organized) 2 "Sustainable Strategy and Emerging Markets"
 ※新興国において経済格差と環境破壊を引き起こすことなく企業活動を展開していくための戦略を考えるセッション

・Breakout Session (organized) 3 "持続可能性と金融市場"
 ※持続可能な企業を支える、金融市場・投資家の役割の変化を考えるセッション

・Breakout Session (organized) 4 "Green Management"
 ※企業活動による負の社会的・環境的インパクトを低減するマネジメントを考えるセッション

■参加者 国内外の学界、産業界、政府・行政、労働界、消費者団体、NPO/NGO等
 ※本年次大会には、会員だけでなく、一般(非会員)の方の参加も可能です。

■参加費
①大会参加費
【会 員】一般11,000円、学生 8,000円
【非会員】一般15,000円、学生10,000円
②交流会参加費
【一 般】4,000円(会員・非会員 共通)
【学 生】2,000円(会員・非会員 共通)
※交流会のみの参加は原則として不可

■お申込み
下記URLよりお手続きください。
http://j-fbs.jp/annualconf_2014.html#p4
※参加申込みを済ませただけでは、大会参加者として登録されませんのでご注意 下さい。参加申込みと参加費お支払いの完了をもって「登録参加者」となります。※年次大会登録参加者には、スピーカーのレジュメ資料をダウンロードできる 「参加者パスワード」を事務局よりお送り致します。紙の節減のため、大会当日に報告要旨集を配布することは致しません。各自ダウンロードのご協力を頂けますようお願い致します。

■学会「企業と社会フォーラム」(JFBS)とは
JFBSは、企業と社会にかかわる様々な課題、関係について、学界、産業界、政府・行政、市民組織などとの幅広い連携のもと、国内外の関係組織とも連携しながら理論的・実務的な視点から考えていく学会です(2011年5月設立)。http://j-fbs.jp/index_japanese.html

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Japan Forum of Business and Society (JFBS)
企業と社会フォーラム 事務局
  早稲田大学商学学術院商学部 谷本研究室内
  〒169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1
  Tel/FAX: 03-3203-7132
  E-mail: jfbsinfo@j-fbs.jp
  URL: http://j-fbs.jp
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2014年3月19日水曜日

日経リサーチ 「開発途上国への参入:決断すべき時は?」

日経リサーチ グローバル・マーケティング・キャンパス 

3回シリーズの第1回目「開発途上国への参入:決断すべき時は?」

かつては日本企業の典型的な地理的市場のくくり方に、「欧州中近東アフリカ部」という名称が一般化していた。しかしようやく「サブサハラ」を独立した地理的市場として想定する企業が出始めている。果たして個別企業が開発途上国への参入を決断すべき時はどのような条件が成立した時か、という問題意識で書かれた記事。

「経営学は今」 日経新聞朝刊連載 2013年12月

しばらく授業と執筆が多忙で更新がままならなかったので、その間の著述を時系列でいくつか記録。

2013年12月4日から16日まで8回分。第6回では開発途上国におけるビジネスで生態系を組むことの戦略的価値を説明。事例としては、西アフリカセネガルにおけるヤマハ発動機がネタフィムと組んで展開したドリップイリゲーション事業(少量水による灌漑事業)を取り上げている。

不確実性と企業(6) 新興国でビジネス生態系 慶応義塾大学教授 岡田正大

http://www.nikkei.com/article/DGKDZO63922030R11C13A2KE8000/


2013年10月31日木曜日

DHBRオンライン連載第6回 包括的ビジネス 新たなパフォーマンス測定へ向けて

岡田正大 Diamondハーバード・ビジネス・レビューONLINE連載第6回「包括的ビジネス 新たなパフォーマンス測定へ向けて」 2013年10月28日

社会性と経済性をいかにして統合指標として測定しうるのか。またそれはなぜ重要なのか。こうしたテーマを論じている。

このコラムのベースになった論文はこちら

岡田正大(2013)「包括的ビジネス・BOPビジネス研究における社会経済的効果の統合的評価の重要性とその方法について」『企業と社会フォーラム学会誌・企業と社会シリーズ』 vol.2, pp.185-208.
ダウンロード

2013年8月5日月曜日

DHBRオンライン連載第5回 「包括的ビジネス成功の原則 自社の社会性をいかに自覚するか」

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー・オンライン

【連載】第5回 「包括的ビジネス成功の原則 自社の社会性をいかに自覚するか」2013.07.29

2013年5月27日月曜日

DHBRオンライン連載第4回 「包括的(BOP)ビジネスをやるか、やらないかを決める 」

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー・オンライン

【連載】第4回 「包括的(BOP)ビジネスをやるか、やらないかを決める 」2013.04.30

2013年4月20日土曜日

DHBRオンライン連載第3回 「包括的ビジネスを促す外部環境の動向: 企業を取り巻く利害関係者の変化」


DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー・オンライン

【連載】第3回 「包括的ビジネスを促す外部環境の動向: 企業を取り巻く利害関係者の変化」が公開された。(1月28日)(本ブログへの記録を忘れていた。第4回の締め切りが明後日、、、。)
http://www.dhbr.net/category/s-BOPbusiness

2013年4月19日金曜日

論文: 営利組織と非営利組織間の戦略的提携を分析単位とする

 本ブログの関心を実務的関心と学術的関心とに分別すれば、後者の主要なものは「既存戦略理論が包括的ビジネスという現象をどの程度説明し得るのか。そしてより妥当な理論は何なのか。」というものである。

 すなわち、本ブログの背景には、「営利企業が社会的価値の創出を意図する際に、それをどのように理論的に説明するか」という、企業理論(theory of the firm)に関わる重要な研究上の問いが存在している。

 今回の論文(リンク下記)の問題意識は以下の通りである。これまでの戦略研究において、「戦略的提携」といえばそれは複数の営利企業間のものであることが暗黙の前提であり、その下で理論構築、理論的説明がなされてきた。無論クロスセクターアライアンス(セクター横断的提携)に関する若干の文献は存在する(下記論文参照)のだが、分析単位(unit of analysis)が必ずしも個別営利企業(戦略理論のそれ)ではない。


岡田正大(2013)「開発途上国低所得市場(BOP層市場)への参入における戦略的提携の形成について」慶應経営論集30(1): 1-39. (2013年3月31日発行)     
PDFファイルはこちら。 Abstract in English: here

 この論文のリサーチクエッションは、包括的ビジネスでは常態化している営利組織-非営利組織間の「戦略的提携」が既存戦略理論によってどの程度説明可能であり、説明不能の部分があればそれは何であって、それを説明するためにはどのような理論的修正が必要かを明らかにするものである。網羅的理論サーベイと理論構築、および事例に基づくその検証を行っている。事例はタンザニアを二度訪問して取材したディーライトデザイン・タンザニア(営利企業)と英国のソーラーエイド(NPO)の間の提携協力行動である。

 結論として、営利企業が非営利組織と提携・協力する際には、営利企業に「社会経済的収束能力(socio-economic convergence capacity)」(詳細説明は論文に譲る)がどの程度具備されているかが、パフォーマンスの良し悪しに対して重要な影響を与える、という示唆が得られた。


2013年4月10日水曜日

東洋経済「第8回CSR調査」業種別集計結果: BOPビジネスへの姿勢

CSR東洋経済ブログに、日本企業のBOPビジネスへの取り組みとその位置づけに関するアンケート結果が公表されている。詳細データはこちら。 それによると、

1)BOPビジネスへの取り組み

行っている:6.5%  行っていない:84.1%  検討中:8.2%  その他:1.2%


2)BOPビジネスの位置づけ

現状でビジネスになっている:4.5%  将来のビジネスチャンス:36.4%   
社会貢献の側面が強い:48.9%    その他:10.3%


3)NPO/NGOとの連携(BOPビジネスとは独立した別の質問)

あり:56.6%  なし:41.6%  今後予定:1.2%  その他:0.6%


基本的傾向は能率協会の調査と同様だが、興味深い。この解釈についてはのちにアップ予定。




2013年4月8日月曜日

対アフリカ投資でマレーシアが台頭

アフリカビジネスニュース3月29日
「勢い増すマレーシア、アフリカ向け海外直接投資、中国抜き世界第3位に浮上」
http://www.africa-news.jp/news_NGcmlBSPR.html

これによると、UNCTADが2011年の対アフリカ直接投資トップ20カ国を発表した。
http://unctad.org/en/PublicationsLibrary/webdiaeia2013d6_en.pdf
この報告書の7ページにそのリストがある。

2011年中のフローでは、上から順に:
仏、米、マレーシア、中、印、独、スイス、キプロス、日本、デンマーク、スウェーデン、オーストリア、タイ、、、

2011年末のストックでは、上から順に:
仏、米、英、マレーシア、南ア、中国、印、ノルウェー、日本、ベルギー、スウェーデン、デンマーク、タイ、、、。

フランス政府・企業の対アフリカ姿勢

3月30日日経朝刊「仏、アフリカの勢いに注目:官民一体でインフラ輸出」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM08093_Z20C13A3FF1000/

これによると、フランス政府は貿易保険などで民間のアフリカ進出を支援している。対2004年比2011年の対アフリカ貿易額は6割増加。2013年の対アルジェリア投資を増やすと回答する仏企業は8割。

一方中国は2012年にECOWASとインフラ整備に関する協力推進で一致。

仏経済財政相「アフリカでますます大きくなる中国の影響力に、仏企業は勝たなければならない」

2013年3月25日月曜日

政治・経済・安全保障が一体となった地域戦略:中国習近平主席のアフリカ訪問

先に
および

をエントリーした。

それらのエントリーの主旨は、地政学的リスクや深刻な社会課題を伴う途上国市場においては、国家レベルでの政治・経済・安全保障三位一体の取組みが重要になる、ということだ。例えば米国のアフリカ戦略の要締は:

1)民主的制度の強化
2)経済成長・貿易・投資の刺激・促進
3)平和と安全保障の強化・促進
4)社会的弱者への機会均等と開発の促進

という4点である。民間企業が関わるのは主に 2)経済成長・貿易・投資の刺激・促進であり、さらに包括的ビジネスとして社会性を追求するとすれば 4)社会的弱者への機会均等と開発の促進もその活動領域に入ってくる。

その後、アルジェリアの事件が発生した。これも民間企業が新興国・途上国市場へ参入するに際しては、国家レベルでの政治・経済活動・安全保障の取組みが一体となって行われていることの重要性、つまりは日本における政治外交と経済活動が他国(米欧中韓印等)に比べて相対的に分断されている程度が大きいことへの懸念を改めて感じさせた。在アフリカ防衛駐在官(駐在武官)の数:日本2、中国19。


そこで、中国の習近平主席の初外遊はロシアとアフリカである。安部首相の初外遊は東南アジアである。それぞれの政権がどこを重視しているかがよく分かる。最後の巨大市場アフリカで、日本は益々後塵を拝することになるのではないか。


<中国>尖閣問題 多額支援でタンザニアから支持引き出す(中国の支援で建設した1000人規模の大会議場で中国のアフリカ政策をテーマに演説)

一方日本の動き:
 安部首相の初外遊先のベトナムでは、首脳会談の話題は政治外交が中心。伴って発表された経済イシューは、「新たに3件・約5億ドル(466億円)の円借款の供与」のみで、安部首相自らの大型商談の積極的開拓はない。同時期にミャンマーでは、ミャンマーで中小向け商談会 経産省、60社参加 (2013/3/21 0:01日本経済新聞 電子版) とも伝わる。これはこれでやるべきことをやっていて評価されるべき。だが、ここに政府トップの姿はなく、より実務家レベルの話。

日本政府には、かつての護送船団方式への無意識の忌避感がいまだにあるのだろうか。そのような反省に長らくひたっている間に、欧米新興国列強は、国家戦略として途上国へもその戦略執行の場を広げている。アフリカ諸国の多くは親日的という。あらゆる意味で、このままでよいはずがない。


2013年1月30日水曜日

米国経営学会 アフリカ・コンファレンス

2013年の1月7日から10日まで、アメリカの経営学会(Academy of Management)で初めてのアフリカにおけるコンファレンス(AOM Africa Conference)が南ア・ヨハネスブルグで開催され参加。総勢300名の中で、アジア人は数名しかいなかったのが大きな驚きであった。他は半分がアフリカ諸国から、半分がイギリス、オランダ、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、フランス等から。ケニア、ガーナ、タンザニアの研究者と親しくなる。

この会議は、アフリカにおけるビジネスと開発に関心を持つ研究者を対象としており、研究発表が3分の1、アフリカにおけるビジネスと開発について考える討論セッションが3分の1、フィールド観察が3分の1という構成で、通常の学会のような研究論文発表が主体となる形式とは趣を異にしていた。

フィールド観察には4つのコースが設定され、1.政治・社会と企業活動、2.多国籍企業、3.包括的(BOP)ビジネス、4.社会問題(文化や人種)に分かれて視察へ向かう。私は当然BOPを選択。タウンシップと呼ばれる「旧黒人居住区」へ赴いた(下記写真)。






このタウンシップにも、成功した個人事業者(アントレプレナーと呼べるだろう)がいて、チャイルドケア、レストラン、パン製造など、いくつかのスモールビジネスの成功例を見て回る。またタウンシップの中にも、正式な国籍と住所を持つ南ア国民としての居住区と、周辺国からの違法な移民(正式な住所を持たない)の居住区があり、両者の間の環境の違いは著しい。上記の写真は「正規の」国民の地域である。下記は違法な居住者の地域で、見学時に撮った映像。住居の間の隙間を歩いているように見えるが、これが主たる通行に使われる通常の道路である。かつてバングラデシュで訪れたダッカでも見た、都市スラム特有のよく似た雰囲気だ。




<雑感>

今回の会議参加を通じて体験的に学んだことの一端を挙げる。

1)やはり南アフリカは、いわゆるサブサハラの黒人主体の国々とは明らかに異なっている。例えば、今回の主催校であるビジネススクールの教員は一人のインド人を除いて全員白人。学生は7割が白人、3割が黒人という話。南アからサブサハラ諸国に出かける時、南アの白人の人々は「アフリカに行ってくるね」というとのこと。
2)白人富裕層と黒人との貧富の格差、意識の格差はとてつもなく大きい。
3)白人主導の経済の領域は、先進国のそれそのもの。

歴史的経緯が全く異なるので比較の対象にはならないが、アメリカではAffirmative Actionを始め、様々な人種融合政策がすでに実行され、一部ではそれなりの効果が出ていると感じられるが、南アではまだまだ実質的にはこれからという印象を受けた。ここでは書けない、表現しきれない深刻な問題が様々に存在している。




2012年11月27日火曜日

ガーナ・タコラディのAudioCraft社


<AudioCraft社 (ガーナ・タコラディ)の紹介>
(2012年8月のフィールド調査から)

 Lemaire社長は元々高校教師(2番目の写真中央)。いわゆる企業家精神に燃える「中小企業の熱血型ものづくりおやじ」である。ガーナの治安悪化でナイジェリアへのがれ、そちらで教職に就くが、その間にナイジェリア―ガーナ間の貿易の有効性に気付いて貿易会社を創業、独立する。しばらくはオーディオラウドスピーカー(屋外用)をナイジェリアからガーナへ輸入していたが、「母国ガーナに豊富にある高品質で安価な木材を使って、スピーカーボックスを内製できるのでは」と思い立ち、Audiocraftを創業。自宅兼工場で月80台程度エンクロージャー(ボックスのみ)を製造しナイジェリアのメーカーへ輸出している。製造ではTakoradi工業高校に設置されたMITのFabLabでの知識が役に立ち、NC制御による加工技術を身につけ、CNC加工機(中国製)の台数を増強中である。今後完成品スピーカーの開発・製造へ向け、スピーカーユニットの内製も視野に入れており、日本のオーディオ機器メーカーとの連携を希望している。ちなみにラウドスピーカーの最大顧客は教会で、讃美歌(ゴスペルと呼んでいいのか??)の吟唱やバンド演奏用だそうだ。

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2012年11月26日月曜日

ソニーが北・東アフリカで二ケタ成長(週刊アフリカビジネスより)

サムスンやアップルとの競争が激しい中、ソニーは北・東アフリカで二ケタ成長をしている。モロッコ、アルジェリア、ケニアの成長が著しいという。手持ちビデオカメラ市場では、ソニーはサウジアラビアで72%、UAEで40.6%のシェアを占めている。

週間アフリカビジネスへのリンク(無料バージョンもできたようだ)

記事へのリンク
http://www.thenational.ae/thenationalconversation/industry-insights/technology/mena-market-in-focus-for-sony


感想:中近東・北アフリカ市場と、サブサハラ市場は別ものだが、上記の記事でやはり目を引くのはケニア市場の成長ぶりである。今年8月にガーナのスピーカーボックスメーカー(Mr. John Lemaire, the CEO,  AudioCraft)を訪ねたとき、ナイジェリアもケニアも音楽や音響機器の一大市場だと興奮気味に語っていたのが印象的だった。日本の音響機器メーカーとの提携・協働を望んでいたが、興味のあるメーカーはないだろうか(次のエントリーで同社を紹介)。